欧州が「2035年EV義務化」確定へ ハイブリッド天国の日本は「ガラパゴス」!? 国産各社はどうなるのか
ガラパゴスにあらず!? 日本のスタンスは「環境対策はひとつじゃない」
これを受ける形で、日本の自動車メーカーと二輪車メーカーでつくる業界団体の日本自動車工業会では、国の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に対して、「カーボンニュートラルに向けた取り組みはさまざまある」という姿勢を貫いています。
具体的には、欧州のように完全EVシフトではなく、HVやPHEVに加えて、内燃機関の燃焼効率をさらに上げること、バイオディーゼル燃料の活用、そして既存の内燃機関を改良することで水素を燃焼する水素エンジンの実現など、日本が持つ多様な技術を総動員するという考え方です。
![日本はコンパクトカークラスに至るまで広くHV(ハイブリッド車)が普及しており、実は世界有数の「電動化先進国」でもある[写真はトヨタの新型コンパクトミニバン「シエンタ」]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2023/09/20220913_toyota_sienta_011.jpg?v=1663116552)
日本の次世代環境車に向けた研究開発の現場を、一般向けにも広く知ってもらうため、国内モータースポーツの「スーパー耐久シリーズ」に次世代車開発に特化したST-Qクラスを新設して、自動車メーカー各社が参戦しています。
今回の欧州での完全EVシフト義務化などの動きを踏まえつつ、こうした日本メーカー各社の次世代車戦略に対して、「日本の考え方は、正攻法過ぎないのか」とか「このままでは日本は、ほかの国や地域から取り残され、ガラパゴス化してしまうのではないか」という声が、自動車産業や一般ユーザーのみならず、日本国内外の様々なところから聞こえてくるのも事実です。
筆者の私見としては、日本が国としてEVシフトに対してどのような政策を打ち出そうとも、日本メーカー各社は、それぞれが事業の規模や、得意とする技術領域と仕向け地(販売する国や地域)に違いがあるため、グローバルでの事業においてはEVシフトや電動化に対するスタンスはかなり違うのだと捉えています。
さらに踏み込んでいえば、モデル数が少ない(=パワートレインの種類が少ない)メーカーほど、思い切ったEVシフトを仕掛けることが可能である反面、これまで築いてきたブランドイメージをどう転換するのかが、メーカー(ブランド)存続のカギになるでしょう。
いずれにしても、今回の欧州連合・欧州議会による決定を含めて、直近でのグローバルでのEVシフトは「ユーザー中心」または「技術革新中心」という観点より、株式市場や資源関連市場の動きと連動するかのような環境問題としての「企業の経済活動を念頭に置いた政治判断」が優先している印象が強くあります。
見方を変えると、政治判断であるからこそ、今度も何度かの方針転換が再び起こる可能性があり、そうした動きを正確に予想することは難しいといえるのではないでしょうか。
日本のユーザーとしては、EVを含めてこれからどのようなパワートレインを持つクルマを選ぶかは、ユーザー自身が世の中の動きをしっかり見据えたうえで、自己責任という意識を強く持って向き合う時代になるのだと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。





















































































