ズルい行為じゃない!? 本線合流は先頭が正解? 大多数が勘違いする渋滞時の合流方法とは
高速道路の本線上で渋滞している場合、苦労するのがインターチェンジやSA・PAから本線に合流する場所とタイミングです。ユーザーからは「先頭まで行って合流するのはズルい」というイメージを持たれていますが、実際にはその先頭合流が正しい方法だといいます。なぜ、先頭まで行って合流するのが正しい方法なのでしょうか。
先頭での合流で、渋滞緩和の検証結果も
渋滞している高速道路の合流において、加速車線の先頭でクルマが入ってくると「ズルい」「図々しい」と思ってしまうドライバーも多いといいます。
しかし、そんな割り込みとも思える行動こそが、正しい通行方法だというのですが、その理由とはなんなのでしょうか。
毎年、8月は夏休みシーズンということもあり、多くのユーザーが高速道路を利用します。2020年はコロナ禍の影響で利用者は減少しているというものの、NEXCO中日本によれば6月は前年比で86%、7月前半でも80%を超えているとのことで、回復傾向のようです。
しかし、交通量が増えれば、渋滞が起こる可能性は高くなります。場合によっては数十キロというケースもあるでしょう。
そして、渋滞時に多くのドライバーが苦戦するポイントのひとつに「本線への合流」があります。
本線がスムーズに流れていれば問題はありませんが、渋滞時となると「どの場所で」「どのタイミングで」合流すべきか迷うユーザーも多いようです。
高速道路における合流では、本線側が優先です。道路交通法第75条の6「自動車(緊急自動車を除く。)には以下の記載があります。
「本線車道に入ろうとする場合(本線車道から他の本線車道に入ろうとする場合にあつては、道路標識等により指定された本線車道に入ろうとする場合に限る。)において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない。」
つまり、合流する側のクルマは、本線を走るクルマの走行を邪魔してはいけないのです。
ですが、加速車線には終点があるほか、先述のような渋滞時には本線を優先してばかりではいつまでも合流ができず、加速車線まで渋滞してしまう可能性があります。
では、本線の渋滞時、インターチェンジやサービスエリアから出てきたクルマは、どこで合流するのがマナーとして正しく、安全なのでしょうか。
NEXCO中日本の担当者は次のように話します。
「渋滞時において、本線への合流は加速車線の先頭でおこなってください。加速車線と本線との合流速度を一定に保ち、規則正しく1台ずつ交互に合流することにより、交通の流れをスムーズにするためです」
加速車線先頭での合流は、先頭で1台ずつ交互に合流することをファスナーの動きに例え、NEXCO中日本では「ファスナー合流」、名古屋高速では「ジッパー法」などと呼ばれ、推奨されています。
加速車線側と本線側の両方がファスナー合流を徹底すればブレーキを踏む回数が減ることで、両方の車線がスムーズに動き、交互に進むことをお互いが理解すれば、急な割込みによる危険性も減ると考えられます。
なお、NEXCO中日本では、渋滞時の混雑緩和のために、2019年11月からファスナー合流による渋滞対策を実施。
対策方法は、東海北陸道から名神上り線において、合流場所にラバーポールを設置し、加速車線の先頭まで合流を延伸するというものです。
対策開始から2か月間の交通状況を前年同時期と比較した結果、交通量はほぼ横ばいであったにもかかわらず、渋滞による損失時間が約3割減少。
また、渋滞している区間の平均通過時間は、名神の岐阜羽島ICから一宮IC間の平均通過時間は、対策前には13分掛かっていたものが、対策後には約10分になり3分短縮しました。
NEXCO中日本はこの結果を受け、今後もインターチェンジやジャンクションの合流部などで渋滞が発生しやすい箇所では、交通状況をもとに「ファスナー合流」対策の展開を検討していくとしています。
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正しいマナーや安全といっただけでなく、渋滞緩和にも繋がることから、今後は各高速道路会社からも何らかの取り組みが展開されていくと予想されています。