レースがない日も行きたくなる場所へ! 富士モータースポーツフォレストが目指すクルマ文化の未来とは【PR】
日本を代表するサーキット「富士スピードウェイ」を中心に、モータースポーツとクルマ文化を多角的に楽しむための複合施設が「富士モータースポーツフォレスト」です。なぜこの大変革プロジェクトはスタートしたのでしょうか、そしてどこへ向かうのか。代表取締役社長・酒井良氏に過去・現在・未来について聞きました。
モータースポーツを身近にする仕掛けとは
富士山の裾野に位置する「富士スピードウェイ」(静岡県小山町)は日本を代表するサーキットの1つです。
1966年に営業を開始して以降、さまざまな歴史を重ねてきましたが、2022年に大変革プロジェクトがスタートしました。
それは、サーキットだけにとどまらず、モータースポーツを中心にさまざまな角度からクルマ文化を楽しむための複合施設「富士モータースポーツフォレスト」として整備することです。
「フォレスト=森」と名付けられた、その複合施設の概要を簡単に説明すると、玄関口となるウェルカムセンターを中心に、富士スピードウェイ、富士スピードウェイホテル、富士モータースポーツミュージアム、レーシングチームのガレージ、さらには温浴施設/レストラン(現在建設中の仮称・おおみかテラス)といった多彩な施設から構成されており、いわば「モータースポーツのテーマパーク」と言っていいと思います。
今回は富士モータースポーツフォレストの代表取締役社長・酒井良氏に、富士モータースポーツフォレストの過去・現在・未来についてお話をお聞きしました。

まず、ここまでの変革を行うキッカケからお聞きしました。
「富士スピードウェイは長い歴史がありますが、主にレース目的での来場が中心でした。
2000年にトヨタの資本が入り大きくリニューアルされましたが、やはりレース観戦や走行会など“モータースポーツ目的”の来場が中心という状況は変わらず……。
そこに疑問を持ったのが豊田章男会長で、『若い人の憧れの場にしたい』、『大人の社交場にしたい』という強い思いから、このプロジェクトの構想がスタートしました」(酒井氏)
実は筆者(山本シンヤ)は以前、豊田氏にその思いを聞いたことがあり、こう話していました。
「私は第1/2回(鈴鹿)、第3回(富士)の日本グランプリをリアルに見ています。
これが私とモータースポーツの原体験です。この時、モータースポーツは素直にカッコいいと思いましたし、それは今でも変わっていません。
そう思えたのは、『好きな人が好きなことをやっていること』を『恥ずかしがらずに見せること』を目の当たりにしたことが大きいです。
そこで章男少年が感じたように、子どもたちが自分たちの記憶に残るクルマやモータースポーツの原体験をしてほしい。そのためにはサーキットを中心とした街づくりが必要だと思いました。
目指すのは『レースがない時でも来たくなる場所』、つまり新しいライフスタイルの提案ですね」

そんな豊田氏の思いを、酒井氏はどのように具体化していったのでしょうか。
「まずはモータースポーツが身近になるキッカケづくりが大事だと思っています。
富士スピードウェイは都心からも中京圏からもアクセスが良い場所にあります。
ただ、近くに富士山、周りにさまざまな観光施設があるなど立地的に非常に良いものの、『富士スピードウェイで走っているけど、その周辺施設には足を運んだことがない』、『自分とは縁のない場所』と感じている人が多いのも、残念ながら事実です。
そのハードルを下げるためには、レースだけでなくトータルで『楽しかったね』と思ってもらえることが大事だと思いました」(酒井氏)
現在、富士モータースポーツフォレストの玄関口となる「ウェルカムセンター」はモータースポーツのイロハを知る場所として、車両展示やミニ四駆体験を含むさまざまなイベントが開催されています。
さらに隣にあるROOKIEレーシングのガレージとは渡り廊下でつながっており、普段は見ることが難しいレーシングカーの整備・調整作業を間近で見ることも可能です。
加えて、世界でも数少ないモータースポーツがテーマの宿泊施設「富士スピードウェイホテル」と、そのホテルに隣接して時代を象徴するレーシングカーが展示される「富士モータースポーツミュージアム」があり、レース以外にも来たくなる要素がたっぷりとあります。
目の前にはサーキット、振り返ると富士山と言う最高の立地はもちろん、充実した施設(レストラン/バー/温泉/プール/スパ)なども相まって、日本のみならず海外からの利用客も増えていると言います。
さらにウェルカムセンターの前には、レストラン/温泉施設/ホテルで構成する複合商業施設「(仮称)おおみかテラス」の建設も進められており、2026年に一部レストランがオープン、2027年春にホテルなどを含めた全面開業が予定されています。
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このようにサーキット以外の周辺施設は着実に充実が進んでいますが、富士モータースポーツフォレストの最も重要なコンテンツの1つである富士スピードウェイの変革はどのように進められているのでしょうか。
「メインディッシュのレース観戦についてはコアなファンだけでなく、家族連れや若者にどのように足を運んでもらうか、レース観戦の価格設定の見直しから、サポートイベントの内容などに至るまで、様々な知恵を絞りながら、色々なチャレンジをしています。
さらには、(静岡県だけでなく神奈川県西部といった)周辺地域との連携強化なども進めています。
レース以外のコンテンツですが、実は富士スピードウェイはレーシングコースだけでなく、安全運転施設(トヨタ交通安全センター モビリタ)、カート場、オフロードコースなど、『走る楽しみ』に関する施設がフルパッケージでそろっています。
直近では2024年9月に、富士スピードウェイ内のサーキット一体型キャンプ場『RECAMP』がオープンしました。昼間のエンジン音が聞こえる世界と、夜の静寂の両方が楽しめると、大変好評をいただいています」(酒井氏)
実際にホテルやミュージアムができたことで、レース以外の目的で富士スピードウェイに来場する人が増えているそうです。
その中には『実際にコースを走ってみたい』というニーズも多く、レンタカーでの体験走行(レーシングコースを隊列走行するお手軽サーキット体験)などの提供が行われています。ただ、まだまだ多くの人には知られていないのが現状とのこと。
「そこは反省ポイントで、これまでそれぞれの施設が点と点の状態で、各施設の魅力が十分に連動しきれていませんでした。
やはりお客さまが来た時に『こんな楽しみ方ができる』ということをわかりやすく伝える必要があると強く実感しています。
今後は玄関口のウェルカムセンターを上手に活用しながら、『その日の楽しみ方』をしっかりと提案できるようなコンシェルジュサービスなども考えていきたいと思っています」(酒井氏)
こうしたお話から分かるように、従来の「富士スピードウェイという大きな枠組みの中のさまざまな施設」から「モータースポーツフォレストという、より広い枠組みの中の富士スピードウェイ」を目指している、というのが大きなポイントではないかと筆者は思っています。
今後については、どのような展望を抱いているのでしょうか。
「一にも二にも、お客さまの気持ちになって、何が求められているかをリアルに感じ、より良いものを提供するために、知恵を絞り、即実行し、またそこから学び、と、絶え間ないチャレンジを続けていくことが重要だと考えています。そういう意味では、我々のチャレンジはまだまだ始まったばかりです。
このプロジェクトには正解がありません。そのため、未来を信じてモータースポーツ業界を盛り上げるためにも、トライ&エラーを繰り返しながら挑戦し続けていきます」(酒井氏)
ちなみに富士モータースポーツフォレストからクルマで数十分走ると、トヨタのモビリティのテストコース「ウーブン・シティ」(静岡県裾野市)があります。
自動運転の街の近くにマニュアル運転の街がある。何とも面白い話です。これに関して豊田氏はこう語っています。
「ありがたいのは、どちらもモビリティに絡んでいることで、過去、現在、未来が見えてくると思います。さらに言うと、トヨタの東富士研究所(裾野市)も隣接していますからね」

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そういう意味では、ウーブン・シティは「クルマの生きる価値」を見つける場所であり、富士モータースポーツフォレストはクルマを操ることがもたらす楽しさを体感できる場所、すなわち「クルマの生きる喜び」を見つける場所と言えるかもしれません。
今後の進化……いや「森の成長」を期待しましょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。


























































