モータースポーツ発の極限AT「GR-DAT」はいかにして生まれたのか? 開発パートナー アイシンの熱き挑戦と、次世代スポーツATへの道【PR】
GRヤリスやGRカローラに搭載され「MTと同等に戦える」と話題の8速AT「GR-DAT」。圧倒的な変速スピードはいかにして生まれたのか? 開発を担ったアイシンの歴史と、極限のモータースポーツで鍛え上げられた技術の裏側に迫ります。
熱との闘いにも負けず! 伝統の全数検査再び
ここでは、同社の要素製品本部 コンポーネント技術部 第2ケーシング設計室で第1グループチームリーダーの澤口慎司氏と眞鍋主幹と同じグループの須賀務主任が話します。
●山本氏: シフトスピードの短縮やクロスレシオのギア比採用などにより、熱の面でかなり厳しいと想像しますが、その辺りの対策はどのようなことが行われているのでしょうか?
●澤口氏: まず摩擦材(クラッチ板)の素材そのものを高耐熱仕様に刷新しています。加えてトランスミッションケースの底面に冷却フィンを新設、走行風を積極的に利用して熱を逃がす構造になっています。さらにATFクーラーを2個搭載することで低速高負荷時でも油温の上昇を抑え込んでいます。

つまり、燃費よりも熱を逃がして『性能を維持すること』に特化した構造・構成になっている……と言うわけです。

とはいえ、それでも開発中はかなり熱に悩まされたと聞いています。筆者も開発中の試験車に乗る機会が何度かありましたが、それを実感したことも。
●山本氏: 品質へのこだわりはアイシン全ての製品に共通している所だと思いますが、GR-DATならではの取り組みなどはあるのでしょうか?
●須賀氏: 組み立て時のばらつきをより厳格に管理、モータースポーツなど厳しい条件での走行時にも安定した性能を維持できるよう設計しています。

製造は高度な自動化ラインで行われていますが、検査工程でギアのかみ合わせやベアリングの微細な異音を逃さないように検査員がマイクを通して音を聴き、デジタルデータと照らし合わせて“全数”検査を行っています。
全数検査と聞き、1972年にアイシンが独自に設計したATと同じ思いがGR-DATにも込められていることを知り、時代が変わってもアイシンイムズは不変だと実感しました。
GR-DATはまだ進化中! 現場で鍛え抜く心でより良い製品に
そんなアイシンはGR-DATの開発が完了した後も「もっといいATづくり」を進めています。その1つが全日本ラリー選手権に自社チーム「AISIN RALLY TEAM with LUCK」としての参戦です。

搭載されるDATはギア比の変更(1速を使わない設定)や細かいアップデートが行われているようですが、基本は量産品と同じモノ。つまり、より厳しい条件でテストを続けることで、次世代スポーツATのヒントを探しているのでしょう。

ちなみにGR-DATはラリーごとに全バラされ劣化や不具合をチェックしているそうです。つまり、自ら造り上げたGR-DATを、今も自ら鍛えている……と言うわけです。

今回、このマシンの助手席に同乗させてもらいました。本格ラリーカーとしてボディ/サスペンション、操作系などはアップデートされているのは乗れば一目瞭然ですが、トランスミッションの小気味よいシフトアップ/ダウンやダイレクト感あるフィーリングなど、「自分の愛車のGR-DATと同じ!!」と、思わずニンマリ。一般道からコンペティションまでリアルに通用するATであることを改めて実感しました。
今回、GR-DATを取材をして感じたのは、本来ATは黒子であるべきですが、GR-DATは控えめながらも内に秘めた“主張”を持ったユニットである……と言うことです。

個人的には「ATはつまらない」と言う心のどこかにある思いを払拭させ、自分たちが「乗って楽しい」、「ワクワクできる」製品を造り上げたエンジニアの“自信”がちょっとあふれ出てしまったのかな……と思っています(笑)。
だからこそ、GRヤリス/GRカローラのGR-DATユーザーは、それを造り上げた技術屋集団がアイシンであることを知っておいてほしいです。
[Text:山本シンヤ Photo:土居凌祐]
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。


































































