「ガソリンスタンドの屋根」はなぜ“平ら”なの? 大雨でも大丈夫? 屋根に隠された驚きの「工夫」とは?
平らな屋根だと、特に雨が良く降る梅雨どきに雨水が溜まることが想定されますが、なぜガソリンスタンドのキャノピーには平らなデザインが主流なのでしょうか。
大雨が降っても溜まらない! 平らな屋根の設計とは?
6月に入り、全国各地で梅雨入りが発表され、しとしとと降る雨や時折の激しい雷雨が街を包みます。
そんな天気の中、ガソリンスタンドの平らな屋根「キャノピー」が、給油に訪れる人々を濡れずに快適に保ちます。
一見、傾斜のある屋根なら雨水が流れやすく、平らな屋根だと水が溜まることが想定されるため、特に四季のある日本では傾斜のある屋根のほうが理にかなっているように思えます。
なぜガソリンスタンドのキャノピーには平らなデザインが主流なのでしょうか。

キャノピーは、雨や強い日差しから給油作業を守るだけでなく、さまざまな工夫が施された重要な設備です。
平らなデザインが広く採用される理由は、コストと効率にあります。
複雑なアーチ型や急な傾斜の屋根に比べ、平らな構造は材料費が安く、施工時間も短縮できます。
このシンプルな設計により、建設コストを抑えつつ、店舗を迅速に展開できるのです。
それでも、梅雨の長雨や局地的な大雨で水が溜まるのではと気になるかもしれません。
しかし、キャノピーは一見平坦でも微妙な傾斜が施されており、雨水は専用の排水システムへとスムーズに流れます。
これにより、どんな天候でも給油エリアの安全性が確保されます。
また、北海道のような降雪地では、キャノピーに雪が積もる可能性がありますが、多くの場合、内部にヒーターが搭載されており、雪を溶かして溶けた水が再凍結して氷柱になるのを防ぎます。
これにより、雪が一気に落ちてクルマや人に危害を及ぼすリスクが軽減され、冬の厳しい天候でも安心です。
なお法的には、ガソリンスタンドのキャノピーには形状に関する厳格な規制はありません。
消防法などで施設全体の安全基準は定められていますが、屋根のデザインは比較的自由です。
1970年代にはアーチ型のキャノピーが一部で見られましたが、老朽化やコストの問題から姿を消し、今では平らなキャノピーがほぼ標準となっています。
現代のガソリンスタンドは、キャノピーの進化とともに変化しています。
かつては広い敷地が必要だったスタンドも、最近ではコンパクトな設計が求められ、スペース効率が重視されています。
また、キャノピーの照明は省エネのLEDに移行し、夜間の視認性を高めつつ電力消費を抑えています。
ガソリンスタンドのキャノピーは、単なる雨よけ以上の存在です。
梅雨の雨や雷雨、冬の雪から給油作業を守り、コストと効率を追求した設計が施されています。
変わりやすい天気の中、時代とともに進化を続けるガソリンスタンドは、私たちの生活に欠かせない存在として、これからもその役割を担っていくでしょう。
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