駐車場の舗装路面に、突如として虹色のシミが現れることがあります。
　
　特に雨が降った後などはしばしば見かけることもあり、ぱっと見は7色に輝いているためキレイに見えますが、実は「非常に危険なサイン」であることがあります。一体何が起きているのでしょうか。

　この7色のシミの正体は、クルマから漏れ出た「オイル」であることが大半です。特に、クルマが停まっている時間が長い駐車場にあれば、その可能性はほぼ間違いありません。

　7色は、路面の水分とオイルの油分が混ざることで油膜を生じさせ、光を反射させて虹色に見えるのです。

　しかしこれは、決して美しい状態ではありません。そこに停めていたクルマのオーナーはできるだけ早く対処すべきです。

　なぜならば、通常はクルマの各機構に密封されているはずのオイルが漏れ出ていると考えられるためです。

　クルマには、エンジンやブレーキ、パワーステアリング、トランスミッション、サスペンションなどで複数のオイルが用いられています。

　これらのオイルは、機構の潤滑や洗浄、冷却、防錆、衝撃吸収などの役割のほか、オイル自体が「油圧」として機構の作動力として利用されることもあります。

　そのため、それぞれの機構に注入されているオイルは適正な量であることが必要であり、漏れ出たりすることは「異常な状態」です。

　虹色のシミが作られていれば、これがクルマから流れて路面にこぼれた証拠です。どこかの機構の故障を示す、一刻を争う緊急事態の可能性があります。

　旧車を扱う神奈川県の自動車整備士は、駐車場などで虹色のシミを見つけた場合について、過去の取材で以下のように話します。

「クルマを動かす前に見つけた場合は、まずシミの場所を確認し、上部にどのパーツが存在するかをチェックすると、整備のヒントとなることもあります。

　クルマの駆動方式にもよりますが、FR（後輪駆動）車ではフロントにシミがあればエンジンオイルの漏れを、リアにあればミッションオイルかデフ（ディファレンシャルギア）オイルの漏れを疑います。

　小さいシミであれば、エンジンのヘッドカバーガスケット（パッキン）やパワステオイルがたまっているタンクのガスケットなど、密閉性を保つゴム部品の劣化によるオイルにじみであることが多いでしょう」

　もし、シミが数十センチ大の場合や、オイルそのものによる水たまり（油だまり）が起きている場合は極めて危険です。

　この場合では、エンジンブロック本体や油圧回路に亀裂が入っているなど、著しく破損している状態が疑われ、オイルが多量に漏れていることを示します。

　エンジンをかけずにすぐに整備工場に連絡し、ロードサービスを呼ぶ必要があります。また、油の流失と周囲の汚損を防ぐ措置を取らなくてはなりません。

　このまま放置したり、エンジンをかけてしまうと、オイルが喪失した状態になるので、機構の摩擦が増えて焼き付き、重大な故障の原因になるほか、ブレーキやミッションオイルであれば油圧が作動せず、大事故に至る可能性があります。

　また、漏れたオイルがエンジンの排気管などに接触すると発火し、車両火災のおそれもあります。実際にJAF（日本自動車連盟）でも、オイル漏れは車両火災要因のひとつとして挙げられています。

　万が一、愛車を停めている駐車場で虹色のシミを見つけたら、早急な対応が必要といえます。

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　クルマの下に見られるシミとしては、この虹色のオイル漏れのほかにも、クーラント（冷却水）の漏れ、エアコンの排水によるものなども考えられますが、色や性状が異なります。

　またエンジンオイルは黒っぽい色をしているので、水に濡れなければ黒いシミになります。

　クーラント漏れは経年車で、ラジエーターなどの冷却系統が劣化することで起こりますが、クーラント自体が赤や緑色をしているほか、独特な甘い匂いがすることで判断できます。

　ガソリン漏れは、ガソリン自体のツンとした匂いがするため、見た目ではなく匂いで気づくことがほとんどです。むしろ、ガソリンは揮発性が高いため、シミになることはありません。

　なお、車内でエアコンをつけているとクルマの下に「水たまり」のようなものが現れますが、これはエアコンが作動することで発生する結露の水分の排水であり、異常ではありません。

　エアコンの排水は匂いはせず、油分も含まれないため虹色になることはありません。