「一部仕様変更」どころじゃない!? スズキの軽トラ「スーパーキャリイ Xリミテッド」2026年モデル 「2駆オートマもアリ?」嬉しくも悩ましい充実性能とは
スズキの軽トラ、「キャリイ」シリーズが2026年モデルで「一部仕様変更」されました。中でも室内空間が拡大され、仕事にも趣味にも大活躍の「スーパーキャリイ」について、旧型を使い倒しているライターの伊丹孝裕さんが試乗しました。
2026年モデルで印象が激変!?
「シートは直角、背筋ピン」が軽トラ運転の基本姿勢でして、65年の歴史を誇るスズキのキャリイ(当初の車名はスズライトキャリイ)ももちろん例外ではありません。
とはいえ、時代が変われば、ニーズも変わるもの。そんなキャリイのシート後方に空間が増設されたビッグキャビン仕様、その名も「スーパーキャリイ」の発売が2018年のことでした。
これを私(筆者:伊丹孝裕)、即購入し、日常生活からバイク遊びのためのトランポ、そして旅のお供としてフル活用。2WDか4WDか、5MTか4ATの選択を前にして、なんの迷いもなく4WD&5MTの組み合わせを選び、その頼もしさに全幅の信頼を置いておりました。
幾度か軽微な仕様変更があったり、新色の追加があったスーパーキャリイですが、2026年1月には、これまでで最大級の改良を受けて登場。
フロントマスクが刷新されるわ、メーターはアナログからデジタルになるわ、それにともなって内装もガラリと変わるわ、安全装備やおもてなし装備の充実は図られるわ、パッと見には、ほとんどフルモデルチェンジ級にアップデート。
プレスリリースには「一部仕様変更」と遠慮がちな表現に留められており、厳密にはそうなのでしょうが、それがにわかには信じられないくらい印象が激変しております。
では、走らせるとどうなのか。それを確かめるべく、新型スーパーキャリイを借り出し、街中から高速道路、ワインディング、林道までお試し。そのパフォーマンスをじっくり体感してみました。
メーカーが試乗車として用意しているのは、シリーズの中でもフラッグシップに当たる「スーパーキャリイ Xリミテッド」と呼ばれる特別仕様車です。
スーパーキャリイには、「L」(129万1000円~)と「X」(145万9700円~)という2グレードがあり、その内のXに専用のデカールがあしらい、フロントガーニッシュやバンパー、ホイールなどをブラックで塗装。アウトドアテイストを盛った外観が特徴です。

実は今回、心配だったことがありまして……。というのも、駆動方式は2WDかパートタイム4WDのどちらかを選べたものの、トランスミッションに5MTの用意はなく、4ATのみ。
「軽トラは4駆の5MTに限る」と強く信じ、実際過去も現在も所有車はすべてそうなのですが、無いものは仕方がない。ならいっそ、「2駆ってヤツも試してみるか」という興味本位、もしくは若干の怖い物見たさも手伝って、2WD&4AT車をリクエスト。それがこのアイビーグリーンメタリックのモデルです。
で、どうだったか。これが思いのほか、というか、思っていたよりも遥かにずっとかなりとっても良かった、というのが最大の収穫でした。
まず4ATについて。思えばスーパーキャリイのATは、CVTではなく、ましてDCTでもなく、今やすっかり少数派のトルコン式。ギアの切り替わりが明確で、アクセルを踏んで加速している途中、一瞬空白があって、また加速するタイプです。
ゼロ発進からの体感でそれを記すと、「ブーン、ンッ、ブーン、ンッ、ブーン、ンッ」で4速に到達。いつでもどこでもきっちりトルクを上乗せできる実直な仕事っぷりが好印象です。
傾斜のないフラットな道でアクセルをジワッと操作した場合、1速が0~15km/h、2速が15~30km/h、3速が30~50km/h、そして4速が50km/h超をカバー(空荷の時)。
変速のタイミングやショックに不自然さも不満もなく、ただし、たとえば4速で高速道路を巡航中、微妙な登り勾配に差し掛かった時は、3速と4速を行ったり来たりすることがあるため、それがわずらわしいようであれば、オーバードライブをOFFにして3速に固定しておけば万事解決。乗り手の指示をきちんと反映し、余計なことはしないシンプルな機構がいいですね。
なにより感心したのは静粛性で、アクセルをバチンと踏んでもエンジンがシート下にあるとは思えないほど、吸気音は一定に留められ、振動にいたってはほぼ皆無。私が乗っていたスーパーキャリイと基本設計は変わっていないはずなのに、上質さは明らかに向上しています。

音振が優れていると、全体のカドが丸められたようにも感じられ、その影響もあるのか、それとも足まわりやシートも見直されたのか、乗り心地も良くなっています。以前のスーパーキャリイだと、「ガツッ」とお尻にきていた突き上げが「トンッ」くらいの柔らかさに変化。
これが物理的な現象として分かるのが、フタが付いたカップタイプのホットコーヒーを車内に持ち込んだ時です。あれのタブを開け、まだ中身がたっぷり残っている状態でドリンクホルダーに置こうものなら、微細な突き上げでも100%こぼれるのが、軽トラ界の常識でして。
一度タブを開けたなら、熱かろうかなんだろうが、とりあえず6分目くらいまで飲んで量を減らしておく必要があり、しかも口に近づける際には路面のギャップを先読みし、確実にフラットそうなタイミングで「ズズッ」とやらないとシャツにこぼすか、やけどは必至。
かなりの熟練を要していたわけですが、新型スーパーキャリイだと、そのまま置いても大丈夫とまでは言えないまでも、減らす量は8分目くらいで済み、不用意なやけども避けられるはず。たぶん。
シフト操作がないためカップを保持しやすいというのもメリットで、5MTに対する4ATの明らかなデメリットは、燃費(WLTCモードで2.5km/Lの差)くらいでしょうか。
とはいえ、高速50%、街中25%、ワインディング(林道含む)25%程の割合で、約400km走行した結果、平均燃費は16.6km/Lといったところ。ショートレシオの軽トラックとしては、十分に及第点をあげてもいいんじゃないですかね。
そしてもうひとつ。「2駆ってやつも試してみるか」問題はどうだったか。日常的にそれほどハードな使い方はしませんが、それでも年に1回か2回は4WDボタンをポチッと押して事なきを得る、という場面があります。
年に1回か2回とはいえ、そのままスタックして立ち往生するか、脱出できるかではあまりに大きな違いがあり、なので自分にとっては問答無用に欠かせない装備だったわけですが、現在は全グレードに「ぬかるみ脱出アシスト」を標準装備。
これがなんなのかと言えば、その名の通り、ぬかるみで駆動輪のどちらから空転したり、たとえばつづら折れの狭いカーブで内輪のトラクションが抜けて前に進めなくなった場合(←空荷の軽トラや商用バンではよくあるケース)、空回りしているタイヤにブレーキを掛け、そのぶんの駆動力を反対側に振り分けてくれるという制御です。
低ミュー路のタイトターンで意図的にこれを再現してみたところ、数回転ホイールスピンした後、グッグッグッとトラクションが回復して無事前進。これまでの自分の経験と使い方に照らし合わせると、4WDの代替機能として十分な効果が期待でき、必ずしも4WDに固執する必要はないかもね、と思えたお役立ち制御でした。
というわけで、「2駆のオートマ? そんな軟弱なもんに乗れるか」と、これまでは最初から除外していたのに、急に選択の可能性が広がり、嬉しいやら悩ましいやら。
スーパーキャリイ Xリミテッドの価格(消費税10%込み)は、156万9700円~180万700円。ベースになった「スーパーキャリイ」は、129万1400円~169万700円、車体色は全4色で発売中です。






































































