知らなかったじゃ済まされない! 自己流で「タイヤ交換」何が危険? “ナット締めすぎ”で最悪ちぎれる!? カンタン&ラクに交換する方法とは
冬から春へと移り、スタッドレスから夏タイヤに履き替える時期になりました。自分で交換する人も多いと思いますが、自己流でのタイヤ交換は危険です。正しいジャッキアップやナットの締め付けなど、注意点を整備士に聞いてみました。
正しい方法でタイヤ交換してますか?
春へと季節が変わり、タイヤ交換の時期になりました。雪道や凍結路で活躍したスタッドレスタイヤから夏タイヤへの履き替えを、自分でする人も多いでしょう。
しかし、自己流でタイヤ交換すると、思わぬトラブルに可能性が高いことはあまり知られていないかもしれません。
正しいタイヤ交換とはどのようなものなのでしょうか。雪や凍結も多い地域のT整備士に詳しく聞いてみました。

タイヤ交換で大切なのが工具の準備です。トランク内などに格納されている純正の車載工具でもできないとは言えませんが、専用工具を事前に用意しておくと作業効率が上がるそうです。
「タイヤ交換に必要な最低限の工具としては、ジャッキとクロスレンチ(十字になっているレンチ)。ただし、これだけでは十分とは言えません。
汚れやケガから手を守るための軍手やグローブ、締め付け用のトルクレンチ、あとはジャッキアップ後に車体を安定させる輪止めも用意しましょう」
ジャッキというと、折りたたみ式の「パンタグラフジャッキ」は軽量でコンパクトかつ安価なのが魅力ですが、より確実に安定してジャッキアップできる「油圧ジャッキ」のほうが、作業効率は圧倒的に高いといいます。
さて、クルマをジャッキアップさせるときは、とにかく安全を最優先しましょう。1トン以上の車体を一部持ち上げるのですから、平坦な硬い路面で周囲に危険がない環境での作業も大切なポイント。ギアは「P」に入れ、サイドブレーキもかけます。
「持ち上げる前に交換するタイヤのナットをすべて緩めておくこと」も重要だと、T整備士はいいます。
「また、ジャッキアップする前に、取扱説明書などで必ず『ジャッキアップポイント』をチェックしてください。
また国産車の場合は、サイドシル下部にある『切欠き』と呼ばれる目印の凹みにジャッキを合わせてください。ポイントがズレたままジャッキアップすると、ジャッキアップポイントが潰れてしまいます。
輸入車の場合は独自の形状をしていることが多く、ジャッキアップポイントに合う形状の『ジャッキパッド(ゴムパッド)』が必要になることがあります」(T整備士)
安定した状態でジャッキアップできたら、ナットを外し、スタッドレスをホイールごと夏タイヤのセットに交換します。
この場合、いきなり堅く絞めずに緩い状態でジャッキを降ろしてからナットを締め直します。
これでタイヤ交換は終了だと思いがちですが、実はもうひとつ注意点があるのだそうです。
このタイヤ&ホイールの交換での、さらなる注意点。それは「ナットの締め付け具合」です。クロスレンチだけでは締め過ぎてネジ山を舐めてしまったり、最悪のケースではナットを受けるハブボルトが破損してしまうことも。
逆に締め足りずにグラついたり脱輪してしまうこともあるのです。
「ホイールナットの締め付けは、取り扱い説明書に記載されている『適正トルク』で締めることが非常に重要です。そのためにも締め付けトルクを設定できるトルクレンチもほしいところ。
ナットをきつく締め付けすぎると、今度は取り外せない事態にもなりかねませんので、トルクレンチで適正なトルクをかけて締めてください」(T整備士)
また、適性トルクでナットを一度締めただけではまだ不十分。タイヤ交換作業はエンジンを切った状態で行うので、ホイールやナットも冷えています。
鉄は熱が入ると膨張し冷めると収縮する性質があるので、走行してホイールも温まり再度冷えると緩んでしまうこともあるのだそうです。
「タイヤ交換後は、5~10分程度で結構ですので軽く走行していただいたのちに、再度トルクレンチで増し締めすると、より確実に固定できると思います」(T整備士)
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タイヤ交換は経験を積むことでよりコツが掴めるようになるでしょう。
万が一パンクした場合でも、タイヤ交換の経験の有無でトラブルへの対処がだいぶ楽になるので、一度DIYでタイヤ交換することをお勧めします。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。



















