前のクルマに謎の「ちょうちょマーク」が…一体どういう意味? 知らなきゃ「反則金6000円」の可能性も! 若葉マークだけでない「重要な標識」見たらどうすればいいのか

クルマの車体に貼られるステッカーには「若葉マーク」「もみじマーク」をよく見かけますが、なかには「緑地に黄色のちょうちょが描かれた丸いマーク」を貼ったクルマを見かけることがあります。一体何のクルマを意味しているのでしょうか。

若葉マークとは違う「謎のマーク」の意味は

 クルマの車体に貼られるステッカーには「若葉マーク」「もみじマーク」をよく見かけますが、なかには「緑地に黄色のちょうちょが描かれた丸いマーク」を貼ったクルマを見かけることがあります。
 
 SNSなどでも「謎のちょうちょマークって何のクルマなの?」「たまに知らんマークのやつ見る」などの声があります。一体何のクルマを意味しているのでしょうか。

画像はイメージ
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 緑地に黄色のちょうちょが描かれたマークの正体は、正式名称を「聴覚障害者標識」といいます。「聴覚障害者マーク」とも呼ばれています。

 この標識は、2008年6月1日の道路交通法改正で、聴覚障がい者の「免許取得条件」が緩和されたときに新設されました。まだ16年ちょっとしか経っていないので、馴染みの薄い人もいるかもしれません。

 まず、聴覚に難を抱える人のうち、「補聴器を使用して10メートルの距離で90デジベルの警音器の音が聞こえる」場合は、すべての第一種および第二種免許が取得可能となっています。

 しかしその条件に達しない場合は、かつては免許を取得できませんでした。緊急車両の音が聞こえなかったり、周囲の危険を察知できないという理由です。その制限が緩和されたのです。

「90デジベル条件」に達しない人でも「車両の前後に聴覚障害者標識を表示すること」「後方安全を確認するための特定後写鏡の装着」という条件で、運転が可能になりました。

 この特定後写鏡とは、乗用車ではルームミラーに取り付ける「ワイドミラー」、貨物車ではサイドミラーに取り付ける「補助ミラー」となります。

 さらに2017年には規制緩和が進み、準中型・普通・大型自動二輪・普通自動二輪・小型特殊・原付の第一種免許が取得可能になりました。(このうち、準中型・普通の場合に、前述した標識表示とワイドミラー装着が必要)

 ※ ※ ※

 さて、この「ちょうちょマーク」の付いたクルマに対しては、周囲のドライバーも不適切な対応を避けなければなりません。

 まず警音器(クラクション)の音では危険を認知できないことを理解する必要があり、必要に応じて徐行、減速を行い、聴覚障がい者が運転するクルマが安全に通行できるようにしなければなりません。

 たとえば「警笛鳴らせ」の標識が設置されている山岳道路や見通しがきかない交差点を走行するとき、当該車は自車の認知が遅れる可能性があります。

 また、当該車が突然車線変更した場合、脇道からで前進して出ようとするときや、後退して大きな道路に進入しようとしている場合も、警音器を鳴らしても気が付いてくれない可能性があります。

 もし、「ちょうちょマーク車」に対して幅寄せや割込みをした場合、若葉マークやもみじマークに対するのと同じ「初心運転者等保護義務違反」となり、6000円の反則金および違反点数1点が科されます。

 いっぽう「ちょうちょマーク」を表示しなかった場合も、若葉マークを表示しなかった場合と同様に、反則金4000円、違反点数1点が課されます。ちなみにそれ以外、高齢者運転者マークなどには表示義務がありません。

 こうした「ちょうちょマーク」の意味がなかなか浸透しない理由として、一般的に「ちょうちょと聴覚障がい者って…普通は連想しないよ」という認識があるのかもしれません。

 一説には「両耳のかたちをイメージした」というデザイン的意味もあるとされていますが、「普通に耳のデザインでいいじゃないか」という意見も見られます。とはいえ、我々ドライバーはマークの意味をしっかり頭に入れて運転しましょう。

【画像】ええっ…!? これが謎の「ちょうちょマーク」の正体です(30枚以上)

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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