伊勢志摩~渥美半島の「わずか20km」海峡部つなぐ「伊勢湾アクアライン」計画どこまで進んだ? 夢の構想路線「伊勢湾口道路」のスゴさとは
どこまで話は進んでいるの?
さて、気になる進捗ですが、事業化への第一歩となる「計画段階評価」を始めていこうという機運は、まだ高まっていません。中部地方整備局の2024年度の調査計画を見ても、「伊勢湾周辺の道路ネットワークについて調査します」といったざっくりとした記述すらありません。まだまだ優先順位は低そうです。

しかし、国はやる気を失っているわけではありません。2023年7月に「国土形成計画(全国計画)」が策定され、「2050年、さらに先の長期を見据えつつ、今後おおむね10年間(略)総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を定めることとする」としています。
そんな総合計画のなかで、国は以下のとおり、はっきりと宣言しています。
「湾口部、海峡部等を連絡するプロジェクトについては、地域活力の創出、リダンダンシーの確保等の観点も含め、国土全体にわたる連結強化の重要性も踏まえつつ、民間活力の活用も視野に、長期的視点から取り組む」
これはすなわち、今後10年間に、伊勢湾口道路のプロジェクトも何らかの前進を見せる(つまり予算を付けていく)可能性もあると言っていいでしょう。
沿線自治体の熱意は高く、2024年7月に中部圏開発整備地方協議会が国あてに要望を行っています。連名は富山・石川・福井・長野・岐阜・静岡・愛知・三重の8県知事と名古屋・静岡・浜松市長という錚々たるメンバーです。
伊勢湾口道路については「所要の調査を推進し、早期事業化を図ること」と求めています。
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首都圏における「近くて遠い存在」神奈川~房総半島をつないだ「東京湾アクアライン」は、物流や観光、通勤通学など、人々の移動のあり方を大きく変化させました。
おなじく東海地方、はては近畿地方の「近くて遠い存在」をつなぐ「伊勢湾アクアライン」というべき伊勢湾口道路計画は、果たして第一歩、また「一歩目の足上げ」を始めるのはいつになるのか、まずは総合計画で示された「おおむね10年間」の動向に注目です。
公告が下品で公共の場でページ観られない