なぜ「原付の区分」見直す? 排気量125cc以下は「原付」に!? 警察庁が検討開始する理由とは

警察庁では今後、排気量125cc以下の二輪車についても一定の条件のもと、原動機付自転車に分類することを検討しています。現在、排気量50cc以下の二輪車は道路交通法で「原動機付自転車」と定められていますが、見直しの背景にはどのような理由があるのでしょうか。

原付の区分見直しはなぜ検討されるのか

 現在、排気量50cc以下の二輪車は道路交通法で「原動機付自転車」と定められています。
 
 しかし、警察庁では今後、排気量125cc以下の二輪車についても一定の条件のもと、原動機付自転車に分類することを検討しています。
 
 では、一体どのような背景があるのでしょうか。

原付の区分見直しはなぜ行われるのか?
原付の区分見直しはなぜ行われるのか?

 警察庁は2023年9月7日、道路交通法における「原動機付自転車」(いわゆる原付)の区分の見直しを検討すると明らかにしました。

 具体的には、現在排気量50cc以下の二輪車を原動機付自転車と定義していますが、今後は排気量125cc以下の二輪車についても、エンジンの最高出力を4キロワット以下に制限したものであれば原動機付自転車として扱うことが検討されています。

 では、なぜこのような変更をする必要があるのでしょうか。
 その理由は、国際的な排出ガス規制の基準をクリアするためです。

 日本では大気汚染の状況や海外の動向などを踏まえて自動車の排出ガス規制を強化しています。

 この規制はクルマだけでなくガソリンを燃料とする二輪車も対象であり、一酸化炭素や窒素酸化物などの排出ガスの規制値がそれぞれ定められています。

 原動機付自転車に対しては2025年11月からこの規制基準が適用される予定ですが、この基準に関してはある問題が指摘されていました。

 それは、排気量50cc以下の二輪車では現状の技術的に規制基準をクリアできないということです。

 バイクの排気ガスを浄化する装置は、エンジンで一定の温度まで温める必要があるものの、50cc以下では温度上昇に時間がかかってしまい、浄化効果が出るまでに規制基準を超えてしまいます。

 その一方、排気量125ccであれば浄化装置の温度上昇にかかる時間が3分の1程度に抑えられ、規制基準をクリアすることが可能です。

 つまり原動機付自転車の区分を排気量125cc以下まで広げれば、新たな技術開発やバイクの電動化を進めるといった大きなコストをかけずに済むというワケです。

 このような状況もあり、日本自動車工業会や全国オートバイ協同組合連合会などの業界団体からは原動機付自動車の区分に関する見直し要望が上がっており、このたび検討される運びとなりました。

 警察庁は、近く自動車業界関係者や大学教授などの専門家を集めて有識者検討会を開催し、提言を取りまとめるとしています。

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