アイシンの超広大テストコースで最新車両+次世代技術を一挙に試乗!“メガサプライヤー”の現在地 2026年の実力を体験!「知能化・統合制御」と「乗降・快適性」の進化、そして目指す未来とは?【後編】
北海道豊頃町にあるアイシンの広大なテストコースで、技術説明会と試乗会がおこなわれました。トランスミッションだけでなく、EV、HEVなどのパワートレーン、サスペンション、ブレーキ、ボディなど多岐にわたっての技術展示に加え、現在市販されている最新技術の搭載車から次世代の技術提案の開発車両まで、合計10台の試乗車が用意されました。山本シンヤ氏による前後編でお届けするレポートの、第2弾です。
これはある意味タイムマシン? ボタン1つで「天使の咆哮 レクサスLFA」から「FD3Sロータリー」まで!
レクサス RZで体感した「コンバージョン機能」は、BEVの駆動力や回生ブレーキ、旭化成と協業した車内音響(エンジン音クリエーター)を駆使し、名車の走りを呼び覚ますエンターテインメント技術です。
今回試したモードは4つ。その印象は下記になります。

●レクサス LFAモード
シングルクラッチ(ASG)特有のガツンとくる変速ショックやタイムラグ、アクセルを踏み込んだ瞬間の鋭い回頭性まで再現。「バカだなぁ!(最大級の褒め言葉)」と思わず笑ってしまうほどの仕上がりでした。
●トヨタ 2000GTモード
現代の基準からすると緩やかかつ大きめのロールを許す足回りと、ギア比の離れたゆったりとした加速感、そして直6らしいウェットな吸排気サウンドを再現。
●RX-7(FD3S)モード
ロータリーならではの伸びやかな吹け上がり音とともに、フロントが極端に軽くクイックに曲がる回頭性を披露。「シフトアップを促すピーッというオーバーレブ警告ブザーまで鳴ったら完璧ですね!」とリクエストしたほどです。
●ダッジ チャレンジャーモード
アメリカンな大排気量V8が鼻先に乗っているような、良くも悪くもドシッとした曲がりにくいステアフィールと、力任せに曲げていくような豪快なトルク感を上手に表現していました。
もちろんエンタメ機能なのですべてが本物と完全に一致するわけではありませんが、駆動力・制動力・音の制御だけで、ベース車(レクサスRZ)のキャラクターをここまで塗り替えられるのは面白いと感じました。
これに加えて、メーター表示やシート振動まで連動できれば、将来のOTA(無線アップデート)による課金ビジネスとしても大きな可能性を秘めています。
発想転換のきっかけはGoogle翻訳!? 性能効果が劇的向上した「次世代AVS」に驚く
現在販売中のレクサス「ES」に搭載される「新世代AVS(電子制御サスペンション)」は、従来の理論運動方程式モデルから、AIの時系列予測モデル(LSTM)へと刷新されたのがポイントです。
自動車技術会学術貢献賞を受賞したこの技術は、段差を踏んだ瞬間の推定遅れを解消し、減衰力を瞬時に最適化しますが、その精度が従来とは段違い。

面白いのはその開発の着想です。サスペンションの正確なストローク速度を測る大型センサーは量産車には装着できないため、開発陣は「Google翻訳」の仕組みに着目。
車体Gセンサーの動き(日本語)と足回りの実際の動き(英語)を大量にAIへ機械学習させ、Gセンサーの入力からリアルタイムに足回りのストロークを“翻訳”して減衰力を先回り制御させるという、実にユニークなアプローチを取っています。
実際にテストコースのドイツ路(連続した段差やうねりのある波状路面)を走らせてみると、その効果は絶大でした。従来型にあった揺れ戻しや突き上げが一発で収束し、目線が全くブレない見事なフラットライドが保たれています。その差は荒れた舗装が綺麗に補修されたと勘違いしてしまうほど。

これまで日本車の電子制御サスが言うほど効果が感じにくかったのは、ダンパーやサスペンションのハードウェア精度の問題ではなく、路面入力に対して「減衰力を発生させるタイミング(位相)がわずかにズレていただけだった」と聞いて愕然。ハードウェアの追加コストなし、ソフトウェアの進化だけでここまで乗り味が上質になるのかと、技術の奥深さにシミジミと感動させられました。
さらにESにはモーターとECUをインライン一体化して横幅を90mmまで縮小した大舵角リヤアクティブステアリング(ARS/DRS)も、低速での取り回しだけでなく、高速レーンチェンジや旋回時の圧倒的なスタビリティに大きく寄与していました。




















































