トヨタ「ランドクルーザー250」より小さい「“5人乗り”オープンSUV」に注目! 全長4.6m級の“カクカクボディ”に2リッター「直4」エンジン搭載! メビウスが手掛けた”悪路も走れる”「”斬新”メビウス3」ケニア仕様とは!
ケニアの自動車メーカーであるメビウスは、アフリカの過酷な環境を想定したSUVとして「メビウス」シリーズを展開しています。そのなかでも最新モデルである「メビウス3」には、どのような特徴があるのでしょうか。
「“5人乗り”オープンSUV」!
アフリカのケニアには、「アフリカのために、アフリカで車両を製造する」ことを目指して設立されたメビウスという自動車メーカーがあります。同社の最新モデルは「メビウス3」というSUVです。一体どのようなクルマなのでしょうか。
現在、アフリカ大陸では、モロッコ、エジプト、南アフリカ、ケニア、アルジェリア、ナイジェリア、チュニジア、ガーナ、エチオピア、ルワンダの10カ国で自動車の生産が可能なメーカーが存在しています。しかし、ほとんどが欧米やアジアメーカーのノックダウン生産を担っており、クルマの独自開発から生産までを行うメーカーは限られています。
そのひとつに、ケニアの「メビウス・モーターズ・ケニア」があります。同社を創業したのは英国出身のジョエル・ジャクソン氏。同氏はケニア国内、特に農村部における移動の困難さを改善する必要性を感じ、「アフリカのために、アフリカで車両を生産する」という目標を掲げ、2011年にメビウスを立ち上げました。
ケニアでの移動手段は乗合バスやタクシーを含めたクルマに頼っていますが、自動車市場では輸入中古車が多くを占めています。しかし輸入中古車の価格は高く、さらにケニアの過酷な道路環境では耐久性が足りないと言われていました。
そこでメビウスは、低価格と積載力、そして高い耐久性を持つアフリカ向け自動車の開発を目標としました。また同社は単なる自動車メーカーだけでなく、公共交通機関から移動診療、物品配送などの収益性が高い輸送サービス事業を可能とする「ビジネス・プラットフォーム」の構築も目指していました。
最初に開発されたプロトタイプ「メビウス1」はバギーのようなスタイルで、2014年に発表。翌年に50台が販売された「メビウス2」は、メビウス1に比べるとSUVらしい箱型車体を得ていました。コンセプトどおり頑健なクルマでしたが、装備は極めて質素でボディサイドには窓がなく、ドアには鍵すら付いていませんでした。
そして2019年、メビウス2の新型モデルが登場します。車名こそメビウス2と同一ですが設計や外観は別物で、スチール製のスペースフレームを採用した頑丈なシャーシ上には、大幅に洗練されたボディが載せられていました。
装備面では、側窓やパワーステアリング、エアコンなどを備えたほか、上位グレードにはカーナビ、Bluetooth接続機器なども搭載。悪路に対応すべく最低地上高は330mmを確保するなど、アフリカ向けのクルマという理念はしっかり残っていました。
しかし2021年、メビウスは中国の自動車メーカー「BAIC」(北京汽車)と販売代理店契約を締結。BAICのSUV「BJ40プラス」をメビウスの工場で組み立て、メビウス3として販売を開始しました。自社開発にはリソースとコストが膨大にかかることから、ノックダウン生産に切り替えたと思われます。
メビウス3はBJ40プラスの装備を備えつつ、フロントグリルや灯火類をメビウスのオリジナルデザインに変更しています。メビウス独自の車両設計は失われましたが、その一方でグローバルメーカーが作るクルマの生産へと方針を切り替えたことにより、安定した品質と性能を確保しました。
そんなメビウス3のボディサイズは、全長4645mm×全幅1871mm×全高1925mm、ホイールベースは2745mmです。
日本で人気を集めているトヨタ「ランドクルーザー250」の全長4925mm×全幅1940-1980mm×全高1925-1935mm、ホイールベース2850mmと比較すると、メビウス3は全長が280mm短く、全幅は69-109mm狭く、ホイールベースは105mmショートである一方、全高はほぼ同様の数値となっています。

メビウス3は、SUVらしい無骨な印象を与える4ドアボディを備え、2ドアだったメビウス2から乗降性を向上しており乗車定員は5人です。また斬新な装備として、乗員の上からキャビン後部までを覆う一体式ルーフを着脱することで、オープンエアを楽しめます。
インテリアも先代モデルから大幅に進化。シルバー調のパーツを取り入れたダッシュボードには、12インチタッチスクリーンディスプレイとデジタルインストルメントクラスターを搭載しました。ほかにも、パワーウィンドウやパワードアロック、UVカットガラス、デュアルゾーン・エアコンなどの快適装備も充実しています。
パワートレインには、最高出力160kW・最大トルク320Nmを発生する2リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載。トランスミッションには6速ATを備え、駆動方式をメビウス2で採用していたRWD(後輪駆動)から4WDに変更したことで、悪路走破性を高めました。
先進機能面ではクルーズコントロールや盗難防止システムのほかに、インフォテインメントシステムによる音楽鑑賞や通話、テキストメッセージの受信も可能となっており、快適なドライブを実現する多彩な機能を備えています。

メビウス倒産を受けたメビウス3の現在は?
しかし2024年、メビウスの財政危機による事業の清算が報じられ、車両生産も終了。高い理念を持ってケニアの自動車市場を開拓すべく奮戦してきたメビウスですが、ケニアにおける輸入中古車に勝つことはできませんでした。ケニア政府としても輸入車にかかる高い関税は収入としてのメリットが大きく、自国の自動車メーカーを守りにくいというジレンマがありました。
ところが2025年3月に、中東を拠点に先進技術事業の推進に特化した投資会社「シルバーボックス」がメビウスを買収すると発表。メビウスのプレスリリースによるとサービスセンターはすでに再開しており、メビウス3の生産も2025年7月に再スタート。新開発モデルも2025年12月までに発売、と報じています。
しかし2026年9月現在、車両の販売が行われているのかどうかまで確認はできませんでした。なおメビウスの公式サイトでは、現在もメビウス2とメビウス3の両車を紹介しています。
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参考までに、メビウス2の新車価格は約150万ケニアシリング〜190万ケニアシリング、日本円で約180万ケニアシリング〜230万円(2026年9月末時点のレート 以下同)であり、メビウス3は約427万ケニアシリング(日本円で約470万円)で販売されているといいます。
ケニアの平均年収は日本円で約100万円〜110万円とのことなので、かなりの高額車となりますが、輸入車はさらに高く、例えば新車のトヨタのランドクルーザー250は、日本円で約2000万円もするそうです。
アフリカの交通を変えるという崇高な目的をもって起業したメビウスだけに、今後の継続や発展を期待せずにはいられません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。




























