アイシンの超広大テストコースで最新車両+次世代技術を一挙に試乗!“メガサプライヤー”の現在地 2026年の実力を体験! 「骨格と走り」の最新技術をレポート【前編】
北海道豊頃町にあるアイシンの広大なテストコースで、技術説明会と試乗会がおこなわれました。トランスミッションだけでなく、EV、HEVなどのパワートレーン、サスペンション、ブレーキ、ボディなど多岐にわたっての技術展示に加え、現在市販されている最新技術の搭載車から次世代の技術提案の開発車両まで、合計10台の試乗車が用意されました。山本シンヤ氏による前後編でお届けするレポートの、第1弾です。
テスラ「ギガキャスト」への挑戦? アイシンの提案する「TEKIZAI」って何だ?
世界的なトレンドとなっているギガキャスト(一体成型)に対して、アイシンの提案はバンパービーム等で培ってきたアルミ押出材やダイキャスト技術を活かして提案するのが「TEKIZAI(適材)ボディ」です。
サスペンションタワーなど剛性が必要な部位にはアルミダイキャスト、衝撃吸収を担うサイドメンバーにはアルミ押出材、結合部には鉄板を最適配置した左右計6分割の構造を採用しています。これにより、ギガキャストが抱える「巨額の設備投資リスク」や、「ちょっとぶつけただけでフレーム丸ごとASSY交換になり、修理費や保険料が高騰する」というユーザー視点の大問題をクリア。鉄製ボディ比1.35倍の静的ねじり剛性を確保しつつ、優れた補修性を両立させています。

驚いたのはその検証方法です。なんとテスラ「モデルY」を6人がかりで分解、フロント周りをドンガラ状態にした上で自社の適材ボディをスワップして試作車を仕立てたと言います。その技術と執念たるや凄まじいものがあります。
今回はモデルYの3仕様(初期モデルの鉄製ボディ、それ以降のギガキャスト製ボディ、アイシンの適材ボディ)の3台を同じ周回路の条件で乗り比べてみましたが、その差は歴然でした。
鉄製ボディは直進こそ穏やかなものの、レーンチェンジや切り返しでたわみの余韻が残り、頼りなさが否めません。一方のギガキャストは剛性感こそ高いものの、路面の凹凸で微小な突っ張り感があり、まるでラジコンのような過敏で扱いにくい動きが目立ちます。

これに対し、アイシンの適材ボディはまさに「いいとこ取り」の仕上がりでした。ギガキャストに迫る収束性の高さと剛性感がありながら、角が取れて実にしなやか。路面からのフィードバックが豊かで自然にロールし、同じ感覚でステアリングを握っていても一体感と安心感のバランスが絶妙でした。
剛性はただ固めるだけでなく「適度にいなす」ことがいかに重要と言われています。そういう意味では、筋肉の余分な緊張が取れたようなしなやかさに、「テスラ純正ギガキャストより全然イイじゃん! テスラに逆提案して売り込めばいいのに!」と本気で言ってしまったほどの完成度でした。
次世代小型EVには必須の要素技術! 大幅な小型化+軽量化を実現する「X-in-1」
電動化の要となる「eAxle」では、モーター、減速機、インバーターに加え、DC-DCコンバーター、車載充電器(OBC)、ACインバーター、さらにエアコン冷媒回路まで一体化させた「X-in-1」になります。
モーターを25000〜30000rpmという超高回転型とし、ギヤの熱処理技術を駆使して大径化を抑制したほか、モーターやインバーターの排熱を冷媒回路経由で暖房熱源として効率回収する熱マネジメントも統合。容積は他社の同クラスユニット比で約60%減となる約55Lまで小型化されています。
今回は日産「サクラ」をベースとした試作車での体感ですが、ボンネットを開けると中身は驚くほどスカスカです。これならフロントクラッシュゾーンの拡大や、普通車クラスならフランク(前トランク)の新設など、車体パッケージングが劇的に変わるはずです。

走り出してすぐに体感できるのが、ノーズ周りの圧倒的な軽快感。約30kgの軽量化と低重心化はてきめんで、サスペンション自体はノーマルのまま(全く手を入れていない状態)にもかかわらず、足回りのバタつきが消え、フロントがしっとり路面に吸い付きます。思わず「君はサクラ NISMOですか!?」と呼びたくなるほど軽快かつ気持ち良くノーズがインへ入っていくのです。
さらに驚いたのはトルク伝達の滑らかさです。これはギヤの歯当たりを予測してトルク応答レートをミリ秒単位で制御しているとのことですが、アクセルをパッと急に戻したり踏み直したりした時のバックラッシュ(ガタ打ち音)やショックが皆無でした。
高回転モーター特有の耳障りな高周波インバーター音も巧みに抑え込まれており、足裏の僅かな力加減にどこまでもリニアに応えてくれます。
つまり、ただ小さく安く作るだけでなく、「走り味」まで作り込めるのが、アイシンなのです。




















































