トヨタ「小さいカローラ」25年10月末に生産終了! ちょうどいい5ナンバーサイズで室内広々! 想定以上にロングセラーとなった「アクシオ/フィールダー」が魅力的だったワケ
オーナーが次に乗り替えた意外なクルマとは!
同様にワゴンのカローラツーリングは、5ナンバー車のカローラフィールダーに比べて荷室も狭いです。
カローラフィールダーの荷室長は、後席を使っている状態で1070mmを確保しており、この時の荷室容量は413リットルなのに対して、現行カローラツーリングは、3ナンバー車に拡大されながら、荷室長は930mmと短く荷室容量も392リットルに留まります。

このように先代型となるカローラアクシオ/フィールダーは、ボディがコンパクトな5ナンバー車なのに、3ナンバー車の現行カローラセダン/ツーリングに比べて後席と荷室が広いことが特徴でした。
さらに価格も求めやすいため、法人ユーザーを中心にカローラアクシオ/フィールダーの存続を求める声が根強く、新旧モデルを併売したのです。
ちなみに現行カローラセダン/ツーリングが発売された2019年の時点で、開発者は以下のように述べています。
「カローラアクシオ/フィールダーを併売する理由は、カローラは5ナンバー車であるべきだという意見が根強く、法人需要も多いためです。それでも新型(現行型)とカローラアクシオ/フィールダーを併売する期間は、長くて2年でしょう。
カローラアクシオを購入されるお客様の年齢は70歳を上まわり、フィールダーも60代です。お客様の高齢化が進んでおり、需要はそれほど長くは続かないと思います。
従って2年以内には、カローラアクシオ/フィールダーは生産を終えて、新型(現行型)へ統合されるでしょう」
開発者はこのように述べましたが、結局、カローラアクシオ/フィールダーは、約6年間にわたり併売され、カローラアクシオ/フィールダーが最初に登場した2012年から数えれば13年を経過しています。
新旧カローラがここまで長く併売された背景には、カローラアクシオ/フィールダーの根強い人気がありました。
現行カローラセダン&ツーリングが登場した翌年の2020年も、カローラシリーズ全体に占めるカローラアクシオの販売比率は10%、カローラフィールダーは14%と、両方を合計すれば、カローラシリーズの4分の1は、継続生産型のアクシオ&フィールダーだったのです。
2021年になるとSUVの「カローラクロス」が発売されて人気を高め、販売比率も増えました。直近の2024年は、カローラクロスがカローラシリーズ全体の50%を占めて、カローラアクシオは5%、カローラフィールダーは7%です。
それでも設計の新しい3ナンバー車の「カローラスポーツ」が5%、カローラセダンは9%ですから、カローラアクシオ/フィールダーは、カローラシリーズの中で決して少ない台数ではありませんでした。
※ ※ ※
カローラアクシオ/フィールダーの根強い人気からも分かる通り、5ナンバー車は日本のユーザーにとって大切な存在です。
販売店に生産を終えたカローラアクシオ/フィールダーのユーザーが何に乗り替えたか聞いてみると、「カローラアクシオ/フィールダーのお客様は、法人が中心です。そのためにフィールダーは、商用バンの『プロボックス』に乗り替えています。また『ルーミー』への乗り替えもあります。いずれも4ナンバー車や5ナンバー車といったコンパクトなモデルです」と回答されました。
トヨタが日本のユーザーをもっと大切に考えたなら、「ヤリス」や「シエンタ」と共通のGA-Bプラットフォームを使って、5ナンバーサイズのセダンとワゴンを新規開発すべきでした。
そうなればカローラアクシオ/フィールダーに比べて、安全面を含めて商品力を高められたでしょう。そしてGA-Bプラットフォームを使えば、改良を実施して、今後もラインナップを続けることができたと思います。
日本のメーカーは、5ナンバーサイズを“ガラパゴス”などと考えず、優れたカテゴリーとして、その良さを見直して欲しいと思います。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。








































