自動車整備士の仕事はどう変わる? 電子制御やスキャンツールがカギになる、最新の整備現場と将来性を徹底解説【PR】
クルマの進化に伴い、整備士の仕事も「職人技」から「デジタル診断」へ進化しています。本記事ではスキャンツールを使った最新の整備手法や、法改正で注目される電子制御技術について、業界の動向を交えてご紹介します。
【この記事のポイント】
- 自動車整備士の制度改正が行われる
- クルマの電子制御高度化が進んでいる
- 見えない異常も特定するスキャンツール
- スキャンツールの導入には補助金も
- 整備士の人数はさらに必要に
身近なクルマにも普及! 進化する電子制御技術
自動車技術の進化は目覚ましく、いまやその多くが私たちの身近なクルマにも広く普及しています。
日頃乗っているクルマにもさまざまな先進技術が搭載されており、たとえば前方の車両や歩行者との衝突を警告・回避する衝突被害軽減ブレーキ、誤ってアクセルを踏み込んでしまった際に急発進を防ぐ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置(誤発進抑制制御機能)、そして後退時に車両後方の映像をモニターに映し出す、後退時後方視界情報提供装置(バックカメラ)などがその代表です。

これらの技術を支えているのが電子制御システムと呼ばれる仕組みで、現代のクルマには欠かせない存在となっています。
制度も改正! 整備士に求められる電子制御への理解と整備技術
こうした電子制御技術は、今後の整備士制度にも深く関わるようになってきています。
2022年5月に公布され、2027年に施行予定の自動車整備士技能検定規則の改正(一部はすでに施行済み)では、これまで主に1級整備士に求められていた電子制御に関する知識や技能が、2級整備士や特殊整備士(現在の自動車電気装置整備士・自動車車体整備士)にも必要とされるようになりました。

このことからもわかるように、電子制御技術はもはやクルマにとってなくてはならないものであり、今後さらにその重要性が高まっていくと考えられます。それでは、そもそも電子制御技術とはどのようなものなのでしょうか。
電子制御技術とは、電子回路を使ってクルマのさまざまなシステムを制御する仕組みのことを指します。車載コンピューターとも呼ばれるECU(Electronic Control Unit)を介して、エンジン、ブレーキ、ステアリング、トランスミッション、キーロック、カーナビゲーション、カメラ、ヘッドライトなど、それぞれの機能に応じた制御が行われています。
現在の自動車には100個以上のECUが搭載されているとも言われ、それらが連携して1台のクルマを動かしているのです。
「走るコンピューター」へ! 変わりゆく整備士のイメージ
ところで、皆さんは「自動車整備士」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。力持ち、クルマについて何でも知っている、油のついたつなぎ姿など。人によって印象はさまざまかもしれません。
かつての自動車整備士は、機械の構造を熟知し、経験に基づく技術でクルマを整備する職人の世界でした。しかし近年では、「走るコンピューター」と呼ばれるほどクルマの高度化が進み、整備の現場もコンピューターや診断機器を扱う時代へと移り変わりつつあります。

もちろん、電子制御システムだけでクルマを走らせることはできませんから、従来の分解整備に関する知識や技術は今も欠かせません。それでも、スキャンツール(故障診断機)を駆使して点検や整備を行う整備士の姿を目にすると、その進化に驚く人も少なくないでしょう。
目視できない異常を特定! スキャンツールの活用
整備士の仕事の変化を語るうえで、必ずといってよいほど登場するのがスキャンツールと呼ばれる装置です。2025年7月に公布された自動車整備事業の規定改正でも、「スキャンツール等による点検可能範囲の拡大」という項目が設けられました。
これは、目視点検と同等の効果が得られるとして、スキャンツールなどを使用した点検を認めるという内容です。
(参考:国土交通省報道資料[PDF])

スキャンツールは、車載コンピューターの状態を確認し、故障の有無や異常箇所を特定できる診断機です。車載コンピューターはクルマの内部にあり、構造も複雑なため、外部から目視で確認することはできません。そこでスキャンツールをクルマと接続し、車載コンピューターの情報を読み取るOBD検査(車載式故障診断)を行います。
異常が検出された場合は、その情報をもとに該当箇所を特定し、必要に応じて修理や整備を実施します。
スキャンツールには、大きく分けて「専用スキャンツール」と「汎用(はんよう)スキャンツール」の2種類があります。
専用スキャンツールは自動車メーカーが独自に開発したもので、特定メーカーの車両のみを診断できます。一方、汎用スキャンツールはツールメーカーが開発したもので、複数メーカーの車両に対応しているのが特徴です。
整備に不可欠! 国も支援するスキャンツール導入の動き
国土交通省はスキャンツールを非常に重要視しており、2024年度に続き、2025年度も事業者向けにスキャンツール導入支援のための補助金事業を実施しています。(参考)
ではなぜ、国土交通省はスキャンツールの導入を推奨し、支援を行っているのでしょうか。それは、スキャンツールが自動車整備において必要不可欠な存在であり、かつ整備を取り巻く環境に課題があるためです。
現在、日本には約9.2万の整備工場があり、そのうちディーラーは全体の約2割にあたる1.6万といわれています。ディーラーでは、自動車メーカーが独自に開発した専用スキャンツールを使用することで、ほぼすべての整備作業を行うことが可能です。

一方、主に自動車整備のみを行う専業工場で使用される汎用スキャンツールは、対応できる作業内容が限られる場合があり、一部の作業はディーラーに依頼しなければならないケースもあります。しかし、ディーラーは慢性的な人手不足に加え、働き方改革の影響もあり、対応能力は限界に近いといわれています。
今後、専業工場で対応できない整備作業が増えた場合、ディーラーだけでなく、日本全体の整備体制にも支障をきたすおそれがあります。
さらに国際基準の改正により、自動車メーカーには自社製車両のサイバーセキュリティー確保が義務付けられました。そのため、メーカー各社はセキュリティーゲートウェイ(SGW)と呼ばれる車載コンピューターを導入し、自社サーバーを介したスキャンツール使用者の認証や、暗号鍵による作業管理などのシステムを実装しています。

この仕組みにより、現状では多くの汎用スキャンツールがSGWに対応しておらず、専用スキャンツールを使用しなければ整備作業が行えないケースも出てきます。
こうした状況を踏まえ、国土交通省ではスキャンツールの機能向上や、専業工場などが専用スキャンツールを購入・レンタルしやすい環境整備を進めています。
(引用:「整備技術の高度化とスキャンツールの機能向上の必要性」)
輸入車も対象! OBD検査が始まります
そして、2025年10月1日からは、輸入車に対しても電子制御装置が適切に機能しているかを確認するOBD検査(車載式故障診断)が開始されました。国産車については、2024年10月に自動車検査(車検)の検査項目として新たに追加されており、2025年10月からは輸入車も対象となったのです。

このOBD検査は、2022年10月1日以降に製造された新型車が対象となっており、一部には対象外となる車両や、OBD検査が不要となるケースもあります。
こうした動きからも、スキャンツールをはじめとする電子制御システムに対応した整備環境の整備と、それを扱える確かな知識と技能を持つ整備士の存在が、今後ますます重要になることが分かります。
(引用:「2025年10月1日より輸入車のOBD検査が開始されました」)
安心を支える整備士はもっと必要になる
今回は、整備士の仕事の変化を象徴する存在として「スキャンツール」を紹介しました。
技術の高度化・複雑化により、整備士を取り巻く環境や業務内容は大きく変化しています。しかし、自動車が存在し続ける限り、人々の安全とクルマの安心を支える自動車整備士という仕事がなくなることはありません。

むしろ今後は、そのニーズがさらに高まり、社会的にもますます重要視されていくでしょう。
複雑化する自動車技術に対応し、進化し続ける整備士の仕事。新しい技術や知識を確実に身につけるには、充実した環境で実践的に学べる専門学校での学びが何よりも大きな力となります。










