実は日本が世界をリード!? なぜ今 「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は義務化となるのか? 新たな予防安全、28年9月から

2025年6月17日に国土交通省は「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務化する」と発表しました。すでに、軽自動車から高級車まで各メーカーが標準装備になっている状況ですが、なぜこのタイミングで義務化となったのでしょうか。

なぜ今、義務化になった? 「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」

「アクセルとブレーキを踏み間違えました」。

 交通事故の原因について、加害者がそのように警察へ説明することがあります。

 コンビニやスーパーマーケットの駐車場を出る際、「踏み間違い」によってクルマが急加速してそのまま店舗に突っ込んだ。

 交差点で止まろうと思ったが、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまい、、前方のクルマに追突した。

 そんな交通事故に関する報道を目にすることが少なくありません。

トヨタの古いプリウスなどに後付け装着できる踏み間違え防止システムを以前から採用している
トヨタの古いプリウスなどに後付け装着できる踏み間違え防止システムを以前から採用している

 このような状況に陥ることを防ぐために、最近のクルマには、いわゆる「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」が備わっています。

 機能としては、クルマの周辺を感知する赤外線センサーや、レーザーを使い、停止状態から一気にアクセルを踏み込んでも、周囲に障害物があればエンジンやモーターの出力が上がらないように制御する仕組みです。

 すでに、軽自動車から高級車まで各メーカーが標準装備になっている状況です。 
 
 なかには、走行中でも条件によって急加速が不自然だとクルマが判断した場合、エンジンやモーターを制御するシステムも実用化されています。

 また、こうした予防安全技術については、ジャパン・ニュー・カー・アセスメント・プログラム(JNACP)でも必要性が議論されてきました。

 そんな中、国土交通省が2025年6月17日、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務化する」と発表したのです。

 道路運送車両の保安基準などの「一部改正によるもの」との説明です。

 このニュースを見て、「どうしてこのタイミングなの?」と思う人もいるでしょう。

 または「え! まだ法律では決まっていなかったの?」と驚く人がいるかもしれません。

 その理由について、考えてみましょう。

 まずは、義務化の内容から紹介します。

 適用期間は、令和10年(2028年)9月1日から。輸入車は令和11年(2029年9月1日)から。

 対象は新型乗用車。ただし、「運転者がクラッチ操作を必要としない乗用車」(乗車定員10人未満)としているので、MT(マニュアルトランスミッション)車は除外されます。

 急発進抑制に関する主な要件は、障害物の手前1.0m及び1.5mに停止状態でアクセルをフルストロークまで踏み込んだ場合に、次のいずれかであること、としています。

 ケース1は、障害物に衝突しないこと。ケース2は、障害物との衝突時の速度が時速8キロを越えず、障害物がない状態に比べて30%以上の速度が低下していること。運転者への警報は、視覚警報が必須です。

 そして、機能を解除する要件は、「解除中の運転者への表示」と「機能の復帰条件」と記載しています。

 国がいう「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」はこれまで、自動車メーカー各社が独自の判断で開発してきましたので、今回こうした明確な基準が示され、それが義務化されてことは、ユーザーはもとより、社会全体にとっては良いことだと思います。

日本が2022年にペダル踏み間違時加速抑制装置に関する国連基準の策定を提案し、国際議論を主導(国土交通省資料)
日本が2022年にペダル踏み間違時加速抑制装置に関する国連基準の策定を提案し、国際議論を主導(国土交通省資料)

 ただし、気になるのは、なぜこのタイミングで義務化が決まったのかということです。

 キーポイントとなるのが、国土交通省の発表にある「日本発の安全技術」という点。

 見方を変えると、この機能は日本ではすっかりお馴染みなのに、海外ではまだまだ普及していないとも言えます。

 国土交通省の発表資料には、令和6年(2024年)11月に開催された国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、日本発の安全技術として国連基準化され、今後の世界スタンダードとして認められたとあります。

 日本が世界に対して発案し、日本の技術や評価方法をベースとした国際基準になったのです。

 WP29は、国連欧州経済委員会に属しており、国連に加盟する国や地域で自動車の相互認証を明確化するための議論の場です。

 この国際基準が令和7年(2025年)6月(予定)に発効されることに合わせて、今回、「国内の法令である道路運送車両法の一部改正に盛り込まれた」ということです。

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