実は日本が世界をリード!? なぜ今 「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は義務化となるのか? 新たな予防安全、28年9月から

日本が自動車の安全で世界をリード? どういうこと?

 では、この話をもう少し深掘りします。

 6月11日に、東京大学・本郷キャンパス内で実施された、令和7年度・交通安全環境研究所講演会に参加してきました。

 同研究所は、昭和25年(1950年)に旧運輸省の研究所として発足。

 国が行う自動車の陸上交通に関わる施策立案・規準策定のための試験研究、自動車の型式指定審査、そして自動車のリコールに係る技術的な検証等の業務にあたっています。

 平成28年(2016年)4月には、旧自動車検査独立行政法人と統合し、独立行政法人 自動車技術総合機構の交通安全環境研究所となっています。

 近年では、一連の型式指定不正問題で、交通安全環境研究所の重要性がメディアでクローズアップされています。

 今回の講演会では、同研究所の自動車安全研究部から、ペダル踏み間違い時加速抑制装置(英語名称:アクセレレーション・コントロール・フォー・ペダル・エラー「ACPE」)の国連規則を策定するにあたり、具体的にどのような議論が行われたのかが詳しく説明がありました。

 それによると、ACPEの議論がGRVA(自動運転分化会)で始まったのは2023年3月から。

 最初、日本からはJNCAP(ジャパン・ニュー・カー・アセスメント・プログラム)と同様に、クルマが完全に停止した状態から急踏みする試験方法が提案されました。

 ところが、他国からは「クルマが走行している状態から…」という提案が出たのです。

各種センサー類やカメラなどを用いて作動する踏み間違い防止(誤発進抑制)装置[画像はイメージです(Photo:NISSAN)]
各種センサー類やカメラなどを用いて作動する踏み間違い防止(誤発進抑制)装置[画像はイメージです(Photo:NISSAN)]

 ただし、どの国もペダル踏み間違い時加速抑制装置の評価試験での実績がありませんでしたので、新たに試験法を考えることになったのです。

 その後の試験方法の改正については、技術的な要件が多いので本稿では紹介しませんが、結果的に日本がWP29における「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の基準化に大きく貢献したことは間違いありません。

 日本発の予防安全の考え方が、世界各国で認められたということです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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