「私、スズキだけど“外車”です!」 約100万円&全長3.5m級の「アメ車」!? 国産車の使い勝手×外車ブランドの個性融合した「シボレーMW」とは?

国産車でありながらアメリカの自動車メーカー“シボレー”の名を冠した不思議なコンパクトワゴン「シボレーMW」。スズキ製でありながらGMブランドを冠したこの異色モデルは、どのような経緯で登場し、どんな存在だったのでしょうか。

“アメ車顔”のスズキ製コンパクト「シボレーMW」の正体

 生産終了したクルマを振り返ると、意外にも“隠れた名車”が多いことに気づきます。そんな中でも、国産車でありながらシボレーの名を冠した異色の1台が「シボレーMW」でした。

スズキなのにシボレー!?
スズキなのにシボレー!?

 シボレーMWは、スズキが製造し、ゼネラルモーターズ(GM)のシボレーブランドで2000年から2010年まで日本国内で販売されたコンパクトワゴンです。

 ベースとなったのはスズキ「ワゴンRプラス」および「ワゴンRソリオ」で、いわゆるOEM供給車両でした。GMとスズキの提携関係から生まれたこのモデルは、日本車の実用性とアメリカンブランドのアイコニックさを融合させたユニークな存在として登場しました。

 このクルマの狙いは、コンパクトカー市場において“外車ブランドのステータス”と“国産車の安心感”を同時に提供することでした。

 ベース車の機能性に加え、シボレーブランドの象徴である「ボウタイ」エンブレムをフロントグリルやホイールに配し、外観にアメリカ車らしい力強さを演出。これにより、日常使いの国産車に“外車に乗る気分”を加えられる存在として、一部の層から高い関心を集めました。

 外装は専用デザインのエアロバンパーやサイドスポイラー、大型フロントグリル、ルーフエンドスポイラーなどを装備。2006年以降の改良モデルではプロジェクター式ヘッドランプやスポーティな15インチアルミホイールも一部グレードに追加され、年式によって大きく印象が異なります。

 ボディサイズは全長3575mm×全幅1620mm×全高1700mm(後期モデル)であり、取り回しの良さと室内空間の広さを両立していました。

 内装もベース車から大きく異なり、インパネやドア周辺には木目調パネルを採用。中期以降のモデルでは、フロントシートに本革、リアシートにソフトレザー、本革巻きのツートンデザインステアリングが採用されるなど、質感の向上が図られていました。

 特別仕様車「Gセレクション」ではアルカンターラシートや電動格納式ミラー、オートライトなども搭載され、上級感のある装備内容となっていました。

 快適装備としては、フルオートエアコンや2DINサイズのMD/CDステレオ、パワーウインドウ、集中ドアロックが標準装備されていました。

 安全面では、運転席・助手席SRSエアバッグ、ABS、ブレーキアシスト、サイドインパクトバーなどを搭載し、当時のコンパクトカーとしては十分な安全性を備えていました。
 エンジンは初期に1.0リッターのK10A型ターボおよび自然吸気エンジンを搭載。2002年以降は1.3リッターのM13A型エンジンに統一されました。このエンジンは最高出力88PS・最大トルク118N・mを発生し、VVT(可変バルブタイミング)機構を備えたことで、低燃費と実用性のバランスに優れていました。

 駆動方式はFFと4WDの2種類があり、組み合わされるトランスミッションは全車4速AT(コラムシフト)という構成でした。

 燃費性能は、10・15モードでFF車が18.0km/L、4WD車が16.4km/Lでした。高めの全高と四角いボディ形状を考慮すれば、当時の水準として十分合格点と言える数値です。

 新車価格はグレードや年式によって幅広く、最も戦略的な価格帯であったのは2007年以降の「Vセレクション」で、107万1000円からでした。装備を充実させた「Gセレクション」は115万5000円から、標準グレードはFFが132万3000円、4WDが143万100円という価格で販売されていました(いずれも消費税込、最終モデル期の価格)。

 シボレーMWが販売終了となった背景には、GMとスズキの資本関係解消(2008年)にともなうOEM契約の見直しがありました。2010年11月に生産を終了し、12月には正式に販売終了となっています。ブランドの垣根を越えた挑戦的な試みだっただけに、短命に終わったことは惜しまれました。

 とはいえ、シボレーMWは“スズキ製のアメ車”というユニークな存在として、今も一定のファンに支持されています。中古市場では程度の良い個体が少なくなっており、特に後期型の上級グレードは希少価値も高まりつつあります。

 国産車の使い勝手と外車ブランドの個性を併せ持ったこのクルマは、今振り返っても“意外とアリ”な選択肢だったのかもしれません。

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1件のコメント

  1. 今年はどうやら2025年の様だ。生産終了から15年も経つ。今頃この車を紹介する意味は??

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