なぜ軽自動車は「右にナンバー」ついてる? ズレてるのが気になる! けど普通車みたいに「真ん中」じゃダメなの? 近年は「正面」も増加傾向に… 「右寄り」が必要な理由とは

ほとんどの軽自動車は、ナンバープレートが若干右に寄って装着されていますが、なぜなのでしょうか。

軽だけみんな「右寄り」ナンバー なぜ?

 クルマにはナンバープレートが装着されていますが、軽自動車の場合、多くのモデルで正面から向かって右に装着されています。
 
 なぜ、まっすぐに取り付けないのでしょうか。

なんで軽自動車はナンバープレートがズレてる?
なんで軽自動車はナンバープレートがズレてる?

 その理由は、「エンジンなどを効率よく冷やす」ためです。では具体的にはどういうことなのでしょう。

 軽自動車は規格が定められており、排気量660cc以下、さらにボディサイズも全長3400mm×全幅1480mm×全高2000m以下と決まっています。

 このようにサイズの上限はあるものの、クルマを開発するにあたっては、極力室内空間は広げたほうが使い勝手がいいので、限られたサイズで不要な部分をけずって、その分キャビン(居住空間)に当てたいところです。

 そこで、車体の面積でキャビン以外の部分はというと、エンジンルームが占めています。

 エンジンは大きくて音もするため、キャビンとは離したいですが、幸いにも軽自動車はエンジンがもともと小さいので、狭くすることは容易です。

 どんどん小さくしていき、ちょうどエンジンが収まるだけのスペースにすると、今度は弊害が発生します。それが「熱」です。

 エンジンはガソリンを燃やしているので、想像以上に熱を持ちます。たとえ停車中でエンジンがアイドリング状態でも熱を持ちますし、排気量が小さい分、しっかりエンジンを稼働させなければパワーが出ません。

 となると、エンジンをしっかり冷却する必要が出てくるのです。

 通常、現代のクルマは「水冷式」という方式でエンジンを冷やしています。エンジンの内部に冷却水を循環させる水路を設けて、ポンプ(ウォーターポンプ)やバルブなどを適切に回したり開けたりして熱を吸収します。

 エンジンの熱を吸収した冷却水は、「ラジエーター」という熱交換器を通り、ラジエーターに風が当たることで温度を下げます。

 しかし、軽自動車は先出のようにエンジンルームを狭くしてしまい、熱もこもりやすくなります。

 さらに、ブレーキの配管や倍力装置、ステアリングの装置、バッテリー、エンジンの電気回路、エアコンの機器類、ウォッシャー液を入れておくタンクなど、たくさんのパーツが詰め込まれています。

 そこに、風を当てるための大きなラジエーターを配置すると、もうスペースがありません。

 残るのは、風も当たりやすいし、ほかにライトくらいしか装置がない先端部分です。日本車は右ハンドルなので、ステアリング装置やブレーキ装置などがない左のほうがよいでしょう。

 したがって、先端の左(正面から見て右)にラジエーターを取り付けます。ただしここでも問題が生じます。それがナンバープレートです。

 ナンバープレートは、変な位置に取り付けるわけにはいかないですが、大きな「板」になっているので、ラジエーターに風が当たらなくなる可能性があります。

 そうすると、先端の左(正面から見て右)にラジエーターがあるから、その反対側にナンバープレートをつけよう、という考えになるわけです。

 ただし、軽自動車でも例外があります。日産「デイズ」やホンダ「N-BOX カスタム(先代)」「N-ONE」、三菱「デリカミニ」、スズキ「ジムニー」などです。

 これらはラジエーターの効率向上やデザイン、ラジエーターの位置の変更などで真ん中に装着されています。

 さらにEVモデルでは、エンジンを搭載せず、冷やすものといえばバッテリーやエアコンの機器程度なので、ラジエーターも必要なくなります。

 実際、軽EVの日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」は、真ん中にラジエーターが装着されています。

 軽自動車の“アイデンティティ”といえば、右寄りナンバープレートも、今後は変わってくる可能性もあるかもしれません。

※ ※ ※

 実は普通車でも、似たような理由からナンバープレートをオフセットしているものがあります。

 三菱のスポーツカー「ランサーエボリューション」は、高出力のためにターボチャージャーを採用していますが、これを冷却するインタークーラーをフロントに配置。その冷却能力を最大化するため、ナンバープレートを左側に配置しています。

 また、イタリアのアルファロメオも、フロントフェイスに大きな逆三角形のグリルを採用しています。デザインを損ねないために、ナンバープレートは左側に配置しています。

 ただしアルファロメオの場合は、歩行者との事故を想定し、ナンバープレートを傷害リスクの少ない正面に配置する方針を明らかにしており、今後登場するモデルはすべて正面になる予定です。

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3件のコメント

  1. どんなに正面から風を当てようが抜けなければ意味が無い。マツダ2の最終形態のグリルがほぼカバーされていて記事内容を逆行している。車体下部もアンダーカバーで覆われていて空気の抜けが無い様な状態だが効率良く抜ける設計で冷やせる。
    以前はナンバー裏にオイルエレメント仕込んでいたりして交換の作業性を狙っていたが。
    渋滞や全体の速度が遅い都市部ではどのみち走行風よりも電動ファンの信頼を上げてソレに頼る方が効率が良いかな。

  2. 右なのか左なのか、記事では「正面から見て右にナンバー」となっているが、写真では左だし、記事では「正面から見て右にラジエターを右に配置することが多いから」で左で合ってる気もするし。出稿確認されてないのかな?

    • ここのサイトは元原稿があるらしく、各ライターはそれに従って書いている様で、細かいことはお構い無しです。あからさまな間違いは指摘があれば修正する様ですが、解りやすく書く的な意識は無い模様です。

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