価格高騰で「ガソリン抜き取り窃盗」が社会問題に!? 給油口をこじ開けてチューチュー… 外国では「年間600万リットル」が被害に 有効な対策はあるのか
抜き取り窃盗を防ぐには
ガソリンは街中にあります。すなわち、そこらじゅうを走っている「クルマのガソリンタンクの中」です。

タンクのフタを開ければ、そこにガソリンがあります。そこからポリタンクへガソリンを吸い上げれば、「1リッターあたり0円」でガソリンが手に入るというわけです。
これは「今初めてここで」犯罪を社会に提案しているわけではなく、すでに「現実にあるケース」として、社会に浸透しつつある現実があるのです。
具体的には、同じく貧困層が生活にあえぐアメリカの事例です。全米保険犯罪局の報告では、2021年の自動車に関する犯罪件数が最大になったほか、「クルマのタンクに穴を開けてガソリンを盗む」ケースも報告されているとしています。
アメリカではほかにも、ガソリンスタンドの給油機自体からガソリンを盗み出す窃盗が、数年間に相次いで報道されています。
フランスでも2022年に「ガソリン抜き取り」が社会問題になり大きく報道されました。関係紙の報告では、大型トラックを中心に国内で年間600万リットルの被害が発生し、さらに乗用車の被害も拡大しているといいます。
日本では、2007年に消防車からガソリンを抜き取ったとして、未成年2人が逮捕されています。複数の消防団施設に侵入し、計300リットルを盗んでいました。
大手質問サイトでも、20年近く前から「ガソリンを満タンにして、路面駐車場に車を止めていました。1時間ほど駐車して、車を乗ろうとしたら、満タンにしていたガソリンが半分以上減っていました」という相談が投稿されています。
また2011年の東日本大震災でも、被災地に放棄された車両からガソリンを抜き取る事件が多発。茨城県の場合では、クルマの給油口がこじ開けられていたということです。
ここで特筆すべきことは、「給油口は、こじ開けられる」ということです。
給油口は基本的に鍵穴が無く、車内のレバーで開扉するものなので、ピッキングが通用しません。当然そのかわり、盗難には強い構造に設計されているはずですが、このケースで「こじ開ける方法が存在する」ということが明らかになってしまいました。
では、何らかの「ガソリン抜き取り対策」でできることはあるのでしょうか。
まず、近年のクルマにはセキュリティアラームが装備されており、不正に解錠してドアやトランクを開けると大音響のアラームが鳴り響く仕組みですが、さらに「外部から強い衝撃が加わる」ことで発動する場合があります。
この場合、給油口を無理やりこじ開けるために強い力を掛けることでセキュリティが発動することになり、それだけで犯罪抑止になります。
しかし、さらに物理的な対応策として、給油口のフタを鍵付きの防犯カバーに替えるという方法があります。最近は給油口カバーの無い「キャップレス」車種もあり、その場合はサードパーティー製のカバーが合わないかもしれません。
リトアニアを本社に持つ運送ソリューション会社は、トラック側面を「赤外線カーテン」でカバーし、不審者を検知すると運転手へ警告するシステムを開発。導入したエストニアの運送会社は、それまで遭っていた盗難被害がゼロになったとしています。
また、広い範囲を網羅する防犯機能付きドライブレコーダーや、それを外部に知らせる防犯ステッカーも、抑止力につながるかもしれません。特に近年は後先を考えない「場当たり的な犯行」が増えているため、「ちょっと盗みにくそうであれば除外して次を探す」という心理も強くなります。
とはいえ、最も大事なことは「第三者が容易にクルマに触れることができ、盗難行為を周りから怪しまれず安心」という状態を避けることでしょう。たとえば公共の無料駐車場や、自然あふれる人気のない場所に長時間置きっぱなしにして遠出していると、監視の目が行き届きません。アラームが鳴っても誰も気づかない可能性もあります。
※ ※ ※
もし本格的にガソリン抜き取り盗難が横行する未来がやって来たならば、そこでメーカーもさらなる給油口対策を設計に投入してくるかもしれません。ただ、その日がやって来るまでに被害に遭いたくなければ、せめて常識的な防犯意識をしっかり持っておくことが必須です。
Writer: くるまのニュース編集部
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