新車150万円! マツダに「軽スーパーカー!?」あった! 5速MTのみで「高性能ターボ」をミッドシップ搭載! 「ガルウイングドア」で超カッコよかった“スペシャル軽”「AZ-1」とは
「ミッドシップ」「ガルウイング」「2シーター」「スケルトンモノコック+FRPボディ」「クイックすぎる操縦性」…。そんなぶっとんだ軽スポーツカーが存在しました。それがオートザム「AZ-1」です。どんなクルマだったのでしょうか。
スズキ製エンジンをミッドに積んだ「本格的軽スポーツカー」
新車販売の約4割を占めるほど人気が高い軽自動車。スポーツグレードを設定するモデルもあり、ダイハツ「コペン」のような本格的な2シーターオープンスポーツも販売されています。
ところが1990年代前半の平成初期には、2シーターの軽スポーツカーが3車種も存在していました。

それが、1991年登場のホンダ「ビート」とスズキ「カプチーノ」、そして翌年に出現したオートザム「AZ-1」でした。
この3台は頭文字(AZ-1、Beat、Cappuccino)を取って「ABCトリオ」と称されることもあります。
驚くべきことは、ビートとAZ-1はミッドシップだったということ。FRのカプチーノも、後輪近くに着座させる「ケーターハム スーパー7」のようなレイアウトに、開閉・脱着によってTバールーフ、タルガトップ、フルオープンを選択できる凝ったルーフを持っていました。
なかでもAZ-1は、ドアが上に開く「ガルウィング式」で、ボディはスケルトン・モノコックフレームにFRP製の外皮を重ねる構造を採用。ボディパネルの交換による「着せ替え」も可能でした。
開発資金が潤沢で、とりあえずどんなクルマでも出してみようという風潮だったバブルの企画とはいえ、販売台数が見込めない軽スポーツカーに、大排気量・高出力のエキゾチックスーパーカーも真っ青な、極めて贅沢な設計を盛り込んでいたことが驚かされます。
とはいえ、AZ-1の目標販売台数は800台/月という思いのほか高い数値を目指していたので、マツダとしては本気で販売しようとしていたのかもしれません。
なお「オートザム」とは、当時マツダが進めていた多チャンネル戦略で誕生したブランドのひとつです。
乗員の背後に横置き搭載されたエンジンは、スズキ製の3気筒660ccインタークーラーターボの「F6A」型。
軽ホットハッチ「アルトワークス」やカプチーノに積まれたユニットで、最高出力は自主規制値いっぱいの64psを発生しました。トランスミッションは5速マニュアルのみ。前後サスペンションにアルトのフロントサスペンションを流用していたのも特徴です。
前後重量配分は、MR車では理想的な44:56という数値を達成。ロック・トゥ・ロックが2.2回転というクイックなギアレシオにより、俊敏なハンドリングを実現しました。
軽自動車規格のため車幅が狭く、車高もわずか1150mmしかないため車内はとてもタイト。高身長だと乗りにくい場合もありました。
サイドシルが深いこともあって乗降も難しく、ドアと一体式のルーフはガラス張りのためサンシェードを装着しないと夏は暑く、窓はほんの少ししか開かない、車内はエンジン音でいっぱい……。
などなど、ラクさや広さを追求した現代の軽自動車では考えられないほどハードでスパルタンなクルマですが、それもまたAZ-1の魅力と捉えることもできます。
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