ホンダ「新型“スゴい”SUV」登場! 約2年ぶり復活で「日本初の画期的システム」搭載!? 乗った印象は? ガソリン要らない「CR-V」とは

ホンダの新型「CR-V e:FCEV」乗るとどう?

 さて、今回の試乗コースは大きく2つあります。

 ひとつは直線、バンク、そして高速のS字コーナーを交えた1周約6kmの高速周回路。

 もうひとつが、ドイツのニュルブルクリンク周辺を想定したような、幅員が狭い欧州ワインディング路でこちらも約6kmの行程となります。

 まず、高速周回路でアクセル全開にすると、2トン級ボディとは思えない軽快な加速を見せ、実測で時速160kmでリミッターが効く速度領域に達しました。モーターの定格出力は60kW。

 時速120〜130kmていどで高速S字オーナーを旋回すると、重心がドッシリとしていても、けっして重ったるいという印象はありません。

 高速走行ですので、ステアリングを操作する量は少ないのですが、くるま全体の応答性がとてもいい。

 また、時速150kmていどで、車線変更してみても、サスペ
ンションの動きの収まり方が実に自然なのが分かります。安心感がとても高いくるまという印象です。

 そうした安心感には、音の影響のあるでしょう。アメリカの高速道路などで使われる、コンクリート路面を時速100kmていどで走行しても、路面から車内へのゴォーという音がかなり軽減されているのが分かります。

 これは、車体前部に搭載しているFCスタック・モーター・ギアボックス・電動ポンプなどを一体化させ、ベース車のCR-Vの骨格をほとんど改良せずに搭載することで、振動や音の低減に役立っているからです。タイヤは日米仕様ともにオールシーズンタイヤを採用していました。

 次に、欧州ワインディング路に入ると、取り回しやすさ、そして安心感を改めて実感します。

 アンジュレーション(起伏)があって前方の様子が見えづらいブラインドコーナーでも、路面とタイヤの設置感が高いと感じます。いわゆる「路面をなめるように」走るのです。

 水素タンクの搭載方法として、トランクフレームをボディ剛性を上げる部材として設計したことで、走行中の車体後部の追従性が増していることも体感できました。

 ハンドリングと乗り心地は、スポーティなセダンと大差ないほど、扱いやすくドライビングが楽しくなるくるま、という印象です。
 
 そもそも、6代目CR-Vは、SUV激戦区のアメリカにおいて「多くのお客さんに選んでもらう」ため、高い運動特性を実現したカタチ。

 そうした優れたベース車の骨格の優位性が、車重が2トン超えとなっても実証されたと言えます。

試乗会では電子レンジでポップコーンを作ったり、コーヒーメーカーで「水素コーヒー」が用意された
試乗会では電子レンジでポップコーンを作ったり、コーヒーメーカーで「水素コーヒー」が用意された

 このように、一般的なくるまに対する評価では、高いレベルにあるCR-V e:FCEVですが、ユーザーにとってはまだ少し「遠い存在」という印象があるかもしれません。
 
 新車価格は809万4000円と、「シビックタイプ R」(499万7300円)の1.6倍という高級車なのですから。

 それでも、国からの購入補助金255万円が活用によりユーザーの負担は大幅に軽減されます。

 リース販売のみで4〜5年の契約で月額14〜15万円の支払いとなりますが、購入補助金を加味すると、ユーザーの負担は月10万円程度で収まる計算です、

 これまでの、ゼロベースからの作った燃料電池車である「FCX CLARITY」(2008年)や「CLARITY FUEL CELL」(2016年)とは違い、水素社会を見据えて、より使い勝手の良い
 大量生産車をベースとして企画された、CR-V e:FCEV。

 水素インフラが今後整っていく現段階で、燃料電池車に充電・給電機能をプラスするという、世界的に見て珍しい手法によって、ホンダが多用な使い方をユーザーに提案したカタチです。

※ ※ ※

 今回の試乗会では、普通充電による外部給電機能を使って、電子レンジでポップコーンを作ったり、コーヒーメーカーでホンダ曰く「水素コーヒー」を用意してくれました。
 
 そうした実車の前で、CR-V e:FCEVの開発責任者・生駒浩一氏は「次の時代に向けて、お客様と一緒にモビリティの未来の可能性を考えていきたい」と、このくるまの魅力と役目を表現しました。

 ホンダの新しい挑戦が今後、社会とどのように融合していくのか、その動向を見守りたいと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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