スバルの「四駆」なぜ雪道に強い? 本格SUV「フォレスター」に受け継がれた「AWD」のスゴさとは

現行「フォレスター」雪道性能はどう?

 青森駅近くの「ねぶたの家 ワ・ラッセ駐車場」から豪雪エリアとして知られる「酸ヶ湯温泉」を目指します。

 市内では道路上に雪はなし。ガソリンエンジンの応答性をe-BOXERのモーターアシストでカバーしてくれるので、アクセル操作に対してスッと自然に動くのが好印象です。

 ただ、モーターアシストが“黒子”過ぎで、個人的には「SI-DRIVE」で変更できる走行モードのうち、トランスミッション制御は「Iモード」で、「Sモード」のアシストくらいがちょうど良いくらいかなと感じました。

雪道で頼もしい走りを見せる「フォレスター」
雪道で頼もしい走りを見せる「フォレスター」

 山道に入ると景色は徐々に変わっていきます。例年よりも雪は少なめながらも、道はドライ、ウエット、シャーベット、圧雪とあらゆる路面状況が顔を出す上に、道幅もどんどん狭くなっていきます。

 通常なら緊張感が増してくる状況ですが、フォレスターに乗っていると「絶対、大丈夫!」と確信できるような“何か”があるのです。

 それは“常時四駆”にこだわった「AWDシステム」やシンメトリカル(左右対称)レイアウトをより活かした「スバルグローバルプラットフォーム」、さらに220mmの最低地上高なども大きく影響していると思います。

 そして「視界の良さ」も特徴のひとつ。スバルのクルマは前後左右どの窓からも1m程度の高さの物が視認できるように設計されており、そのために視界を妨げない位置へのピラーを配置や内側から見た時に実際よりも細く見えるような工夫が行なわれています。

 装備面でもワイパー払拭面積の多さやワイパーデアイサー(寒冷地でワイパーの張り付き/ワイパー下に雪が溜まるのを防ぐ)もデフォルト装備となっています。

 なぜ、そういった装備が標準で盛り込まれているのかというと、スバルは「周りの状況がわかりやすい」、「クルマの四隅が把握しやすい」ということも「0次安全」として大事な性能と考えているから。

 最近は視界をサポートするデバイスも用意されていますが、やはり“直接視界”に勝るものはありません。

 さらに空調も足元を均等に素早く暖めるための工夫や、面積拡大&即時に温かくするシート&ステアリングヒーターなど、日常では当たり前で気がつかないような機能に関しても、「なるほど」と感じる部分があります。

 恐らく、これらの機能/装備は“付いている”と言う意味ではライバルも同じですが、ひとつひとつのアイテムへのこだわりの積み重ねが、結果として「信頼」へと繋がっているのです。

 今回フォレスターで雪道を走って感じたのは、「不安」よりも「ワクワク」が多かったことでした。もちろん無理は禁物ですが、過酷な環境下でも「安心」が担保されていることが、クルマを通じて感じられました。

 スバルのグランドツーリング思想をかみ砕くと、「より遠くに」、「より安全に」、「より速く」、「より快適に」、「より愉しく」の5項目に分けられますが、これらを高いレベルで両立させるためには、「総合性能」が重要となります。

 実はこれ、雪道でも全く同じことが言えます。要するに「雪国総合性能」です。スバル車はそこも抜かりなしというわけです。

 50年以上前にスバルAWDが目指した「ジープ並みの積雪地での走破性と乗用車の快適性の両立」は、現在のスバルSUVシリーズにシッカリと受け継がれていますが、筆者(山本シンヤ)はその中でもフォレスターが一番「忠実」で「色濃く」再現されていると思っています。

 そんなフォレスターですが、実はすでに2023年11月に開催されたロサンゼルスオートショーで次期型となる6代目がお披露目されています。

 新型が気にならないといえば嘘になりますが、熟成を重ねて完成された現行フォレスターを、気取らずにサラッと乗りこなす。そんな「選択肢」もアリかなと思わせてくれた、雪上試乗でした。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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2件のコメント

  1. 遡ること1968年。東北電力から「山間部の総電線の点検用に
    遡ること1968年。東北電力から「山間部の送電線の点検用に

    誤:総電線
    正:送伝線

    • このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
      修正いたしました。

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