信号待ちで停止線を越えたらバックで線まで戻るべき? バイクの先頭待機は違反になる?
バイクが停止線より前で信号待ちするのはOK?
停止線に関連して気になるのが、クルマの間をすり抜けてきたバイクが停止線を越えて信号待ちしているシーン。なかには車体全部が完全に停止線を越えた状態のバイクも多く見かけます。

「法律的には、バイクでもクルマでも停止線のルールは変わらないで、本来は停止線より手前で停まるのが正解です。
ただし、よほど交通の妨げになるような場合を除き、取り締まられないケースも多いようです。
これは後方から脇を通って前に出る『すり抜け』は違法ではないということと、バイクなりに交通の妨げにならないような配慮ある行動なのかが大きく影響しています」(元教習所教官 I氏)
先述した道路交通法では道路を運行する車両に関してはすべてに適応されるため、本来であればバイクも停止線手前で止まらなければなりませんが、しかし、すり抜けで前に出るのは違法ではないというのは、どういうことなのでしょうか。
「渋滞などで発生した車列の脇をバイクがすり抜けていくのは、クルマが停車している場合や悪質・危険な走行でない限り、またセンターラインなどを越えなければ違反ではありません」(元教習所教官 I氏)
道路に描かれた「センターライン」は、原則として「白の破線」「白の実線」「黄色の実線」があります。
白の破線は「はみ出しも追い越しも可能」、白の実線は「はみ出し禁止」、黄色の破線は「追い越しのためのはみ出し禁止」。つまり、このラインさえ越えなければ、追い越しは違法ではないということになります。
「ここで難しいのが、道路交通法30条『追い越しを禁止する場所』です。道路の曲がり角や上り坂の頂上付近や急な下り坂、トンネル、交差点や踏切、横断歩道や自転車横断帯の手前から30m以内といった場所は本来であれば追い越し禁止です。
なので、白バイやパトカーなど現場に居合わせた場合は、違反切符を切られる可能性が高いといえます」(元教習所教官 I氏)
ただ、バイクがすり抜けをするのは、単純に急いでいる場合だけでなく、詰まった交通状況でクルマとバイクが混在することで生じる余計なトラブルを回避するためにしているライダーが多いことも取り締まりに関係してくるといいます。
「人間の心理的なもので、クルマの運転手は周囲にバイクが並んでいると、接触などで加害者になるのを避ける心理が働くそうです。
そして現在バイクに乗る人の多くはクルマの運転免許も取得しており、そういった心理が分かるからこそ、渋滞内で前後のクルマの間からバイクをできるだけ遠ざけようと考えます。
また、すり抜けが違法でないことや、軽量なバイクのほうが加速も良いことなどを加味して、瞬時に判断して前に出ているのでしょう。
停止線で停まっているクルマよりも前に出たほうが安全なので、停止線を越えてしまうというわけです」(元教習所教官 I氏)
ただし、これもあくまで道路状況に応じた対応の範囲内でのこと。あからさまにすり抜けを繰り返すだけでなく、車線変更までして前に出ていくバイクは完全な違法として取り締まられるだろうとI氏はいいます。
つまり、スムーズな交通のためのすり抜けは、容認されている部分もあるというのが正解のようです。
※ ※ ※
停止線をはみ出してしまうと違反になる可能性は否定できないものの、あくまで常識の範囲内のレベルであれば黙認されることが多そうですが、むしろ停止線のはみ出しを気にするあまり、バックで下がるほうが危険であることから控えたほうが良いということです。
もちろん停止線の手前で止まることが大前提ですが、歩行者の通行の妨げにならない程度であれば、むしろ動かないで信号が変わるなり歩行者が渡り切るまで待つというのが良さそうです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。













