失敗していたらどうなった? 新ジャンルに挑戦して見事に成功した車3選

いま販売されているクルマには、さまざまなジャンルのモデルが存在しています。そうしたモデルには先駆者となったクルマがあり、今に続いています。そこで、新ジャンルに挑戦して見事に成功したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

新ジャンルの先駆者であり、見事に成功したクルマを振り返る

 現在、日本で人気のクルマのジャンルといえば、軽ハイトワゴン/トールワゴンやSUV、もはやファミリカーの定番であるミニバンなどです。そして、どのモデルも先駆者となったモデルが存在します。

新ジャンルに挑戦して見事に成功した先駆者といえるクルマたち
新ジャンルに挑戦して見事に成功した先駆者といえるクルマたち

 新たなジャンルに挑戦したクルマは、ある意味ギャンブルであり、成功するとは限りません。

 一方で、近年はクルマの種類も出尽くした感があり、デザインや技術的にもそれだけ成熟したといえるでしょう。

 たとえば、いま世界的にヒットしているSUVの起源は、1970年代にアメリカの若者がピックアップトラックをベースに改造したワゴンタイプのモデルといわれていますが、SUVというジャンルは確立され、現在は細分化するにとどまっている状況です。

 そこで、新ジャンルに挑戦して見事に成功したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「プリウス」

まさに日本が誇れる世界を変えたエコカーの初代「プリウス」

 トヨタは1997年に、世界初の量産ハイブリッド車の初代「プリウス」を発売しました。エンジンとモーターを組み合わせた動力源を搭載したハイブリッド車の歴史自体は古く、自動車が発明された直後の19世紀には作られたといいます。

 後に世界中のメーカーがハイブリッド車の量産化に向けて研究・開発を続けてきましたが、さまざまな問題をクリアできずにいました。

 しかし、トヨタは基礎研究から30年もの歳月を経て、量産車初のハイブリッド車の開発に成功。初代プリウスとして結実したのです。

 初代プリウスのボディは空力性能を重視したウェッジシェイプの4ドアセダンで、パワートレインは最高出力58馬力の1.5リッター直列4気筒ミラーサイクルエンジンと、41馬力のモーター、さらにエンジンとモーターの駆動配分や、発電を制御する動力分割機構を組み合わせた「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」を搭載しました。

 燃費性能の目標は同クラスのガソリン車の2倍で、実際に初代プリウスの燃費は当時として驚異的な28km/L(10・15モード)を実現し、見事に目標を達成。

 その後、トヨタはハイブリッド車を拡充し、他メーカーも次々と開発に成功して一気に広まり、世界が変わったといえます。

 現在、世界中のメーカーがEVの開発に注力していますが、エコカーの中核はまだまだハイブリッド車が担っていくことでしょう。

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●三菱「デリカ スターワゴン4WD」

大胆かつ斬新な発想で誕生したクロカンワゴンの「デリカ スターワゴン4WD」

 かつて、日本におけるファミリカーといえば、セダンが主流でした。しかし、1990年代の中頃からミニバンの普及が急激に加速し、ファミリカーの代表的な存在となりました。

 現行モデルのミニバンは数多く存在しますが、なかでも唯一無二の存在なのが三菱「デリカ D:5」で、ミニバンでありながら悪路走破性が高いのが特徴です。

 この画期的なミニバンの元祖が、1982年に誕生した同社の「デリカ スターワゴン4WD」です。

 スタイリングはスクエアなフォルムの1ボックスワゴンですが、最低地上高が高められて大径のオフロードタイヤを装着し、フロントにはブッシュガードを装備するなど、クロスカントリー4WD車のイメージで仕立てられていました。

 また、ボディ構造は強固なラダーフレームにボディを架装する本格的なクロカン車と同様の手法で、4WDシステムは同年に誕生した初代「パジェロ」と同じ機構を採用しており、手動でトランスファーギヤを切り替えるパートタイム式4WDです。

 足まわりも初代パジェロと同じ、フロントにトーションバースプリングのダブルウィッシュボーン、リアにリーフスプリングのリジットアクスルを採用し、悪路走破性と乗り心地向上の両立が図られていました。

 デリカ スターワゴン4WDは斬新な見た目と高い悪路走破性から、アウトドア派のファミリー層から絶大な人気を獲得し、他メーカーからも同様なコンセプトの1ボックスワゴンが登場しましたが、見た目だけのようなモデルが多く、デリカ スターワゴン4WDほどの人気は得られませんでした。

 その後、代を重ねるとミニバンとしても進化しましたが、オフロード・ミニバンというコンセプトは不変で、現在のデリカ D:5へと継承されています。

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●日産「Be-1」

パワー競争真っ只中でも非力ながら企画力で成功を手にした「Be-1」

 1980年代の中頃から、日本では株価や資産価格が上昇し、いわゆるバブル景気に突入しました。

 クルマについても1980年代は大きく進化した時代で、とくに動力性能の向上が顕著であり、メーカー間のパワー競争が勃発。さらに好景気から新たな高級車も次々と登場しました。

 そんな時代だった1987年に、日産は初代「マーチ」をベースにした派生車の「Be-1」を発売しました。

 Be-1最大のトピックスは内外装のデザインで、外観はローバー「ミニ」をオマージュしたような張りのある曲面を多用したスタイルで、ネオクラッシックなモデルの先駆けといえました。

 内装もあえてシンプルながら巧妙にデザインされており、トレー状のインパネにはドライバーの正面に大型のスピードメーターを配置し、その左側に小型のタコメーター、さらに空調の吹出口もすべて丸に統一することで、ポップな印象でした。

 また、内装デザインのアクセントとして部分的に鉄板のパネルとし、フルトリム化がコンパクトカーでも進みつつあった中でも、安っぽい印象は皆無です。

 エンジンは1リッター直列4気筒SOHC自然吸気を搭載。パワー競争の真っ只中にありながら最高出力はわずか52馬力でしたが、700kg台の軽量なBe-1には十分なパワーで、ユーザーからも不満は出ませんでした。

 Be-1は限定1万台で発売されましたが、それを大きく超える受注があり、購入者を抽選で決める異例の事態となりました。中古車市場では新車価格を上まわる価格で販売されるなど、今も続くプレ値の元祖といえるでしょう。

 このBe-1が誕生したことで「パイクカー」というジャンルが確立され、日産は1989年に「パオ」と「エスカルゴ」、1991年に「フィガロ」を発売し、他メーカーからも同様なコンセプトのモデルが登場しました。

※ ※ ※

 最後に紹介したBe-1を始めとするパイクカーは、日本でのみ販売されました。近年、フィガロがイギリスで人気となり、中古車が海を渡っていますが新車は販売されていません。

 現在、日本車でもグローバルで販売するのが当たり前の時代ですが、当時は国内専売のモデルが数多く存在し、それだけ内需のパワーがすごかったことの証ではないでしょうか。

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