誰が予想出来た? トヨタ「水素カローラ」日本の強みで大幅進化! その先にある水素の挑戦はどうなる?
トヨタはモータースポーツの現場で「水素の技術」をさらなる高みに挑戦するため、水素カローラで参戦してきました。果たして、その結果はどうなったのでしょうか。
着実に進化を続ける水素カローラとは
「水素技術を活用して、内燃機関の可能性を探る」
それが2021年5月の富士24時間耐久レースから始まった水素エンジンを搭載したカローラスポーツの先行開発車両(以下水素カローラ)による参戦です。
その初陣はある意味「満身創痍」な戦いでしたが、8月のオートポリス、9月の鈴鹿と短い期間で着実に進化を遂げてきました。
毎戦ごとのマシンの進化やレースウィークのアレコレは、すでに克明にレポート済みですのでここでは割愛しますが、この半年で確実に「手の内化」されてきました。
これこそがGRが提唱している「モータースポーツを起点にした開発」の本質だと筆者(山本シンヤ)は考えています。
形になりにくい先行開発技術をモータースポーツという厳しいステージに投入することで、結果や課題が明確になること。
さらに納期(=レースウィーク)が明確なので、そこに至るまでの仕事の進め方のマインドセットが起きることです。
この辺りは、元トップガンで豊田章男社長のドライビングの先生だった成瀬弘氏(故人)が生前語っていた「大事なことは言葉やデータでクルマ作りを議論するのではなく、実際にモノを置いて、手で触れ、目で議論すること」が、浸透している証拠といえるでしょう。
また、参戦当初はある意味「孤高の存在」でしたが、戦いを重ねる毎に仲間が次々と増えてきました。
この仲間たちの活動は以前から目立つことなくコツコツとやっていたといいますが、水素カローラの挑戦が表に引っ張り出したといっていいでしょう。
この辺りは豊田社長の「自動車産業をペースメーカーにしていただきたい」の発言がひとつの形になったといってもいいかもしれません。
そして、2021年11月13日、14日に岡山国際サーキットで開催されたスーパー耐久シリーズの最終戦の水素カローラはどのような形となったのでしょうか。
すでに2022年シーズンの参戦も発表していますが、ある意味ひとつの集大成となるこの戦い。まずはマシンの進化からです。
エンジンは前回の鈴鹿でガソリンエンジン同等のパワー/トルクを実現。
エンジン開発を担うGRパワートレイン推進部の山崎大地部長は「次戦(=岡山)ではガソリン車超えを目指す」と語っていましたが、それが早くも実現しています。
具体的な伸び代は、「出力は鈴鹿比で10%の向上、富士比で24%の向上」とGRプロジェクト推進室部長である高橋智也氏から発表がありましたが、その後モリゾウ選手(豊田社長のレーシングネーム)は「出力は300ps!!」と明言。
トルクは富士比で33%向上、鈴鹿比で5%から10%の向上ということなので、計算をすると390Nmから400Nmです。
ちなみに逆算をすると、富士は258ps/300-308Nmで戦っていたことになります。
では、どのようなアップデートをおこなわれたのでしょうか。実は今回も飛び道具はなく「燃焼改善」がメインです。
具体的には水素の吹き方、過給圧、圧縮圧の見直しなどをおこなったといいます。
オートポリスくらいから燃焼の中身が見え、異常燃焼のメカニズムが解ってきたそうですが、さらに見ていくと「燃える所/燃えていない」所があり、それをさらに深堀していった結果だといいます。
水素エンジンはプレイグニッション(異常燃焼)の制御がキモで、GRカンパニープレジデントの佐藤恒治氏は、「インジェクターをどのように高圧しながらたくさん吹き、かつプレイグニッションが起きないように上手に混合気を形成する『流れ』、『タンブル』を作ることが課題」と語っていますが、その辺りが解ってきたのでしょう。
もちろん量産化を視野に入れたプロジェクトですのでマージンは一切削っておらず、24時間走り切る耐久・信頼性を担保したうえでの進化であることは今回も変わりません。
ちなみに鈴鹿では出力アップが主で燃費改善の伸び代が少なかったのですが、今回はその辺りも抜かりなしです。
やり切れていなかったリーン燃焼の追及の結果、燃費は富士のときと同等のレベルだそうです。
ちなみに“普通”に走らせたときの燃費ですが、「WLTCモードで計測すると、むしろガソリンよりもいい値が出ています(山崎)」という発言も。
ちなみに水素エンジンでのモータースポーツ参戦のひとつの要でもある「給水素スピード」のアップデートもおこなわれています。
富士では4分30秒、オートポリスでは2分30秒、鈴鹿では2分20秒だったが、岡山ではついに2分切りとなる1分50秒とさらに短縮。
前回は左右2系統の構造変更でしたが、前出の高橋氏は「今回は昇圧のスピードを上げています。圧を上げると水素が入るスピードは上がりますが、同時にタンクの温度も上がってしまいます。その温度変化を細かくモニタリングすることで安全性を担保しながら、スピードアップを可能にしました」とのことです。
ただ、岡山はレイアウトの問題で給水素までの導線が長く、時間短縮の効果が解りにくかったのは残念でした。
水素を作る時に二酸化炭素はだしませんか、その他のガスもだしませんか疑問です、
アメリカやヨーロッパでは「ガソリンエンジン」ではなく「内燃機関」の自動車が禁止されるんでしょ
燃やすのが石油だろうがバイオ燃料だろうが水素だろうが「燃焼」させる時点で規制対象のはず
まあ日本なら「水素を燃焼するエンジン」はお目こぼしされるだろうけど、そんな国外では売れないパワーソースを開発する暇と金があったらピュアEVの開発を進めるべき
言葉の綾だけど、
欧州はCO2排出ゼロのZEV以外の販売を認めないと言ってる。
これには商用車は別枠でとらえられているカラクリもあり
長距離トラックなどはBEVでは運用が難しいためFCVなどが本命視されてるよ。
なので
メルセデスベンツの場合、
乗用車部門と商用車部門は分割し、
あくまで乗用車部門のベンツの声明としてZEV化を表明
内燃機関の開発は(欧州では?)凍結し
現状小型乗用ZEV化は難しいFCV開発技術などは商業部門に一括送りしておき
BEVのフルラインナップ販売を進めているわけ、
裏を返せば、
販売差し止められていない欧州以外の国での、
既存の内燃機関の車(ICE)の生産や販売もやめるとは一言も言ってないので、
情勢次第で立ち回れる余地を意図的に残してるんだろうね。
ちょっと解り難いかな?
要は欧州などでの論議では、
今世紀後半までには乗用車販売を100%ZEVにする事を掲げているが、
内燃機関を禁止しろとは言ってないのであって
現状において内燃機関でのZEVは販売されておらず実質BEVとFCVのみの販売になると大方は見てるけど、
水素燃焼は理論上CO2排出ゼロなので実用化が認められれば販売出来る余地はある。
(そこに対する欧州側からの見解は出ていない)
バイオディーゼルはカーボンニュートラル化は可能だがZEVではないので
規制がZEVだけと厳しい欧州では販売し続けられる可能性は低い、
ただし、欧州などでの規制論はあくまで努力目標であって、
情勢や世論の動き次第では規制や罰則の対象年が延長されたり緩和される可能性も無くはない。
現に商用大型トラックなどのZEV化販売しての代替わり普及は乗用車より遅れるのは確実であるので
一定期間バイオディーゼルを認めるような動きも起こり得るかもしれないけど、
ある意味そこの議論は先送り棚上げで乗用車ばかりを標的にしてやり玉に挙げてるんだよね。