誰が予想出来た? トヨタ「水素カローラ」日本の強みで大幅進化! その先にある水素の挑戦はどうなる?

水素カローラ、タイムはどうなった?

 シャシ側の進化はどうでしょうか。

 前回の鈴鹿では大きく手は入っていましたが、今回は細かい部分のアップデートがメインのようです。

 水素カローラの開発を担当するGRプロジェクト推進部の坂本尚之主査によると「軽量化技術を盛り込んだフロントサスメンバーと新たな4WD制御を採用。このプロジェクトは水素エンジンだけでなく『カローラを鍛える』というミッションもありますので、量産のフィードバックも視野に入れています」と語っています。

 ちなみに水素カローラの4WDシステムは「GRヤリス」譲りとなる電子制御多板クラッチを用いた「GR-FOUR」ですが、実はエンジンの進化により手を入れた部分です。

「エンジンの進化で過渡的な特性が変わったのでリアの追従性を上げる必要がありました。

 当初は多板クラッチの応答性を上げる方向で進めていましたが、FFベースかつイニシャルの強いデフのため拘束が悪さをしてしまい、逆にターインでプッシュアンダーやタイトコーナーブレーキ現象のような症状が起き曲がりにくくなりました。むしろ、少し遅らせて応答させてたほうがいいことが解りました」(前出の坂本氏)

半年で何と6秒もアップした水素カローラ
半年で何と6秒もアップした水素カローラ

 そんなマシンの進化について、ドライバーはどのように感じているのでしょうか。

 開発ドライバーも務める佐々木雅弘選手は「サスメンバーの改良でよりレーシングカーらしい動きになってきました。例えるなら動いてほしい所はシッカリ動き、動いてほしくない所は動かないという感じですね」とコメント。

 モリゾウ選手は「これまでの進化で、プロにいわせれば『競争できるクルマ』になっています。車両重量は重いうえにその重量物は上側に集中、おまけに計測器も搭載と、普通なら非常に運転し辛いはずですが、今回はまるでGRヤリスを運転しているかのような感覚で走ることができました」とその進化に手ごたえを感じていたようです。

 予選タイムはAドライバーの井口卓人選手が1分45秒240、Bドライバーの佐々木雅弘選手が1分45秒137を記録。

 鈴鹿でのタイムはST4クラスの一番遅いマシンの5秒落ちでしたが、今回はほぼ同等と性能アップがタイムでも証明。

 ただ、エンジニアサイドは「もう少し詰められると思ったが……」という反省もあったようです。

 これは岡山のコースがタイトコーナーが多いため重量的なハンデが鈴鹿よりも響いたこと、ギア比が適正ではなかったことなどが原因だったそうです。

 ちなみにこの岡山に入る前に富士スピードウェイでおこなわれたテストでは1分58秒代を記録。

 富士24時間のときのファステストラップは2分4秒059だったので、この半年で何と6秒もアップ。この伸び代こそ「アジャイルな開発」の成果のひとつになります。

 今回はマシンのポテンシャルアップだけでなく、タイムに表れない大きな変化がありました。

 これまでは練習走行、予選、決勝までの夜の作業はトラブルシュートや大規模なセットアップ変更、乗せ換えなどでメカニックは遅くまで作業をおこなっていましたが、今回はそのような作業は生じず、早い時間に宿泊先に戻り夕飯を食べることができたそうです。

 つまり、レースオペレーションの手の内化が進んだわけで、「レースをやるレベルになった」といってもいいかもしれません。

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4件のコメント

  1. 水素を作る時に二酸化炭素はだしませんか、その他のガスもだしませんか疑問です、

  2. アメリカやヨーロッパでは「ガソリンエンジン」ではなく「内燃機関」の自動車が禁止されるんでしょ
    燃やすのが石油だろうがバイオ燃料だろうが水素だろうが「燃焼」させる時点で規制対象のはず
    まあ日本なら「水素を燃焼するエンジン」はお目こぼしされるだろうけど、そんな国外では売れないパワーソースを開発する暇と金があったらピュアEVの開発を進めるべき

    • 言葉の綾だけど、
      欧州はCO2排出ゼロのZEV以外の販売を認めないと言ってる。
      これには商用車は別枠でとらえられているカラクリもあり
      長距離トラックなどはBEVでは運用が難しいためFCVなどが本命視されてるよ。
      なので
      メルセデスベンツの場合、
      乗用車部門と商用車部門は分割し、
      あくまで乗用車部門のベンツの声明としてZEV化を表明
      内燃機関の開発は(欧州では?)凍結し
      現状小型乗用ZEV化は難しいFCV開発技術などは商業部門に一括送りしておき
      BEVのフルラインナップ販売を進めているわけ、
      裏を返せば、
      販売差し止められていない欧州以外の国での、
      既存の内燃機関の車(ICE)の生産や販売もやめるとは一言も言ってないので、
      情勢次第で立ち回れる余地を意図的に残してるんだろうね。

    • ちょっと解り難いかな?
      要は欧州などでの論議では、
      今世紀後半までには乗用車販売を100%ZEVにする事を掲げているが、
      内燃機関を禁止しろとは言ってないのであって
      現状において内燃機関でのZEVは販売されておらず実質BEVとFCVのみの販売になると大方は見てるけど、
      水素燃焼は理論上CO2排出ゼロなので実用化が認められれば販売出来る余地はある。
      (そこに対する欧州側からの見解は出ていない)
      バイオディーゼルはカーボンニュートラル化は可能だがZEVではないので
      規制がZEVだけと厳しい欧州では販売し続けられる可能性は低い、
      ただし、欧州などでの規制論はあくまで努力目標であって、
      情勢や世論の動き次第では規制や罰則の対象年が延長されたり緩和される可能性も無くはない。
      現に商用大型トラックなどのZEV化販売しての代替わり普及は乗用車より遅れるのは確実であるので
      一定期間バイオディーゼルを認めるような動きも起こり得るかもしれないけど、
      ある意味そこの議論は先送り棚上げで乗用車ばかりを標的にしてやり玉に挙げてるんだよね。

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