実燃費リッター2km/Lも!?「バブルが生んだ光と影」平成の記憶に残る車5選
2020年に創立100周年を迎えたマツダから、平成時代に数多くのモデルが誕生しました。そこで、平成の30年間に発売されたマツダ車のなかから、記憶に残るモデルを5車種ピックアップして紹介します。
記憶に深く残る平成のマツダ車
2020年1月30日に創立100周年を迎えたマツダは、1960年代に世界初となるロータリーエンジンの量産化に成功するなど、高い技術力を誇るメーカーです。
平成になると好景気の後押しもあり、次々に優れたモデルを発売しました。また、販売チャネルを5つまで増やし、車種を拡大していきます。
しかし、バブルが弾けると経営状態は悪化し、1996年には経営再建のため正式にフォードの傘下となりました。
その後、2008年のリーマンショックによりフォードが経営不振に陥ったことで傘下から外れ、マツダ独自の「スカイアクティブテクノロジー」を採用した新型車を開発。好調なセールスを記録しながら現在に至っています。
そんな激動の平成の時代に、マツダが送り出した記憶に残る名車を5車種ピックアップして紹介します。
●ユーノスロードスター
1989年2月、マツダはアメリカで開催されたシカゴ・モーターショーに1台のオープンカーを出品しました。
「MX-5 ミアータ」と名付けられたそのクルマは、コンパクトなオープン2シーターで、かつての英国製ライトウェイトスポーツカーを彷彿させるモデルとして世界中で話題となります。
そして、1989年9月に、当時マツダが展開していたブランドのひとつであるユーノスからミアータ改め「ロードスター」が発売されました。
本格的なスポーツカーでありながら、価格が170万円(消費税含まず)からと比較的安価で、日本ではバブル経済の追い風もあり、大ヒットとなります。
開発期間を短縮するために、エンジンは当時の「ファミリア」シリーズから流用した1.6リッター直列4気筒DOHC「B6-ZE型」エンジンを搭載し、最高出力は控えめの120馬力でしたが、940kgの軽量ボディと4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用により、マツダのエンジニアたちが目指した「人馬一体」を具現化。
ダイレクトなハンドリングと、アクセル開度にリニアに回転が上昇していくエンジン特性や、ショートストロークのMTシフトレバーなど、速度に関係なくドライビングの楽しさが味わえました。
また、オープンカー先進国のアメリカでも大ヒットを記録するなど、世界的にロードスターは受け入れられ、その結果、ポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWといった欧州メーカーや、国内メーカーもオープン2シーターを続々と発売するという現象を巻き起こしました。
●ユーノスコスモ
バブル景気が絶頂期を迎えようとしていた1990年、ユーノスブランドのフラッグシップとして「コスモ」を発売。1967年に発売された「コスモスポーツ」から数えて、4代目にあたるモデルです。
ワイドで優雅なデザインの2ドアクーペボディに、世界初の3ローターターボエンジンを搭載するなど、注目を集めました。
トップグレードに搭載された654cc×3ローターの「20B型」ロータリーエンジンは、シーケンシャルツインターボの採用により最高出力280馬力を発揮。
しかし、トランスミッションは4速ATのみで燃費は6.4km/L(10・15モード)。実燃費はさらに悪化していたことから、コスモの極悪燃費はいまも語り草になるほどです。
また、世界初となる先進装備として、GPSナビゲーションシステムを搭載(グレード別で装備)。フラッグシップモデルにふさわしく装備も充実していました。
価格は最上級グレードで530万円(消費税含まず)と高額で、バブル崩壊とマツダの収益悪化という背景もあり、モデルチェンジすることなく、わずか4年で生産を終了。
その後3ローターは二度と作られることはなく、搭載車はコスモだけという希少な存在になってしまいました。
●ユーノス800/ミレーニア
1993年にデビューした「ユーノス800」は、「意のままに操れる人馬一体のドライビングプレジャー」を目指した、ミドルクラスの4ドアセダンです。
デビュー時に注目されたのは4輪操舵やABS、トラクションコントロールなどによる高い走行安定性と、アルミ製ボンネット、ハイレフコート塗装、ソーラー・ベンチレーション・システムなど、豪華装備の採用でした。
ユーノス800の一番のハイライトは2.3リッターV型6気筒エンジンで、当時、量産車では世界初となるミラーサイクルエンジンとなっていました。
ユーノス800のミラーサイクルエンジンは、従来のエンジンと比べて吸気バルブを遅いタイミングで閉じて実質の圧縮比を落とし、リショルムコンプレッサー式スーパーチャージャーで過給することで、3リッターエンジンと同等の出力と2リッターエンジン並みの低燃費を実現。最高出力は220馬力を誇り、燃費は9.5km/L(10・15モード)です。
1997年には国内でユーノス店の展開が終了したことで、北米市場と同じ車名であるマツダ「ミレーニア」に変更されます。
そして、2000年のマイナーチェンジではミラーサイクルエンジンがラインナップから消滅し、2003年にはミレーニアの生産を終了。
しかし、ユーノス800の技術は活かされ、ミラーサイクルエンジンはマツダ以外の各メーカーでも使われるようになり、広く普及しました。
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