外環の新区間開通から1年 首都圏の交通量分散に効果はあった?

流れの変化で逆に渋滞が増えたエリアも

 外環道の東側の完成による影響は大きく、それは良いことばかりではないということも判明しています。

 まず困ったことは、外環道が便利になり全体の交通量が増したことで、外環道で渋滞する区間が増えました。東北道と常磐道を結ぶ「川口JCTから三郷JCT」は、約半年間での渋滞数が、外回りが43回から289回へ、内回りで34回から538回に激増しているのです。

東関東道や首都高湾岸線と接続する高谷JCT付近(2018年5月15日、撮影:中島洋平)

 埼玉県在住の利用者は、「外環の戸田・川口あたりが朝、非常に混んでいます。千葉方面に行くのに便利になったのですが、時間帯によっては渋滞に突入していくようなものです」と、渋滞増加を実感している様子。

 ちなみに渋滞が発生するのは、道が下りから上りに変化する「サグ」と呼ばれるところ。上り坂でスピードダウンするクルマがいるため、その後続に渋滞が発生しやすくなります。外環道を利用するときは、走行スピードの低下に注意が必要です。

 対して、千葉県在住のユーザーは、「朝の湾岸線上りは葛西JCTからの渋滞が頻繁になったので、千葉県民は湾岸線が使いづらくなりました」という声も。一般道でも湾岸エリア全体で、流れが低下していることがわかっています。外環道の開通はメリットばかりではないようです。

関越から中央道・東名へ続く西側の開通に向けて動き出す

 東側が完成すれば、残りは反対の西側の番ですが、現在、外環道は関越道から西側の輪を完成すべく、用地買収・工事が進行中です。まだ開通の目途は立っていないようですが、関越道、中央道、東名高速のそれぞれのジャンクションから、地下にトンネルを掘っているという状況です。

 2019年1月には「東京外かく環状道路(関越~東名)シールドマシン発進式」が開催され、大泉JCTより南側に向かって本線トンネルのシールドマシンが発進しています。

 時間はかかるようですが、関越道から中央道、東名高速までの外環道の延長は、間違いなく実現することでしょう。都心部をぐるりと囲む大きな輪が完成すれば、首都圏のクルマの流れはまた大きく変化すると思われます。

【了】

外環道で新たに開通した区間はどんなかんじ?画像でチェック(8枚)

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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