ホンダ「四輪事業再構築」のロードマップ発表!ハイブリッドへ資源集中と「N-BOX EV」投入!? 三部社長が戦略語る
ホンダは2026年5月14日、今後の四輪事業再構築と中長期的な成長に向けたロードマップを発表しました。市場環境の変化に対応し、ハイブリッド車への資源集中や開発の効率化を図ります。日本市場への「N-BOX EV」投入や次世代HVの展開など、三部敏宏社長のコメントを交えながらその戦略を解説します。
ハイブリッドの次世代モデルを29年度までに15車種投入
ホンダは2026年5月14日、四輪事業の再構築と今後の事業方向性に関する説明会を開催しました。
現在、自動車産業は大きな環境変化に直面しており、同社も足元の市場環境を踏まえた戦略の見直しを図ります。
登壇した三部敏宏社長は「2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組みを進めてきましたが、市場環境の変化やお客様の需要動向を冷静に見極め、より柔軟なアプローチが必要と判断しました」と述べ、今後3年間を四輪事業再構築の集中期間と位置づけました。
コスト体質の改善と重点地域への経営資源集中により、2029年3月期には過去最高水準となる営業利益1兆4000億円以上の達成を目指します。

四輪事業の再構築を推進するため、ホンダは「経営資源の戦略的再配分」「ものづくり体質の徹底強化」「外部リソースの戦略的活用」の3つを軸に取り組む姿勢を明確にしました。
三部社長は「四輪事業の課題はEV市場の減速だけではありません。主力市場での競争激化や価格競争といった構造的な課題に対し、コスト体質の改善、開発効率の向上、そしてリソースの集中投下で抜本的に対応します」と語り、需要動向の変化に柔軟に対応し、事業基盤の盤石化を図る方針を示しました。
次世代HEVへの資源シフト
経営資源の戦略的再配分として、足元で需要の高いハイブリッド車(HEV)へ開発および生産のリソースを振り向けます。
2027年からはハイブリッドシステムとプラットフォームを新しくした次世代モデルの投入を開始し、2029年度までにグローバルで15モデルを展開する計画です。
注力地域である北米では、2029年にDセグメント以上の大型ハイブリッドモデルを投入します。
また、2年以内に発売予定のプロトタイプとして、「Honda Hybrid Sedan Prototype(ホンダ ハイブリッド セダン プロトタイプ)」と「Acura Hybrid SUV Prototype(アキュラ ハイブリッド エスユーブイ プロトタイプ)」が世界初公開されました。

また、2年以内に発売予定のプロトタイプとして、「Honda Hybrid Sedan Prototype(ホンダ ハイブリッド セダン プロトタイプ)」と「Acura Hybrid SUV Prototype(アキュラ ハイブリッド エスユーブイ プロトタイプ)」が世界初公開されました。
開発中の次世代ハイブリッドシステムについて、三部社長は「2023年モデル比で30%以上のコスト低減を目指すとともに、電動AWDユニットとの組み合わせで10%以上の燃費向上と爽快な走りの進化を追求します」と解説しています。
機能面では、予定通り2028年発売に向けて次世代ADASの開発を進めており、5年間でグローバル15モデル以上のハイブリッド車に搭載する予定です。
生産体制については、米国オハイオ州の完成車工場における余剰能力をすべてICEおよびハイブリッド車に充て、北米の全工場でハイブリッド車を生産できる体制を整えます。
部品調達に関しても、米国でのLGエナジーソリューションとの合弁会社L-H BatteryのEV用バッテリーラインの一部をハイブリッド車向けに転用するほか、モーターやインバーターの現地調達率を高め、増産対応と関税影響の軽減を図ります。
同社がこれまで掲げていた“2040年までにEVとFCVの販売比率を全世界で100%にする”という目標について、三部社長は「(このように)具体的な販売比率は、もう現実的ではないと認識しています」とし、取り下げることを明言。
「販売比率を掲げることでわかりやすく目標を提示できると考えていましたが、本質的にはトータルのCO2削減が本来の狙い。今後は、CO2の総量という形で目標値の再設定を行いたい」と述べました。
日本や重要地域での展開
ホンダは北米、日本、インドを今後の成長戦略を描く注力地域と位置づけています。さらに抜本的な競争力強化が必要な中国を含め、各市場に合わせた商品ラインアップの拡充を行います。
日本市場では、三部社長が「日本の生活に根付いた軽自動車からEVの本格普及を目指し、2028年にN-BOXのEVモデルを投入します」と述べる通り、軽自動車を中心にEVを展開します。
2028年以降は、新型「ヴェゼル」を皮切りに次世代ハイブリッドおよび次世代ADAS搭載モデルを展開します。また、「SPORT LINE」や「TRAIL LINE」といった高付加価値なラインアップを追加し、新車販売の維持・拡大を目指します。
インドでは、市場の特性に合わせたインド向け戦略車を2028年から投入します。二輪車保有者の四輪車へのステップアップ需要を捉え、新設したデジタルプラットフォーム会社やキャプティブファイナンス会社の活用により販売拡大を図ります。
中国では、現地の標準化部品や現地パートナーのプラットフォームを活用した新エネルギー車(NEV)の投入により、商品力とコスト競争力の強化に取り組みます。三部社長は「中国では現地の技術やリソースを最大限に活用し、圧倒的なスピード感で競争力を高めます」と強調しました。

開発効率化と原価の低減
ものづくり体質の徹底強化に向けて、「抜本的な原価低減」「徹底的な開発効率化」「環境変化に強い生産体質の構築」を推進します。
原価低減においては、独自基準の見直しによる標準品の積極的な活用や、中国・インドの競争力を取り込むことでグローバルでの原価体質を向上させます。
開発効率化について、三部社長は「エンジニアリングチェーンの見直しにより、開発費、開発期間、開発工数をそれぞれ半減させる『トリプルハーフ』の実現に挑みます。マイナーモデルチェンジは本年度から、フルモデルチェンジは2028年の開発から半減させます」と意欲を示しました。
生産体質についても、新機種や設備投資の効率的な配分により、今後5年間で生産効率の約2割向上を目標とします。
EV戦略と財務・二輪事業
外部リソースの戦略的活用として、バッテリーについては当面は完全な自前化ではなく、既存設備の最大限活用と運営効率化を進めます。カナダでの包括的バリューチェーン構築プロジェクトは無期限での凍結とし、今後の調達戦略は引き続き検討が行われます。
中長期的には「2050年のカーボンニュートラル実現」という目標を維持し、将来のEV需要拡大に対応できるよう専用ハードウェアプラットフォームの導入や全固体電池の研究開発を継続します。
新たな移動体験の提供を目指し、「ASIMO OS」をEVだけでなくハイブリッド車にも適用するほか、柔軟に対応できるドメイン型のE&Eアーキテクチャーの導入も進められます。
事業の基盤となる二輪事業について、三部社長は「二輪事業の強固な基盤と収益力が、四輪事業の改革を支えています。最大市場であるインドでは生産能力を約800万台まで拡大し、さらにシェアを伸ばします」と説明しました。
財務戦略として、2029年3月期までの3年間はハイブリッド車へ資源をシフトし、EV投資は8000億円規模にコントロールします。一方でICEやハイブリッド車に4兆4000億円、ソフトウェアに1兆円を投入し、3年間の資源投入額は合計6兆2000億円となる見込みです。
これらの改革により四輪事業の黒字化を図り、2031年3月期にはROIC 10%の実現を目指すとしています。あわせて、ガバナンス体制の見直しによる意思決定の迅速化と透明性の確保も図られます。

※ ※ ※
三部社長は、メイン市場である北米市場での大きな変化に対応しきれなかったことを反省点として挙げ、下記のように語ります。
「政学的リスクや環境政策の方向性など、今後大きな変化が存在しても、それに耐えうる戦略を構築すべきということで、従来のようなEV一本槍ではなく、どちらに触れても対応できるような分厚い戦略が必要だと考えました」
今後、方向性が見えてくれば“選択と集中”を行い資源投入できるという認識を示しつつも、現時点では「非常に不透明な時代が続く」と見ており、「柔軟に構えられるようにしていきたい」と述べました。
Writer: くるまのニュース編集部
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