EVトラックをワイヤレス充電!? 三菱ふそう「eCanter」の実証実験で判明した配送現場のリアル
三菱ふそうトラック・バスは2026年5月12日、名鉄NX運輸と協働して、EV物流における課題の解決に向けた実証実験の見学会を行いました。
毎日クタクタ…重いケーブル、さらば!
三菱ふそうトラック・バスは2026年5月12日、名鉄NX運輸と協働して、EV物流における課題の解決に向けた実証実験の見学会を、愛知県江南市にある名鉄NX運輸「名鉄トラックターミナル中部」で行いました。

「EVトラックは静かで環境に優しい。でも充電が大変――」
物流現場では、そんな声が少なくありません。特に日々の配送業務では、“充電そのもの”よりも、重いケーブルを引き回し、接続し、片付けるという作業負担が現場の悩みになっています。
三菱ふそうトラック・バスが今回実施するのは、小型EVトラック「eCanter」を使ったワイヤレス充電の社会実証です。これは環境省事業の一環として行われるもので、実際の物流業務に組み込みながら、“止めるだけ充電”が本当に現場で成立するのかを検証します。
現場のプロが徹底チェック! 実用化への挑戦
現在、EVトラックの充電はケーブル接続が基本です。しかし今回のワイヤレス充電では、ドライバーは決められた位置に車両を停車させ、運転席のモニターで位置を確認し、ボタンを押すだけです。わざわざ車外に出る必要もありません。充電を終えると給電は自動停止。まさに「駐車=充電」という世界です。

しかも今回の実証は、単なる技術デモンストレーションではありません。名鉄NX運輸ではすでにeCanterを28台運用しており、EVトラックを熟知した現場だからこそ見える課題や改善点を洗い出す狙いがあります。
実際の運行状況を例に取ってみると、ドライバーは朝8時半ごろから荷物の積み込みを開始し、例えば近隣の愛知県小牧市周辺であれば15〜20件ほど配送。1日の走行距離は50〜75km程度で、主に食品や各種資材、原材料などを運びます。夕方に帰着した後、夜間に約5〜6時間かけてワイヤレス充電を行う想定です。
つまり今回のテーマは、“超急速充電”ではありません。
「夜間に止まっている時間を、いかに自然に充電へ変えるか」なのです。
三菱総合研究所も、「出力が高ければいいわけではない」と説明します。今回の実証では5kWの低出力充電設備を使用し、夜間の長時間停車を前提に最適化しています。
また、ワイヤレス充電最大の課題となるのが“位置合わせ”です。
送電コイルと車両側の受電コイルがズレると、充電効率が下がるだけでなく、近隣の電子機器に誤作動を引き起こす漏えい磁界の問題も発生します。そこで今回のシステムでは、輪止め、地面のガイドライン、駐車サポートカメラという3段階の仕組みを導入。前後±40mm、左右±110mmまでのズレを許容する設計としています。




















