トヨタは2025年11月25日、“商用ライトバンの王様”と言えるほど不動の地位を築いている「プロボックス」について、一部改良モデルを発表し、即日販売を開始しました。

　2002年の初代デビュー以来、20年以上にわたり日本の物流とビジネスの最前線を支え続けてきたこの超ロングセラーモデルですが、今回の改良では現代の道路環境が求める高度な安全性と、プロの道具としての快適性を徹底的に追求。

　その基本性能を飛躍的に向上させるとともに、エクステリアデザインも新しくなっています。

　プロボックスの真骨頂は、開発当初から純粋な商用車として設計されたことにあります。

　乗用車ベースの派生モデルとは一線を画す、クラストップレベルの積載能力、過酷な使用に耐えうる頑丈な足回り、そして経済性を極めた低燃費性能は、まさに「働くクルマ」の理想形と言えるもの。

　2014年のビッグマイナーチェンジで現代的な意匠と機能を手に入れ、その後もハイブリッドモデルの追加や先進運転支援システム「トヨタ セーフティセンス」を標準装備化するなど、これまでも時代の要請に応じたアップデートを重ねてきました。

　そんな同車に今回実施された改良における最大のトピックは、安全性能の大幅な進化です。

　予防安全パッケージ「トヨタ セーフティセンス」は最新世代へと刷新され、その守備範囲を大きく広げました。

　プリクラッシュセーフティの検知対象には、「従来の車両／歩行者／自転車」に加え、新たに「昼間の自動二輪車」を追加。

　事故発生率の高い交差点での出会い頭事故など、よりシビアな道路環境下における対応力を強化されています。

　さらに注目すべきは、「プロアクティブドライビングアシスト」の新規導入です。

　これは、歩行者の横断や飛び出しといった潜在的なリスクをシステムが先読みし、ステアリングやブレーキを微細に制御することで、危険に近づきすぎないようドライバーをサポートする先進機能。

　また、先行車やカーブに対する減速支援機能も備えており、頻繁な加減速を強いられる市街地走行や長距離移動において、ドライバーの疲労を大幅に軽減する効果が期待されます。

　加えて、アクセルとブレーキの踏み間違いによる衝突被害を軽減する「パーキングサポートブレーキ（前後方静止物）」も全車標準装備。

　多忙な業務中に起こりがちな「うっかりミス」をカバーする体制が整えられました。

　コックピット周りも、プロの仕事場として進化を遂げています。

　メーターパネルのデザイン変更に伴い、「4.2インチマルチインフォメーションディスプレイ」が全車に標準装備され、視認性が向上。

「ステアリングホイール」も各種操作スイッチを備えた新デザインとなり、手元での操作性が高められました。

　バックガイドモニターは、「ルームミラー内蔵型」と「ナビ画面表示型」のいずれかを選択可能。

　また、ハードな使用環境を考慮した純正用品として、汚れに強い「シートプロテクトカバー」が新設された点も、現場の声を知り尽くしたトヨタらしい配慮と言えるでしょう。

　パワートレインのラインナップは、1.3リッターガソリンエンジンが廃止され、1.5リッターガソリン（2WD／4WD）と1.5リッターハイブリッド（2WD）の2種類に集約されました。

　これにより、シンプルかつ、動力性能と燃費のバランスに優れた構成となり、商品力が一層強化されています。

　そして外観上にも変化が存在し、フロントバンパーの形状が変更されました。

　具体的には、3箇所に設けられたグリル開口部のうち、センター部分が拡大され、同時に横方向のスリットが廃止されました。

　これは新型センサーの配置に対応するための機能的な変更ですが、日々プロボックスと向き合うドライバーならば、その表情の違いに「おや？」と気付くことでしょう。

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　このように進化を遂げ、安全性と快適性を高次元で融合させた新型プロボックスの車両価格（消費税込）は、191万8400円から226万1600円。

　これからも日本のビジネスシーンを足元から支える頼れる相棒として、その存在感を示し続けることでしょう。