全長5m超え「大型SUV・ミニバン」発売なるか!? 「アメリカからの“日本車”逆輸入…」 日本政府が本気で後押し? 消費者・メーカーでの課題感とは
日米政府間の「関税交渉」の中で、アメリカからの譲歩を引き出すための「ひとつの手段」として日本政府が「アメリカから日本へ日本車の逆輸入を促進する」という報道がありました。もしそれが実現する場合、どのような課題があるのでしょうか。
〜アメリカからの「日本車逆輸入」 日本政府が本気で後押し?〜
いわゆる「トランプ関税」の緩和策として、アメリカから日本へ日本車の逆輸入を促進する。
そんな可能性について、一部報道がありました。
日米政府間交渉の中で、アメリカからの譲歩を引き出すための「ひとつの手段」として日本政府がリストアップしたといいます。

確かに、政治の世界では理にかなった発想なのかもしれません。
トランプ大統領は「日本ではアメ車がほとんど走っていない。アメリカでは日本車がたくさん走っているのに…」と、日米での自動車需要のアンバランスさに不満を漏らしてきました。
一方、日本政府は「ジープなど日本国内販売でのブランドイメージ構築や積極的な販売促進をしているブランドは日本でも受け入れられている」として、日本でアメ車が少ないのは商品性やブランド力の問題という見解を示しています。
また、自動車メーカーでつくる業界団体の日本自動車工業会は「1982年に(アメリカ)現地生産を開始するとともに、部品の現地調達を積極的に進めるなど、米国企業の一員として継続的な雇用と投資を促進してきた」と日本の立場を改めて主張しています。
日系メーカー全体でアメリカでの現地生産台数は年間320万台で、直接雇用11万人、間接雇用を含めて220万人という実績です。
こうしたデータをもとにトランプ関税緩和に対して、アメリカ側の理解を求めてきました。
日米双方の実情を考慮して、なおかつアメリカ側に自分たちが有利だという印象を日本から与えるためには、日本車の日本車逆輸入という選択肢が浮上したのだと思われます。
アメリカにとっては、アメリカ国内での日本メーカーの設備投資や雇用がさらに拡大し、しかも日本でより多くの「アメリカ産のクルマ」が走るようになるのですから。
ただし、これを「逆輸入」と表現するのは間違いです。
一般的に、クルマの逆輸入とは、日本から海外に出荷した新車を、海外から再び日本に輸入することを指します。
最も分かりやすい逆輸入の事例が、日本では未発売のインフィニティです。
街中で通りすがりの人や、後続車が「あれ、これってどこのクルマ?」とチラ見されることが、逆輸入車のオーナーとしてはちょっと気持ちが良いのかもしれません。
また、日本では中古車市場で人気のトヨタ「FJクルーザー」も、発売当初は日野自動車羽村工場から海外輸出されており、それを日本に逆輸入する人が増えたため、日本国内でも発売するに至りました。
また、逆輸入ではなくアメリカ生産の日本車を日本に輸入した事例は、トヨタ「キャバリエ」などがあります。
残念ながら、日米での社会事情やユーザーの好みなどの違いから販売数は限定的となり、成功したビジネス事例とは言えません。
逆輸入という表現はさておき、「アメリカ産の日本車」を日本に輸入する場合、様々な課題があると筆者は考えます。
アメリカ車でも、アメリカで普通のサイズでも、日本国内で大きな車は、日本で走ることが迷惑になるでしょう。5m以上の車が入ってくる可能性は低い、アメリカ車でも、サイズの小さいジープの「アベンジャー」や「コマンダー」や「レネゲード」という比較的小さい車が、日本でも売れている。アメリカ車でも売れている車があるのだから、アメリカの自動車の設計者がアメリカの感覚でなく、ヨーロッパ向けと同じ感覚で車を設計し販売することが無ければ無理。