トヨタ自動車は、2025年4月23日に開幕した「上海モーターショー2025」において、新型電動セダン「bZ7（ビーズィーセブン）」を世界初公開しました。

「bZ4X」「bZ3」などに続くbZシリーズの一員として登場したbZ7は、同シリーズ初の大型セダンであり、中国市場専用のフラッグシップBEVとして位置づけられます。

　全長5メートルを超えるボディを持つ新型bZ7は、トヨタと中国の広州汽車集団（GAC）、および現地合弁会社の広汽トヨタ（GTMC）が共同開発。さらに、トヨタ知能電動車研究開発センター（中国）も加わり、現地市場に最適化された戦略的モデルとして開発されました。

　外装・内装ともに先進性と高級感を追求したデザインが特徴で、2026年までの発売が予定されています。

　エクステリアは、クーペのように流れるルーフラインとセダンの実用性を融合させたファストバックスタイル。フロントにはbZシリーズ共通の「ハンマーヘッド」モチーフが採用され、分割式ヘッドライトとライトバーが先進性を際立たせます。さらに、ルーフ前方にはLiDARセンサーが搭載されており、高度な運転支援機能を象徴するデザイン要素となっています。

　パワートレインはバッテリーEV専用で、プラットフォームにはBEV専用の「e-TNGA」が採用される見込みです。これにより低重心かつ広いキャビンを実現しています。

　搭載バッテリーには、コスト競争力と安全性に優れるBYD製のブレード型LFP電池が用いられるとみられ、bZ3と同様に「10年後でも90％の容量維持」が期待されています。

　航続距離はCLTCモードで600km超を目標とし、RWDとAWDの2種類の駆動方式が展開される予定です。AWD仕様では、デュアルモーターによる400〜500馬力級の高出力モデルの設定も見込まれています。

　インテリアは、「スマートコックピット」と呼ばれる先進的な空間が広がり、縦型の大型インフォテインメントディスプレイと、ドライバー前方のメーター類、ヘッドアップディスプレイが機能的に配置されています。

　ソフトウェアには、中国市場で広く普及するファーウェイ製「HarmonyOS」が採用されるとの見方もあり、スマートフォン感覚の操作性とアプリ連携に優れたインフォテインメント体験が提供されると期待されています。

　内装材には、パンチング加工を施したホワイトレザーやウッド調パネルが用いられ、ツートーンステアリングやアンビエントライトも採用。センターコンソールにはワイヤレス充電パッドも備えられており、高級感と先進性を高い次元で融合させた室内空間となっています。

　bZ7は中国専用モデルとして開発されており、現時点ではグローバル展開の予定はないとされています。背景には、充電規格、ソフトウェア環境、法規制などの違いに加え、現地パートナーとの連携による“地産地消型”EV開発というトヨタの地域特化戦略があります。

　テスラ「モデルS」やNIO「ET7」、BYD「漢」などが競合する中国のプレミアムEVセダン市場において、トヨタの信頼性と中国テクノロジーの融合によってbZ7がどこまで通用するのか。今後の市場投入とユーザーからの評価が注目されます。