日産は2025年4月22日、新型「エルグランド」のデザインの一部を初公開しました。

　エルグランドは、初代モデルが1997年に登場し、上級ミニバンというジャンルを開拓したモデルです。

　ただし、どういうわけか、2010年に現行の3代目モデルに切り替わってから、フルモデルチェンジなしという境遇に陥り、すっかり人気はライバルと大きな差をつけられてしまいました。

　そんなエルグランドが、ついに新型に切り替わります。今年（2025年）の後半に正式に公開され、来年の2026年度からの発売が予告されています。

　その前の段階のティーザーとなるのが、今回の一部デザインの発表です。公開されたのは、暗い室内において、ライトに照らされた新型エルグランドの姿です。

　グリルからボンネット、そしてフロントガラスに続くラインは流麗なもの。つるりとした質感のグリルの上部には、左右に細いライティングが配置されています。先にデザインを公開した新型リーフと似たようなデザインと言えるでしょう。ヘッドライト部分に、小さな四角いライティングが並べられているのが特徴となります。

　パワートレインは、第3世代となる「e-POWER」です。これは、発電専門のエンジンと、駆動専門のモーターを組み合わせたシリーズ・ハイブリッドで、「e-POWER」は日産のシステムの名称となります。第3世代となり、エンジンは新開発の1.5リッター、モーター部分は、モーターやインバーターなどの必須の5つの部品をモジュール化した「5-in-1」となります。モジュール化によって軽量化されたことで燃費がよくなり、静粛性も高まっているそうです。

　日産の説明は、ここまでしかありませんが、それでもわかることがあります。

　まず、新型エルグランドは、「e-POWER」だけとなるわけですから、その走りは、すべてがモーター駆動となります。シフトチェンジがなく、そして低回転からトルクフルなモーター駆動ということで、スムーズで力強い加速が特徴となるでしょう。

　また、エンジンは発電専用に開発したということで、効率の高さが期待できます。電気自動車（BEV）に力を入れてきた日産ならではの、電気自動車のようなフィーリングが味わえるのではないでしょうか。それがきっと新型エルグランドの魅力となるはずです。

　一方で、心配となるのがプラグインハイブリッド（PHEV）はあるのか、という心配です。ライバルとなるトヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」には、ハイブリッドだけでなく、プラグインハイブリッドも用意されています。プラグインハイブリッドは、電気搭載が多いため高額になりますが、高級ミニバンとなれば、価格面よりもラインナップ充実の方が重要です。

　まだアナウンスがありませんが、新型エルグランドにもプラグインハイブリッドが用意されていることを期待したいと思います。

　また、3列だけでなく、2列シートのVIP仕様もぜひとも用意してほしいもの。ただし、エルグランドには、現行モデルでも4人乗車のVIP仕様を用意したという実績があります。

　発売のタイミングは、登場と同時ではないかもしれませんが、きっとVIP仕様は用意されるはずです。いや、ないとまずいくらいです。

　ちなみに高級ミニバンは、日本だけでなく中国やアセアンでも人気が高まっているジャンルです。ぜひとも日本でヒットさせ、その勢いで、中国やASEAN地域でも販売して、日産の業績回復に貢献できるクルマになった欲しいもの。その仕上がりに期待します。