突然「バッテリー上がりました…」 いやいや「使用者の義務」サボってたでしょ! 「クルマユーザー」が“やらなきゃいけない”「日常点検」見るべきポイントは?

意外に知られていないかもしれませんが、ドライバーにとって「日常点検整備」は義務で、やっておいた方がいざというときにクルマのトラブルやアクシデントを回避できるとても重要な確認作業です。今回、その項目や点検方法についてまとめてみました。

月に1度は行うべし

 ついうっかり、ウィンドウウォッシャー液を切らしてしまった。ある日突然、バッテリーがあがってしまった。タイヤの空気圧の警告灯が点灯した。あるいはバーストしてしまった…。
 
 これらのトラブルは、いずれもクルマの「日常点検整備」を行っていれば回避できた可能性が高いものばかりです。

画像はイメージ(PIXTA)
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 ちなみに国土交通省では、日常点検整備について以下のように定めています。

「自動車の使用者は、道路運送車両法第47条の2の日常点検整備及び第48条の定期点検整備とあわせ、自動車製作者等の提供する点検及び整備に関する情報等も参考として、自動車の点検をし、及び必要に応じて整備をおこなうことにより、自動車を保安基準に適合するように維持する義務があります」

 では、具体的にどのようなことをチェックすればいいのでしょうか。まず国土交通省が提唱する15項目の日常点検整備について挙げてみましょう。

 大まかに分けると、「エンジンルーム:5項目」「クルマまわり:4項目」「運転席:6項目」の計15項目です。

 まずエンジンルームの5項目については「ウィンドウウォッシャー液の量」「ブレーキ液の量」「バッテリー液の量」「冷却水の量」「エンジンオイルの量」の5つです。

 慣れてきたら、エンジンオイルは量をチェックするとともに、ウエスなどを用意して汚れていないかをチェックすること、冷却水はラジエーターのホースから漏ったあとがないかも一緒に見ると効率的です。

 クルマまわりの4項目については、「タイヤの空気圧」「タイヤの亀裂、損傷および異状な摩耗」「タイヤの溝の深さ」「ランプ類の点灯、点滅およびレンズの汚れ、損傷」の4つです。

 タイヤは外側をぱっと見ではなく、側面のサイドウォールや接地面の中心側なども見たほうがいいです。フロントタイヤではハンドルを切ったり、リアはしっかり覗き込んだりして、内側の状態もチェックする必要があります。

 空気圧は、ガソリンスタンドでも見ることができます。ドアを開けた部分や給油フタの近くに適正空気圧の値がシールで貼られているので、一緒に確認しましょう。

 ランプ類はブレーキランプのみ、ひとりではできないので、周りの人に見てもらうか、周りのものを使って上手く反射させるように確認するといいでしょう。

 運転席の6項目については「ブレーキ・ペダルの踏みしろおよびブレーキの利き」「パーキングブレーキレバーの引きしろ」「ウィンドウウォッシャーの噴射状態」「ワイパーの拭き取りの状態」「エンジンのかかり具合および異音」「エンジンの低速および加速の状態」の6つです。

 どこに何があるか分からない場合や、エンジンルーム内の機械が何なのか分からない場合、クルマの取扱説明書やメンテナンスノートにしっかり説明が書かれていますので、手元に用意しながらチェックするといいでしょう。

 初回は整備工場のメカニックなどにサポートしてもらい、点検方法を伝授してもらうと確実です。

 それが難しい場合はYouTubeなど、動画サイトで日常点検整備項目を分かりやすく解説している映像を参考にしてもいいでしょう。

 これらの項目をきちんとチェックすれば10分程度の時間を要しますが、チェックするポイントをルーティン化すると効率よくスムーズに点検を行うことができるのでおすすめです。

 最近のクルマ、特に日本車は「乗りっぱなし」でも故障する頻度は少ないだけに、ボンネットの開け方すら分からないという人もいます。

 もちろん、それだけ工業製品として優秀であることの裏付けでもありますが、タイヤやバッテリーなどの消耗品は、製品としてどれほど優れていても、遅かれ早かれ必ず交換するタイミングが訪れます。

 日常点検整備や法定点検を怠っている人からすれば、パンクやバッテリーあがりは「えっ。なんでいきなり壊れるの…」となるわけですが、普段からきちんと愛車のコンディションを把握していれば、トラブルが起こるはるか以前に察知・対処できたはずなのです。

 ただし、日常点検整備といっても、毎日(事業用自動車は1日1回が義務)しなければならないという話ではありませんし、明確な頻度が定められているわけでもありません。

 ひとつの目安として、最低1ヶ月に1度くらいはやっておきましょう。もちろん、それより短いスパンで行うことも有効ですし、旅行や帰省など、長距離ドライブに行く前の臨時点検も大事です。

 また可能であれば、気になった箇所をメモとともにスマホで写真を撮るなど記録しておくと、法定12ヶ月点検や車検のタイミングで、重点的にチェックができるのでおすすめです。

 こうした「オーナーだからこそ」感じた違和感が、案外トラブルの早期発見につながるものです。

 日常点検整備を怠ったことで、他車を巻き込んで事故につながる可能性もゼロではありません。

「毎月最初にクルマに乗る日」などのマイルールを決めて、今日から日常点検整備をはじめてみてください。

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三菱 eKクロス

Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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3件のコメント

  1. 「日常点検整備」?!
    点検は点検、整備は整備ですよね?
    (法令でそんな言葉は無いですが??)

    • 一応法規上は「日常点検整備」って書いてるけど、根本的に点検と整備は違う。日常点検は始業前点検とも云うが、点検行為だけで整備までは言及が無い。

  2. バッテリをやり玉に挙げてるけど、始業点検では液量の確認とか端子の緩みとか概観上の確認でしか無いから容量抜けはそれでは対応できません。定期的な交換を車検の際に検討するべきでは??

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