トヨタの「小さな高級車」がスゴい! 「センチュリー級」クオリティ×全長4.5mの「ちょうどイイサイズ」! 直6+FRも魅力的な「プログレ」とは
高級車のあり方に一石を投じた名車「プログレ」
メカニズムも、「小さな高級車」の名に恥じない高度なものが採用されました。
エンジンは、トヨタが誇る「名機」、滑らかで静粛性に優れる直列6気筒「JZ」系の2.5リッターと3リッターを搭載しました。

駆動方式は高級セダンの基本であるFR(後輪駆動)を主とし、2.5リッター車にはフルタイム4WD「i-Four」も設定されました。
トランスミッションは、前期型は4速AT、後期型のFR車には電子制御5速ATを採用しています。
サスペンションは、このクラスでは異例ともいえる贅沢な4輪ダブルウィッシュボーン式が奢られ、快適性を重視した上質な乗り心地を実現していました。
さらに、当時としては先進的な装備も導入されています。
DVDボイスナビゲーション(後期標準)や、ナビ情報と連携して変速を最適化する「NAVI・AI-SHIFT」、レーダークルーズコントロール(オプション)、SRSカーテンシールドエアバッグ(前期オプション→後期は標準)などが用意され、高い機能性も備えていました。
しかし、このように意欲的なコンセプトと高い技術・品質を投入したプログレでしたが、商業的には成功を収めたとは言い難い結果となりました。
1998年の発売から約9年間で生産を終了(2007年)しています。
その背景には、コンセプトが時代の先を行き過ぎていたこと、保守的と評されたエクステリアデザイン、5ナンバーサイズとしては割高に感じられた価格設定(同価格帯にはマークII三兄弟などが存在)、そしてセダン市場自体の縮小などが複合的に影響したと考えられます。
2001年には、よりスタイリッシュな兄弟車「ブレビス」も投入されましたが、こちらも大きな成功には至りませんでした。
販売面では振るわなかったプログレですが、その真面目な作り込みと本質的な品質の高さは、一部の自動車評論家やユーザーから根強い支持を集め、現在では「隠れた名車」として再評価されています。
特に中古車市場では、内外装の質感の高さや直列6気筒エンジンの滑らかさ、そして手頃な価格から、独自の価値を見出すファンに愛されています。
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プログレは、“小さな高級車”という野心的なコンセプトを、当時のトヨタが持つ技術と品質へのこだわりを結集して具現化した、特筆すべきモデルでした。
市場の主流にはなれませんでしたが、高級車のあり方に一石を投じたプログレの挑戦と本質的な価値は、今なお語り継がれています。
時代の先を行き過ぎた、トヨタの異色の挑戦作としてこの先も記憶される一台となるでしょう。
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