“国産VS外車”の最新「“4WD”コンパクトスポーツカー」どっちを選ぶべき? 伝統のスバル「水平対向」×アウディ「直5」を比較検証! 見えてきたそれぞれの“キャラ”とは
日本車と輸入車が“世界最速”を競い合ってきたコンパクトスポーツの歴史。その最前線に立つのが、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで最速記録を打ち立てたアウディ「RS 3」と、モータースポーツで実績を重ねてきたスバル「WRX S4」です。両モデルを実際に走らせ、そのキャラクターと走りの違いを確かめました。
世界最速を巡るコンパクトスポーツの系譜と現在地
振り返ると、日本のコンパクトカーが世界最速を競い合った記録が何度もあります。1995年からはWRC(世界ラリー選手権)でスバル「インプレッサ」と三菱「ランサーエボリューション」に加えて、プジョーに代わってシトロエンが激しいバトルを展開しました。
その間、インプレッサは3度のチャンピオンを獲得しています。WRCでは、現在もトヨタ「GRヤリス」がその役割を担い続けています。
一方で、世界一過酷なサーキットとされるドイツのニュルブルクリンク北コースでは、ラップタイム短縮のバトルが展開されてきました。

2014年あたりからは、ホンダ「シビック タイプR」とルノー「メガーヌRS」がFF最速の座をかけて記録を次々と更新。2023年の段階で、シビック タイプRが7分44秒881でレコードブレーカーの座につき、現在もその記録を譲っていません。
そこに割り込んできたのが、2025年に最新モデルを投入したアウディの「RS 3」です。Cセグメントのハッチバックである「A3」をベースにした別格扱いのモデルですが、発表資料ではニュルブルクリンク北コースでコンパクトカークラス最速となる7分33秒123を記録したとされています。
ただし、同じコンパクトカーでもシビック タイプRは2リッター直列4気筒ターボを搭載するFF。一方のRS 3は、2.5リッター直列5気筒ターボを搭載する4WDモデルです。当然、最速ラップタイムを叩き出すためのポテンシャルには差があるわけです。
それでも、日本車を含むコンパクトカーが世界最速を競い合う状況は、クルマファンとしてうれしい限り。そこに再び割り込んでほしい存在が、走りの分野ではスバルの主役となっている「WRX S4」です。果たして、そのポテンシャルを備えているのでしょうか。さっそく、WRX S4の最強モデルであるSTIスポーツを連れ出し、RS 3と乗り比べてみましょう。
まずは、自分にとって最適な運転姿勢を選びます。するとスバル車に共通する課題として、ステアリングの上部が遠い、つまりテレスコピック量が足りない点が挙げられます。
操作に支障があるわけではありませんが、最新モデルのフォレスターでも改善されなかったことは残念です。どこからか「早く走れ……」という声が聞こえてきそうなので、アクセルを踏み込んでみましょう。
2.4リッターの水平対抗4気筒ターボエンジンは、最高出力275馬力、最大トルク375Nmを発揮します。スペックとしては、スバルのスポーツ系サブブランドであるSTIを掲げる割には、意外と控えめに映るかもしれません。
ドライブモードをスポーツにしても、高性能ぶりをひけらかすような演出はありません。その一方で、性能を持て余さずに済み、身構えることなくアクセルを踏み込めます。
さらに、2.4リッターという排気量の余力により、ターボの過給効果に頼りすぎることなくトルクを得ています。そのため、中回転域までは加速が一直線で伸びていきます。
しかも、このエンジンは中回転域からいよいよポテンシャルを発揮。まるで自然吸気エンジンのようにトルクの落ち込みを抑え、回転数でパワーを稼ぐ気持ちよさを体感できます。
実際に、2000rpmで発揮される最大トルクは4800rpmまで維持されます。シビック タイプRのエンジンでも最大トルクは4000rpmまで。4000rpmを超えると加速に一段と弾みがつき、パワーゾーンに突入したことをはっきりと知らしめます。そして、レブリミットの6000rpmまで一気に回り切ります。

このFJ型から続くFA系エンジンのポテンシャルは、STIが2008年から2025年まで16回も参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで、6回のクラス優勝を遂げた実績からも証明されています。
だからこそ、実績十分なニュルブルクリンクで、市販車最速の座を奪取してほしいと、クルマファンのひとりとして思ってしまうのです。
ちなみに、2025年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦したWRXのエンジンは、市販車と同じF24型で380馬力を発揮し、最大トルクは590Nmに達しています。
アウディRS 3は、最高出力400馬力、最大トルク500Nmを発揮。RS 3は最高出力でWRXに勝りますが、最大トルクでは遠く及びません。そのあたりは、STIのクルマ作りと深く関わっています。
STIの公式サイトには、冒頭で「激しいレースほど、人への優しさが問われる。誰が運転しても快適な走りでなくては、24時間にもわたる長時間レースは戦い抜けない」と明記されています。
高回転域を維持してパワーを絞り出すよりも、全回転域で必要なトルクを引き出せるほうが、圧倒的にラクだからです。






















































