ダイハツが「斬新4ドアクーペ」提案してた! 全長4.2mボディに「旧車デザイン」採用で「シニア」にピッタリ! スタイリッシュな“お年寄り向けモデル”「DNコンパーノ」とは

2017年の東京モーターショーにダイハツが出品したコンセプトカー「DNコンパーノ」は、ダイハツの往年の名車をオマージュした、スタイリッシュな4ドアセダンでした。どんなモデルだったのでしょうか。

ターゲットは「アクティブシニア」!

 近年、新ジャンルのクルマのデザインとして完全に定着した「レトロデザイン」。ほかのクルマと違い自分らしさを強調できることが支持されています。
 
 しかしダイハツ工業は今から8年前の2017年、レトロデザインを採用した意欲的なモデルを発表していました。どのようなクルマなのでしょうか。

ナニコレ超カッコイイじゃん! シニア向けのダイハツ「DNコンパーノ」
ナニコレ超カッコイイじゃん! シニア向けのダイハツ「DNコンパーノ」

 往年の名車のデザインやコンセプトを再解釈し、現代の技術でよみがえらせる「レトロデザイン(ヘリテージデザインとも)」のモデル。

 昨年2024年は、レトロデザインの先駆けの一つであるBMW「ミニ」シリーズの新型が日本デビューを果たしたほか、トヨタ「ランドクルーザー250」が原点回帰を図ったボクシーなデザインで人気を博すなど、レトロデザインモデルの人気は高まり続けています。

 そんなレトロデザインに、ダイハツがチャレンジしたモデルが「DNコンパーノ」というコンセプトカーです。

 2017年秋に開催された第45回「東京モーターショー」に参考出品されたこのクルマは、ダイハツ初の4輪小型乗用車である往年のコンパクトセダン「コンパーノ」にオマージュを捧げたモデルとなっています。

 コンパーノは、今から60年以上前の1963年(昭和39年)に発売された800ccクラスの小型車です。オート3輪の製造大手だったダイハツ工業は、このクルマで4輪小型車市場に初挑戦しました。

 最大の特徴は、イタリアのカロッツェリア「ヴィニャーレ」によるエクステリアデザインです。優雅なスタイルは、日本車離れしたイタリアンな雰囲気をまとっていました。

 当初は商用バンおよびワゴンモデルのみでしたが、その後、セダンバージョンである「ベルリーナ」が登場。登録車最小クラスの小型セダンとして親しまれました。

 1965年には1リッターの高性能ツインキャブエンジンを搭載し、ベルリーナの屋根を取り去ったオープンモデル「スパイダー」が登場。手軽にスポーツカー気分が味わえるモデルとして注目を浴びました。

 また、スパイダーの登場を機に、通常シリーズもシングルキャブレター仕様の1リッターエンジンを搭載。同年後半にはスパイダーと同じツインキャブエンジンをベルリーナに積んだ「1000GT」も登場しました。

 その後も、コンパーノはフェイスリフトや日本初の機械式燃料噴射装置を採用した「1000GTインジェクション」を追加するなど、精力的に改良が続けられました。

 しかし、ダイハツは1967年にトヨタと業務提携。小型車の自主開発を休止し、しばらく軽自動車に専念することとなりました。コンパーノはトヨタの「パブリカ」のOEMである「コンソルテ」に後継を託し、1970年に生産を終了しました。

 さて、コンパーノの生産終了から50年近くが経過した2017年。ダイハツ創業から110周年の節目となるこの年に、DNコンパーノは東京モーターショーで世界初公開されました。

「DN」は“新生ダイハツ”を意味する「DAIHATSU NEWNESS」の頭文字。創業110周年を機に、軽自動車だけでなく、登録車でもさらなる挑戦に踏み出すことを意気込んだネーミングでした。

 ボディサイズは全長4200mm×全幅1695mm×全高1430mmと超コンパクト。特に全長はトヨタ「ヤリスクロス」とほぼ同等で、3ボックスのセダンながら手ごろなサイズにまとめられています。

 しかし、外観は非常にスタイリッシュでした。ボディサイドには「シューティングライン」と名付けたキャラクターラインを入れることで、実寸からは信じられないほど伸びやかなフォルムに仕上がっています。

 ルーフ部分はセダンでありながら、まるでクーペのように低く、なだらかな形状。赤いボディに対して白く塗られたピラー部分は、1968年の東京モーターショーに出品された幻の試作車、コンパーノ「スポーツクーペ」さながら、と言えるかもしれません。

 一方、逆スラント形状のフロントノーズや縦型のテールランプなど、モチーフであるコンパーノのアイコンも継承し、さらに洗練。エンブレムも、オリジナルを基にリデザインした盾タイプの専用品が装着されています。

 インテリアも見どころです。インパネ周りは元祖コンパーノの丸型2連メーターをオマージュしつつ、航空機のコックピットをイメージしたパーソナル感の強い仕上がり。ドアトリムとの連続感が強いですが、センターコンソールをあえて分離することで軽快な印象も持たせています。

 このDNコンパーノ、ターゲットとしたユーザー層はズバリ「アクティブシニア」。

 すでに子育てが一段落した世代が、ちょっとしたドライブや近所のカフェへ出かけるのに使えて、いざという時は子供や孫も乗せられるスタイリッシュなセダンというのが狙いでした。

 DNコンパーノは発表からすでに8年が経過しましたが、市販化に向けた情報は入ってきていません。しかし、SUVタイプや大型セダンばかりではなく、小さくてもプレミアムなモデルは、必ず魅力的な選択肢のひとつとなることでしょう。

 さりげなく、それでいて生き生きと新しい人生を歩みたい人々へ。DNコンパーノは、歴史的なモデルを現代人へ向けて再解釈した、長い伝統を誇るダイハツだからできた提案だったと言えるでしょう。

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1件のコメント

  1. カタログスペックを異様に気にする客層が振り向かない、普通の1000ccエンジンで普通のコンパーノ・スパイダーを出して欲しいな

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