「タイヤの空気圧」いつ確認した!? 「見た目」で判断は可能? チェックを怠ると起こる「重大なリスク」とは

見た目で空気の減りがわかるのか実証してみた例も

 最近のクルマは、タイヤの偏平率が低くなる傾向にあります。

 偏平率とは、タイヤの断面幅(接地面)に対する高さの比率を表す数値です。

 偏平率が低くなると接地幅が広がるいっぽう、側面部分(サイドウォール)の高さが低く(小さく)なり、そのぶん見た目の判断も難しくなると考えられます。

さすがにここまでタイヤがつぶれてしまった状態になると走行するのも困難になります[イメージPhoto:AdobeStock]
さすがにここまでタイヤがつぶれてしまった状態になると走行するのも困難になります[イメージPhoto:AdobeStock]

 そんな昨今のタイヤは見た目で空気圧低下が判断できるのか、JAF(日本自動車連盟)が実験を行っていました。

 実施したのは、偏平率がそれぞれ、80%、65%、50%、45%の4種のタイヤを装着した車両を用意し、適正空気圧のタイヤと半分にしたタイヤを見分けるというものです。

 80%は商用のワンボックスバンに、65%は一般的なセダンタイプにそれぞれ装着され、50%と45%のタイヤは、スポーツカーの前後タイヤとして装着されていました。

 そのうち、一般的な偏平率である65%のタイヤは、3名すべてのモニターが空気圧の低下を見た目で(空気圧が低下していることを)判断できました。

 しかし一方で偏平率45%や50%、80%のタイヤでは、全員が誤った判断をしています。

 また偏平率45%と65%のタイヤを装着した2台で、一輪のみタイヤ空気圧を半分にして運転し、空気圧の減ったタイヤの位置が分かるかを検証したところ、偏平率65%のタイヤは3名全員が空気圧不足に気付きましたが、偏平率45%のタイヤは3名中1名しか気づくことができなかったといいます。

 偏平率の低いタイヤは、ホイールがタイヤのサイドウォール荷重を支えてしまうため、タイヤの凹みが目視で分かりにくく、運転をしても違いが分かりにくかったものと考えられます。

 結論としては「見た目では判断は難しい」ということになります。

※ ※ ※

 タイヤの空気圧は、ガソリンスタンドのほか、クルマのディーラーやタイヤ専門店、カー用品店などで確認することができます。

 ただし長距離を走った直後は、タイヤ内部の空気が熱で膨張していることから、計測する際には必ずタイヤが冷えた状態で確認することも重要です。

 クルマのドアなどに記された「空気圧表示シール」を確認し、適正な車両指定の空気圧を入れてもらいましょう。

 なお最近の新型車の場合、タイヤ空気圧警報装置(TPMS)が備わっていることも多くなりました。取扱説明書などを確認しておきましょう。

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Writer: 吉川 賢一

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど

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