東京の未完成道路「環4」の現場が「フェンス密集地帯」な理由とは!? 「新宿最後の未開通区間」富久町工区は現在どうなっているのか
謎の「フェンス密集地帯」はどうなるのか
さて、気になる未開通部の状況ですが、南側の延長線上で、高校に面する100mほどの長さだけ、アスファルトがしっかり敷かれていました。ただし通行はできず、同事務所は完成まで交通開放する予定は無いとしています。

現在は工事用搬入路設置工事と排水管設置工事が進行中。一部で同時施工として、電線共同溝の設置作業中だといいます。
その先の建設予定地では、用地取得は2024年時点で「約88%」とほぼ完了しているものの、更地になった区画はフェンス網の目のように設置され、まるで迷宮状態の非日常な風景となっています。
フェンスだらけになっている理由を同事務所に尋ねると「ゴミの不法投棄や侵入防止を図るため」といいます。こうした囲みは他の道路事業の現場でもよく見られ、工事が本格化するまでの空き地を好き勝手に使われない意味もあります。
さらに同事務所は、今後の予定として「この工事が終わり次第、都立芸術高校より北側区間において、車道や歩道、中央分離帯等を築造する工事を実施予定です」と話します。
つまり、近いうちに長らく「フェンスだらけの空き地空間」だった工区内も、いよいよ道路らしい風景に生まれ変わっていくこととなります。
ちなみに、余丁町通りとの接続交差点の手前には、「余丁町児童遊園」という小さな公園があります。計画される道路上に存在するものです。この公園は今後どうなるのでしょうか。
同事務所は管理者である新宿区の話として「道路の外側に残った土地を児童遊園として再整備する予定」と言います。道路ができても、子どもが遊ぶ場や防災のため必要なスペースが確保されるようです。
さて、その先は先述のとおり、すでにりっぱな4車線が完成しています。とはいえ開通済み区間はわずか330mで、抜弁天通りと接続する交差点まで来ると、新宿区立若松地域センターが建っており、北へ道路は続いていません。
実は、環4はここから先、真っ直ぐ延びるわけではありません。既存の道路を活用し、右左折して早稲田へつながっていくのです。具体的には一旦東進し、若松町交差点から夏目坂を北上し、早稲田通りに合流して北西に進み、西早稲田交差点で再び独立して北へ伸びます(新目白通りまで開通済み)。
なぜこのような既存活用の中途半端な都市計画道路のルートになったのか、詳細は分かっていません。しかし戦後すぐの元々の計画ではまっすぐ西早稲田方面へ伸びていることがうかがえるため、途中で計画変更を強いられる背景があったように思われます。
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富久町が開通すれば、白金台や青山方面から、神楽坂や飯田橋方面までが、スムーズにつながることとなります。都心部の南北軸を担う環状第4号線の富久町工区について、同事務所は以下のように話します。
「この事業により、道路ネットワークが形成され自動車交通の分散により交通混雑の緩和が期待されます。また、新たに道路としての空間が生まれることにより災害時の避難路の確保や緊急車両の進入、延焼遮断帯としての効果を得られます。
さらに、電柱を地中化することで防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出も可能です。引き続き、早期完成に向けて各種工事を進めていくので、ご理解とご協力をお願いいたします」
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