「MT免許取れない…」なぜ? 4月から「希望制」に… 基本は「AT限定免許」になる? 法改正で「教習内容変更」どんな影響がある? 教習所も困惑

普通車の免許を取るために教習所に入校する際は、ATコース、またはMTコースを選びます。市販車のほとんどはAT車であり、教習価格もATコースのほうが安いため、AT限定免許を選ぶ人も少なくありません。そうした背景もあり、今後MT免許は希望制となるようです。

「MT車」はオプション? 法改正で教習が変更に

 普通免許を取得する際、今では多くの人がAT限定を選びます。
 
 MT車の免許を取得する人は以前と比べて大きく数を減らしましたが、この度、MT免許がさらに希少になる可能性があります。
 
 その原因となるのは2025年4月1日施行となる法令の改正でした。

昔は普通だった「MT免許」がオプションに(クレジット:pasta /PIXTA(ピクスタ))
昔は普通だった「MT免許」がオプションに(クレジット:pasta /PIXTA(ピクスタ))

 普通車の免許を取るために教習所に入校する際は、ATコース、またはMTコースを選びます。

 市販車のほとんどはAT車であり、教習価格もATコースのほうが安いため、AT限定免許を選ぶ人も少なくありません。

 MT車の免許を取得する人は以前と比べて大きく数を減らしてしまいました。

 もちろん、クルマを運転する仕事の場合、MT免許が求められることもたびたびあります。

 会社の営業車や軽トラがマニュアル車である場合はマニュアル車の免許が必要になるほか、ホテルのバレーサービスをおこなう場合にもMT免許が必要になります。

 しかし、今ではAT車の普及も進み、MT免許が必要になる場面は減少傾向にあるといえます。

 実際、多くの人がAT限定免許を取得しており、MT免許は一部の愛好家にとっての嗜好品と見なされ始めています。

 警察庁が発表している、令和5年度の運転免許統計によると、令和5年度に指定自動車教習所を卒業したのは104万3956人。

 そのうち78万3937人が、AT限定のカリキュラムで卒業しています。

 この数字を元に考えると、75%以上の人がAT限定のカリキュラムで教習所を卒業していることになります。

 また、東京都や大阪府のような都市部ではAT限定カリキュラムでの卒業者が8割を超えています。

 一方、青森県や北海道北見方面などでは、AT限定カリキュラムでの卒業者が6割を下回る地域も見られました。

 都市部、地方部の間でMT車の免許を取得する人の割合は多少増減するものの、統計をみる限り、MT免許を取得する人の数が、AT限定免許を取得する人に比べて多い地域は見られません。

 そんなMT離れが、法令の改正によってさらに加速するかもしれません。

 道路交通法の細かい部分を規定する「道路交通法施行規則」を改正する内閣府令が2024年6月26日に公布されました。

 その内容は「2025年4月以降は、教習所での講習方法はAT免許が基本となり、MT免許を希望する場合は追加のプログラムを受ける必要があること」というもので、2025年4月1日から施行されます。

 関西圏のある教習所によると、AT車で一通り教習・検定を終えたのち、限定解除をおこなうような流れになるとのこと。その場合、教習でMT車を使うのはたった4時間になるそうです。

 一方で、首都圏のある教習所は、次のように話します。

「いままでのカリキュラムで教習する人と新カリキュラムで教習する人が混在してしまうと、混乱することもあるかと思います。

 そのため、当校ではMT車については年明けから入校を休止しています。入校開始時期についても今の所未定です」

 ほかにもこのような対応をとっている教習所は多く、MT車の免許を取りたくても受け入れてくれる教習所が近くにない、というケースもあるかもしれません。

 また、卒業後に限定解除してもらうことを想定して、MT車を希望する人に対してもAT限定での入校を受付している教習所も確認できました。

※ ※ ※

 教習のカリキュラムの変更に関しては、まだ情報がはっきりと出ておらず、教習所ごとに対応も異なります。

 将来的にMT車の運転をしたいと考えている人は、はやめに最寄りの教習所に相談してみるとよいかもしれません。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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