「まだ安くならないの!?」 なぜ?高速の「深夜割引見直し」延期へ そもそもどんな制度? 何が変わる? 延期に関してはNEXCOがお詫びも
先日、高速道路各社は2024年度末頃に運用を始める予定だった高速道路の「深夜割引の見直し」について、2025年7月頃まで延期することを発表しました。では、深夜割引は今後どのように変わるのでしょうか。
深夜割引見直しには「車両の滞留」「トラックドライバーの運転環境悪化」の背景も
2024年12月25日、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社は、2024年度末頃に運用を開始する予定だった高速道路の「深夜割引の見直し」について、2025年7月頃まで開始時期を延期する方針を明らかにしました。
では、深夜割引は今後どのように変わるのでしょうか。
2024年度末頃に運用を開始する予定だった高速道路の「深夜割引の見直し」について、2025年7月頃まで開始時期を延期する方針が明らかになりました。
これは新たな深夜割引の適用に必要なシステムの整備に時間がかかっているためで、具体的な運用開始時期については、今後のシステム整備状況を踏まえたうえで改めて発表される予定です。
なお本件に関して、NEXCO3社は今回の延期について、次のように説明しています。
「深夜割引見直しの運用開始に向け、準備を進めていただいている事業者の方々をはじめとするお客さまには大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんが、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます」
そんな高速道路の深夜割引見直しですが、ユーザーからは「知らなかった」という声も多く聞かれます。一体どのように変わるのでしょうか。
そもそも現行の深夜割引は、午前0時~午前4時の間に高速道路を通行するETC車両の料金を30%割引するというシステムで、NEXCO3社が管理する全国の高速道路と一部の一般有料道路が対象区間です。
午前0時~午前4時の間に少しでも高速道路を走行すれば割引されるため、たとえば午後11時に高速道路に入り、日付が変わって午前1時に高速道路を出たというケースでも割引が適用されます。
しかし、現行の割引制度に関しては大きく2つの課題が指摘されており、まず1つめとして「割引適用待ちの車両が高速道路内に滞留すること」が挙げられます。
具体的には大型トラックなどの通行車両が深夜割引を受けるために、あえて高速道路を降りずに料金所の手前やパーキングエリアの路肩などに停車して「0時」になるのを待つ行為が問題視されています。
2022年4月には三重県内のパーキングエリアの入口付近において、このような車両の滞留に起因する追突死亡事故も発生しています。
次に、2つめの課題は「運転者などの労働環境の悪化」です。最近はガソリン価格の高騰もあり運送会社の経営が厳しくなる中で、トラックドライバーが高速道路の通行料金を安く抑えるため深夜割引を利用せざるを得ない状況に追い込まれているケースも少なくありません。
また運送会社からは「荷主が、深夜割引を利用することを前提とした報酬しか支払ってくれない」といった悲痛な声も上がっています。
つまり深夜割引が適用されない早い時間帯に荷物を届けられる場合であっても、深夜割引を受けるために高速道路内にとどまる必要があり、それがトラックドライバーの長時間労働につながっている現状があります。
このような課題を受けて、深夜割引が見直される運びとなりました。なお、見直しポイントは主に以下の3点です。
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1 割引の対象となる時間帯を午後10時から翌日の午前5時まで拡大
2 割引の対象時間帯に走った距離の分だけ通行料金を30%割引
3 深夜割引の見直しにあわせ、400キロ超を走行した場合は距離に応じて割引率を引き上げ
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1については、これまで午前0時から午前4時までだった割引対象時間を午後10時から翌日の午前5時まで拡大するものです。
また2は、割引対象時間内に少しでも走行すれば割引するという制度から、割引対象時間帯のみの走行を割引するという仕組みに変わります。
仮に午後9時に高速道路に入り、翌日の午前6時に出たケースを考えると、午後10時から翌日午前5時までの走行が割引になる一方、午後9時から午後10時までの時間と翌日午前5時から午前6時までの走行は割引対象外となります。
この1と2の仕組みにより、トラックをはじめとする車両の滞留改善につながることが期待されています。
さらに3に関して、走行距離が400キロ~600キロの場合は割引率を40%、600キロ~800キロの場合は45%、800キロを超える距離の場合は50%にすることが示されています。
ただしスピードの出し過ぎといった無謀な運転を防止するため、割引適用時間帯の走行距離には上限が設定される予定であり、普通車や軽自動車などは1時間あたり105キロまで、乗合バスや路線バスを除く大型車などは1時間あたり90キロまでと見込まれています。
この深夜割引の見直しに関してはインターネット上で「割引制度が複雑すぎる」「割引ではなく、通行料金自体を引き下げるべき」といった声のほか、「荷主の無茶な要求が改善されない限りドライバーの負担は減らない」といった厳しい意見が聞かれました。
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高速道路の新しい深夜割引は来年7月頃から運用が開始される予定ですが、「課題の根本的な解決につながらないのではないか」との懸念も寄せられています。
はたしてトラックドライバーの環境改善や車両の滞留抑止につながるのか、今後の動向が注目されます。
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