まだ装着してないの? 「雪降り始めたよ?」 覚えておきたい「冬タイヤ」の違い! イマ「履くべきタイヤ」とは

2024年12月12日にNEXCO東日本関東支社が発表した「冬用タイヤの装着状況調査」では、冬用タイヤの装着率は小型車平均は44.6%、大型車平均は89.6%、全車種平均で63.3%となっています。ではそもそも「冬タイヤ」にはどのようなものがあるのでしょうか。

中々都心部では装着する割合が少ないのが現状か

 2024年12月18日から19日かけて東京都心でも初雪が観測されました。

 とくに東京の場合は、2023年より25日早く、平年より15日早い初雪となったようです。

 雪が振り始めると気になってくるのが「冬タイヤ」への履き替えです。早めの準備を心がける人であれば11月には装着しています。

 ただ東京都心など滅多に積雪しない場所では、なかなか冬タイヤへ履き替える人も少ないのが事実です。

 2024年12月12日にNEXCO東日本関東支社が発表した「冬用タイヤの装着状況調査」では、冬用タイヤの装着率は小型車平均は44.6%、大型車平均は89.6%、全車種平均で63.3%となっています。

「関東地域の高速道路における冬用タイヤ装着状況調査結果」はいかに
「関東地域の高速道路における冬用タイヤ装着状況調査結果」はいかに

 そんな降雪地帯へのドライブの必需品となる冬用タイヤです。

 降雪地帯に向かう高速道路では、冬季に「冬用タイヤ規制」が出されることが多く、愛車に冬用タイヤを装着していない場合、通行できないことがあります。

 また一般道路でも、安全に走ることが難しくなります。

 冬用タイヤと言っても、昨今では様々なタイプのタイヤがあります。もっともメジャーで、かつ雪道性能に特化しているのが「スタッドレスタイヤ」です。

 スタッドレスタイヤは一定量以上の深雪を除いては、新雪路、圧雪路、凍結路で高い性能を発揮します。

 特に都市部などに発生しやすい酷い凍結路(ミラーバーン、ブラックバーン)では、優れた発進性能と制動性能を得ることができます。

最近はSUVやオフロード4WD用など一部のモデルに残っているだけとなりましたが、やはり冬用タイヤとして規制時に通行できるのが「スノータイヤ」です。

 基本的にはオールシーズン使えるタイヤですが、サイドウォールに記載されている「SNOW」もしくは「M+S」の表記が雪道性能を有していることを示しています。

 進化が著しいのは「オールシーズンタイヤ」です。

 どんな路面にも使えるという謳い文句で登場したタイヤで、今シーズンは国産メーカーからも新商品が登場しました。

 乾燥路での運動性能はもちろんのこと、降雨時の排水性、そして雪道性能を有しています。

 ほとんどのオールシーズンタイヤが、雪道性能を証明する欧州規格「スノーフレーク」マークが付いているため、冬用タイヤ規制でも何の問題もありません。

 しかしスノータイヤやオールシーズンタイヤは、スタッドレスタイヤと決定に違う部分があります。

関東地域の高速道路における冬用タイヤ装着状況調査結果(NEXCO東日本 関東支社)
関東地域の高速道路における冬用タイヤ装着状況調査結果(NEXCO東日本 関東支社)

 それは凍結路性能です。

 スノータイヤやオールシーズンタイヤは、基本的に「雪柱せん断力」という性能を使って雪道を走ります。

 これはトレッドに刻まれた深目の溝に雪を取り込んで雪の柱を作り、それを踏み固めるようにグッと圧力をかけ、そして回転と共に蹴り出します。

 これを連続することで前進するトラクションを得る仕組みです。制動時にはブロックのエッジを雪面に引っかけるようにして止まります。

 トレッドに雪を取り込めるような雪質では問題ないのですが、雪がほとんどない凍結路ではスリップしやすいという弱点があります。

 夏冬の性能を併せ持つために低温下ではゴムが硬くなり、トレッド面の路面への密着力が弱まります。

 その結果、グリップやトラクションが低下して、進まない・止まらないという事態に陥ることになります。

 スタッドレスタイヤは極低温でも柔軟性を失わないゴム素材を使用しているだけでなく、トレッドパターン内のサイプによって、接地面が十分に路面に押しつけられるようにできています。

 また凍結路でのスリップの原因になると言われている水膜を、サイプや微細な孔によって取り除き、トレッドと路面の間の摩擦係数が高まるのを助けます。

 もちろん雪柱せん断力も持っているので、20cm程度の新雪であれば前進も可能です。

※ ※ ※

 最近では特定の一般道でも、「タイヤチェーン規制」が実施されるようになりました。

 この規制が実施された場合、仮にスタッドレスタイヤと4WDの組み合わせでもチェーンなしでは通行できません。

 そのため、冬のドライブ時にはタイヤチェーンは必ず愛車に積んでおきたいものです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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