スバル新組織「スポーツ車両企画室」の狙いは 2027年までに「3つのMTモデル」も投入へ

スバルが新設した「スポーツ車両企画室」の設立背景と、スーパー耐久シリーズで鍛え上げられる最新技術が明らかになりました。本記事では、将来の市場投入が予告された3つの新型マニュアルトランスミッション(MT)モデルと、量産車へのフィードバックを見据えた高度な車両制御技術について解説します。

スバル新組織が3台の新型MT車を計画 S耐で鍛えた最新制御技術の詳細を公開

 スバルはスーパー耐久富士24時間レースにて、メディア向けラウンドテーブルを開催し、新設した「スポーツ車両企画室」の設立背景や、スーパー耐久シリーズ参戦車両の技術進化について説明しました。

 また、今後2027年までに市場投入を計画している3つのマニュアルトランスミッション(MT)モデルの存在も明かしました。

今後の投入が予告された3つのMTモデル
今後の投入が予告された3つのMTモデル

 スバルはモータースポーツ活動を通じて得られた知見を市販車へ反映させる取り組みを進めています。

 その中核を担う組織として「スポーツ車両企画室」が2026年4月に設立がされました。この組織が作られた背景には、現在の自動車開発における課題があります。

 最高技術責任者(CTO)の藤貫氏は、現在の開発体制について、緻密な仕組みが構築されており会話をしなくても車両が完成する合理性がある一方で、部署間のコミュニケーションが不足し、見えない壁が生じていると指摘。特に、モータースポーツ部門と量産開発部門の間にはその傾向がありました。

 藤貫氏はこの状況に対し、「もっと気楽に、部室みたいなところでワイワイガヤガヤやりたい」と語っています。スポーツ車両企画室は、この垣根を取り払い、エンジニアが一体となって自由に意見を交わしながらクルマづくりを行うための組織として位置づけられています。

CTOの藤貫氏が「スポーツ車両企画室」の設立背景を語る

 ラウンドテーブルでは、今後3台の新型車両を計画していることが発表されました。公開された画像では、ベールに包まれた3台の車両シルエットが確認できます。

 1台目(画像左)は、TY85型マニュアルトランスミッションを搭載したWRXです。過去に生産中止となっていたTY85トランスミッションを復活させ、搭載することが説明されました。

 2台目(画像中央)は、クーペスタイルのシルエットを持つBRZのMTモデルです。

 3台目(画像右)は、5ドアのハッチバックモデルです。藤貫氏はこのモデルについて、ユーザーが手頃な価格で購入できる「アフォーダブルなベース車」として企画していると説明しています。

 またラウンドテーブルでは、これまでのモータースポーツ活動の歩みについても説明が行われました。

 全日本ラリー選手権においては、BRZを4WDターボ化して参戦させるという試みが行われました。藤貫氏によれば、これは「誰が4駆ターボにして走らせてはいけないと言ったのか」という、既存の思い込みを壊す取り組みの一環です。

 また、ニュルブルクリンク24時間レースでのクラス優勝など、実戦を通じた技術開発が継続的に実施。

スーパー耐久でのノウハウを量産車にフィードバック
スーパー耐久でのノウハウを量産車にフィードバック

 そして今回の現場でもあるスーパー耐久シリーズにおいては、2024年に2代目となる「HiPerfX」を投入し、2026年からは3代目となる「HiPerfX Ver.II」への進化を見据えた活動が行われています。

 スーパー耐久シリーズに参戦するHiPerfX Ver.IIには将来の量産車への技術還元を見据えた多岐にわたる進化が施されています。

 外装面では樹脂部品の空力シボ技術を応用したステッカーをリアウィング下面に貼り付けて空気抵抗を低減。

 エンジン領域では最高出力375psおよび最大トルク525Nmを発揮するFA24型ツインスクロールターボエンジンに高放熱インタークーラーと高強度ピストンを採用して出力向上と燃費改善を両立。

 さらに、AWD駆動系にはDCCDとリア電制LSDの制御を最適化して安定した制動と回頭性を確保しつつ、トランスミッションは3速から6速のTRFギヤの材質変更とWショットピーニング処理によりギヤ強度を22%向上させています。

 また環境対応として植物由来ベースオイルを用いたサステナブルエンジンオイルを採用してCO2削減を図っています。

2026年の「HiPerfX Ver.II」
2026年の「HiPerfX Ver.II」

 こうしたスーパー耐久での取り組みは、量産車にもフィードバックされています。

 2022年から2023年の「BRZ」、2024年から2025年の「HiPerfX」、そして2026年の「HiPerfX Ver.II」へと段階的な進化を計画しています。

 BRZの段階では、アクセルレスポンス制御やフラットシフト制御などが開発されました。これらの技術のうち、アクセルレスポンス制御は量産車であるBRZ(Dタイプ)のスポーツモードとして、すでに市販車への追加が行われています。

 HiPerfXの段階では、さらなる技術として「アクセルペダルダイレクト制御」が開発されています。この制御はターボ車に向けたもので、パーシャル区間でのアクセル操作時における応答速度の向上を狙いとしています。

 スーパー耐久で鍛えられた技術は、今後も継続して市販車への適用が検討されており、オルタネータ制御やステアリング剛性向上といった技術が、今後の商品へ展開される項目として検討中だといいます。

※ ※ ※

 スバルが新設した「スポーツ車両企画室」は、モータースポーツの現場と量産車開発の垣根を取り払い、技術をシームレスに繋ぐための拠点となります。

 生産終了となっていたTY85トランスミッションを搭載するWRXや、BRZ、そして新たに企画されている5ドアハッチバックなど、計画されている新型MTモデルの展開にも注目が集まります。

【画像ギャラリー】スバルのスーパー耐久参戦マシンを見る!(16枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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