レクサスが画期的な「MT車」を新開発! EVなのに“エンストあり”の本格派!? 「マニュアルBEV」の走りがスゴかった!

レクサスは、BEV(バッテリーEV)のMT車の開発を進めています。今回、MT搭載の「UX300e」に試乗したのですが、どのような乗り味だったのでしょうか。

BEVなのにMT車!? レクサスがスゴいモデルを開発!

 群馬県の榛名湖畔で開催されたイベントで、レクサス界隈の興味深いBEV(バッテリーEV)に試乗することができました。
 
「榛名湖」と聞いて、「おっ!」と感じた人も少なくないことと思いますが、ドライブしたコースは、まさしく某有名漫画のバトルの舞台のすぐ近くです。
 
 広場に何台か並べられていたのはすべてBEV。なんと「AE86」もBEVです。

いたって普通の「UX300e」なのだが実はMT車!?
いたって普通の「UX300e」なのだが実はMT車!?

 そのかたわらに置かれた赤いレクサス「UX300e」は、一見すると普通のモデルなのですが、車内を覗くとシフトノブがノーマルと違って、足元にはクラッチペダルもあるではありませんか。

 そう、このクルマは、なんとマニュアルBEVなのです。

 カーボンニュートラルに向けてBEVの普及が進められる中でも、BEVは楽しくないという先入観を持っている人は少なくありません。

 そこでレクサスではそれを打破すべく、「クルマ屋ならではの操る楽しさを提供」できるBEVを作るべく取り組んでいることを、ユーザーの方々にも知ってもらい、体感してもらおうという思いから開発されたものです。

 そのためソフトとハードの両面で知恵を絞り、駆動力や速度、出力特性を自在にカスタマイズというBEVの強みを活かし、位置のセンシングで出力をコントロールするとともに、独自のカラクリでフィーリング演出し、クルマの挙動を聴覚と視覚で伝えるものを作り上げました。

 UX300eのパワートレイン系は、ベース車のハードウェアに手を加えられておらず、MTのシフトレバーへの交換やクラッチペダルが追加されていて、モーターの制御だけでマニュアル運転できるよう工夫したとのこと。

 開発担当者から「ゲームのコントローラーと思ってください。とにかく乗ってみるのが一番!」と伝えられたので、マニュアルBEVのUX300eにさっそく乗ってみました。

 このクルマはマニュアルとオートマの切り替えができて、オートマモードでは普通のクルマと同じように、Dレンジに入れてブレーキから足をはなすとクリープで動き出します。その後、マニュアルモードに切り替えました。

 クラッチを踏んでスタートボタンを押すと、アイドリング音が聞こえます。MT車と同じくブレーキから足をはなしても動かず、アクセルをあおるとエンジンを空ぶかししたのと同じように音が高まり、タコメーターの表示どおり7000rpmまで回るようになっています。

 ただし、車外には音が出ていないので、周囲に迷惑をかけることはありません。たしかにゲームのようです。

 アクセルを少し踏んでクラッチをつなぐと、すーっと動き出します。半クラッチの感覚は本当にMT車そのもの。上り坂だと上手くやらないと下がってしまうし、アクセル開度が足りなかったりあわててつないだりするとエンストします。

 開発担当者の「マニュアルモードのときは、ちゃんとMTとして運転していただくことが大事です」という言葉どおりです。

 3000rpm~5000rpmあたりが“おいしい”トルクカーブになるよう意図して特性が作られているので、そこを探りつつクルマとキャッチボールしながら走る感覚もMTそのもの。

 もともと150kWと、自然吸気の2リッターエンジンぐらいのパワーがあるUX300eなので、驚くほどパワフルでもなければ非力でもないのですが、上り勾配を3速で駆け上がろうとするとトルクがあえてしぼられているので加速が鈍り、2速にシフトダウンするとしっかり加速できるあたりも実にMTっぽい仕上がりです。

 サウンドにもこだわっていて、市販のサウンドシミュレーターに入っていた音のほかに、なんと5リッターV型10気筒エンジンを搭載するレクサス「LFA」や、高回転型の4気筒スポーツツインカム「3S-GE」を積んだトヨタ「セリカ」の実車から録ったというサウンドが選べるようになっているのも楽しめます。

 LFAを選んでもパワーは変わりませんが、音が変わるだけで気分が上がり、実際には存在しない3ペダルのLFAの運転感覚を味わうこともできました。

 クラッチを切ったときの余韻を残しながらエンジン回転が下がっていくのも巧く再現されています。フライホイールの慣性を計算して、こうなるだろうという特性を作り込んだそうです。

 ミスをするとそのとおり挙動に出てクルマから“怒られる”のもキャッチボールの一環です。わざとヘタな操作をすると引き込んだような感じになるあたりも、モーターのトルクを工夫していかにもそれっぽくしてあります。

「モーターならではの制御性の優れているところを、活用というか悪用しました」だそうです。

 いわゆるエンスト状態になると音も駆動力も消えますが、エンジンの車だと止まりっぱなしになるところ、このクルマはクラッチを踏むと復帰するようになっています。

 それは、エンストというのは恥ずかしいものなので、一刻も早くその状態から脱することができるようにという親切心から、こうしたほうがいいと判断したそうです。

 一方で、MTにありがちなジャダー(振動)は出ないようにされていて、開発担当者によると「付けようと思えば付けられますが、気持ちのよいものではないので、ないほうがいいものは付けていません。取捨選択ができるのもモーターのいいところです。リバースもやろうと思えばできますが、楽しいのは前進だけなので、なくてもいい気もするし、やったほうがいいか迷っています」とのことでした。

 発着地点にもどり、展示されていたMTの操作感の源となる手作りの「からくり」を見学。

 シフトフィールを生み出す部分は、リンクとバネによって感触を作っていて、シフトとアクセルに角度センサーが仕込まれています。それをもとにどのようにトルクを発生させるようにするか、最適値を導き出すのに相当に苦労を重ねたそうです。

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