車の「タコメーター」の役割はナニ? 近年はなぜ“不要”になってきた? 実は意外と知らない活用方法も存在!

AT普及で要らなくなった…? タコメーターの活用方法は?

 現在では演出的な部分でタコメーターを装着しているケースが多いようですが、せっかくですからうまく活用したいものです。何か役立つ方法はあるのでしょうか。前出のF整備士は以下のように話します。

「やはり1番の活用としてはエンジンの状態を把握し、求める性能を引き出すための目安とすることです。

 エンジン回転速度が上がり過ぎていれば、そのぶん燃料がたくさん噴射されます。結果、燃料消費量も増大してしまいます」

近年ではタコメーターのようなハイブリッドシステムインジケーターも登場
近年ではタコメーターのようなハイブリッドシステムインジケーターも登場

「たとえば高速道路を、2600〜2800rpm(回転)で80km/h巡航すると、非常にいい燃費を記録するクルマがあるとします。

 一方で、少し速度を上げ100km/h巡航にすると3200rpm前後くらいを示します。

 実はこのわずか数百rpmでも燃費はかなり変わり、さらに追い越しなどでパワーを得るためにシフトダウンを行い、5000rpmほどまで回転を上げてしまえば、一気に燃費が悪化します。

 燃費を良くしたいならタコメーターでエンジンの回転速度を意識した走りのほうがいいんです」(F整備士)

 エンジン回転数と燃費は大きな関連性があり、同じ速度でもできる限り回転数を抑えたほうが良いというのは、昨今のATが以前よりも多段化している(より燃費効率を高めるため、変速段数が増えている)ことと結びつきます。

 しかし、先述の通り昨今普及しているハイブリッド車ではタコメーターの重要性はさらに低くなっており、その代わりにタコメーターのような針を持つものの、燃費や電費を向上させるためのインジケーターが装備されているケースが増えています。

 タコメーターに加えて、緑色で「eco」表示をするなど、表示色でもハイブリッドシステムの稼働状況を教えてくれるものです。

 しかもアクセルを戻したり、ブレーキング時にはバッテリーに回生電力を蓄える回生ブレーキの動作状況も確認できます。いずれはタコメーターに取って代わるメーターの1つになりそうです。

「エンジン搭載車では体感できない回生制動を体感できるのは大いに魅力ですが、やはりタコメーターと連動してエンジンの回転速度をコントロールする感覚を、今のうちに身につけておくのがいいと思います。

 機械が進化し便利になっていくからこそ、クルマがどんな操作をしてくれているかを理解できるようにしておいて欲しいですね」

 不要になったと思われるタコメーターも、クルマを動かしているという雰囲気を満たすものではなく、実は活用次第で低燃費走行を可能とする大切な計器なのです。

 ドライブ時にはタコメーターの動きを観察しながら運転してみることで、新たな発見があるかもしれません。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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