1年戦って見えた「未来」とは カーボンニュートラル燃料使ってGR86&SUBARU BRZで挑んだ「S耐 鈴鹿」最終戦の結果はいかに
2022年シーズンの「スーパー耐久」最終戦となる、ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第7戦が11月26日・27日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットでおこなわれました。
カーボンニュートラル燃料を使って挑んだスーパー耐久2022! 最終戦はどうだったのか?
スーパー耐久の場を用いてGR86/SUBARU BRZによる「カーボンニュートラル燃料を用いた先行開発車両」のガチンコバトル。
最終戦は三重県の鈴鹿サーキットになります。この挑戦のゴールはここではありませんが、両チームにとって1年の取り組みやマシンの進化を確認する場であると同時に、次のステップに進むためのひとつの区切りのレースです。
ただ最終戦と言いつつも、どちらのマシンも進化の手は止まっていません。
前回(岡山)で完全勝利を遂げた61号車SUBARU BRZ CNF Conceptから見ていきましょう。
エンジンは大幅な出力向上が難しい自然吸気エンジンながらも着実にポテンシャルアップをおこなってきました。
今回は低フリクションピストン、ECU充電制御、マフラー変更により出力を8psアップ(開幕戦から37ps向上)。
シャシ系はさらなるダウンフォースアップのためにフロントアンダーカバーの採用(ボンネットに続いて再生カーボンを使用)、操舵応答性/中・大舵角での回頭性向上のためにステアリング剛性アップとサスアームの最適化。
そして1年間にわたって開発してきたというスポーツABSの投入などがおこなわれています。
一方で前回(岡山)は負けたものの、流れはいい方向に向かい始めている28号車GR86 CNF Conceptはどうでしょうか。
まずは富士24時間でのトラブルで大きな課題となっていたトランスミッションを強化。これに伴って1.4リッターターボエンジンの出力(3%)/トルク(8%)を向上させています。
シャシ系はサスペンション部品の見直しやセンサー類の統廃合、チタンマフラーの採用などにより33kgの軽量化、さらにサスペンションメンバー/フロントブレースは構造変更がおこなわれています。
補強関係は前回も変更されていましたが、データ解析とドライバーのフィードバックを元に見直しがおこなわれたということでしょう。
このように、どちらのマシンも前回から約1か月の短期間にも関わらず大きな進化を遂げています。この辺りはまさに“アジャイルな開発”が浸透している証拠といえます。
どちらのマシンも木曜日の練習走行、金曜日の占有走行でセットアップをおこなっていました。
そんな金曜日の午前中のセッションで61号車SUBARU BRZ CNF Conceptがシケイン手前でブレーキ異常(スポーツABSのシステムがフェール)が発生しクラッシュ。
ドライバーの山内英輝選手に怪我はなく、マシンの修復可能レベルと聞いて一安心。
翌日、土曜日におこなわれた予選の結果は以下になります。
●ORC ROOKIE Racing/ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
4分37秒755
A:蒲生尚弥選手 2分17秒387
B:豊田大輔選手 2分20秒368
●Team SDA Engineering/Team SDA Engineering BRZ CNF Concept
4分37秒948
A:井口卓人選手 2分19秒104
B:山内英輝選手 2分18秒844
※ ※ ※
予選は、28号車GR86 CNF Conceptに軍配が上がりましたが、その差はわずか0.193秒と僅差。
ちなみに開幕戦の最速タイム同士を比較してみると、28号車GR86 CNF Conceptは2.233秒、61号車SUBARU BRZ CNF Conceptは2.761秒も短縮しています。
タイムが全てではありませんが、これも両社で競い合いながら進化を続けてきたことのひとつの“結果”といえるでしょう。
土曜日の夕方、ROOKIE Racingが2023年スーパー耐久参戦体制のリリースを発表しました。
水素エンジン搭載のGRカローラ、カーボンニュートラル燃料を使用するGR86に加えて、「アジアでのモータースポーツを共に盛り上げる」をテーマに中升(ゾンセン)集団をメインパートナーにメルセデス・AMG「GT3(ST-X)」と3台体制での参戦となります。
一方、スバルは東京オートサロンでモータースポーツ体制を発表するのが定番なので現時点は正式発表はまだですが、技術トップの藤貫哲郎CTOに話を聞くと「継続しなければ意味ないですから」という発言からも解るように、2023年スーパー耐久への参戦は間違いないでしょう。
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