全身全霊で挑んだ熱き戦い! 「競争しながらの開発」 GR86&BRZの勝負の行方はどうなった?

レースはまさに白熱極まる!? 競争と開発で岡山の結果はいかに

 土曜日におこなわれた予選はドライコンディションで実施、結果は以下になります。

 ●Team SDA Engineering BRZ CNF Concept
 3分22秒326
 A:井口卓人 1分41秒239
 B:山内英輝 1分41秒087

 ●ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
 3分22秒583
 A:蒲生尚弥選手 1分40秒288
 B:豊田大輔選手 1分42秒295

61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(山内英輝/井口卓人/廣田光一)
61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(山内英輝/井口卓人/廣田光一)

 最速タイムはGR86 CNFコンセプトではあるものの、予選タイムはA/Bドライバーの合算のためトータルタイムではBRZ CNFコンセプトが0.257秒上回りました。

 実は予選でBRZ CNFコンセプトがGR86 CNFコンセプトに勝ったのは今回が初めてです。

 本井監督は「この結果は素直に嬉しいですが、ベストタイムは約1秒負けているので速さの追求は続けます」と。

 藤原氏は「我々も進化させてきましたが、スバルさんはそれ以上でしたね。悔しいけど素直に凄いな……と思いました」と教えてくれました。

 日曜日の決勝はスタート進行が8時からといつもより早めです。

 グリッドウォークではGR86 CNFコンセプトのドライバーたちがBRZ CNFコンセプトを入念にチェック。

 エンブレムがステッカーに変更されていることを見つけると「ちょっと大人気なくない?」、「重りを積んでしまおう」など、冗談が飛び交っています。

 この辺りは「仲良く喧嘩する」からこそ、出てくる会話でしょう。

 決勝は、フォーメーションラップでクラッシュがあったため、4周のペースカー先導の後にスタート。

 序盤は接近戦でしたが、BRZ CNFコンセプトがGR86 CNFコンセプトを次第に引き離していきます。

 その速さは格上クラスのST-3車両を超えるレベルといってもいいでしょう。

 レース終盤にGR86コンセプトが追い上げを図ったものの、順位は変わることはなくBRZ CNFコンセプトが先にゴール。

 つまり、BRZ CNFコンセプトは予選・決勝と完全勝利を遂げたわけです。

 ちなみに今回の結果でBRZ CNFコンセプトはスーパー耐久シリーズ全7戦中に4勝、両者のガチンコバトルとしてはシリーズ勝ち抜けになります。

 レース後、両チームに今回のレースの総括を語っていただきます。まずは本井監督ですが、前回とは異なる晴れやかな表情で次のように語ってくれました。

「正直、感極まるかなと思ったのですが、今回の結果を振り返ると『ホッとした……』というのが本音ですね。

 前回の悔しさがさまざまなシナジーを生み、今回の結果に繋がりました。

 実は事前に準備したシミュレーションよりも実走のデータが上回ったのは初めてで、これはチームメンバーの『魂』がプラスされたと思っています。

 ただ、まだやれることは残っているので改良の手は止めません!!」

28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」(蒲生尚弥/豊田大輔/鵜飼龍太)
28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」(蒲生尚弥/豊田大輔/鵜飼龍太)

 続いて開発責任者の藤原氏に聞いてみました。

「序盤から厳しい戦いになると予想していましたものの、レース結果は『悔しい』の一言ですね。

 ただ、先行開発という意味では、クルマが持つ実力・素性とドライバーのフィーリングがこの数戦で同じベクトルを向き始めており、内容的には充実したレースウィークだったと思っています。

 今回、スバルが覚醒してしまいましたが、我々も『負け嫌い』ですのでこのままでは終わりません」

※ ※ ※

 その表情は悔しさも見られましたが、それよりも『やり切った!!』という清々しさがありました。

 筆者は開幕戦から2台の戦いをずっと見てきましたが、正直いうと、今までは「2台、壊れないでゴールして!!」というドキドキがありましたが、今回は「どっちが勝つの?」、「タイム差が……」といったようなドキドキで、久々にレースを楽しませてもらいました。

 次戦は11月26-27日に鈴鹿サーキットでおこなわれる5時間耐久レースです。

 2022年を締めくくる戦いになりますが、開幕戦と同じサーキットなので2台のマシンの進化、そして人の進化も確認できると思います。

 またGR/SUBARUによる「GR86/SUBARU BRZの次世代モデルの先行開発を公開しながらガチンコでおこなう」の取り組みにおいて、ひとつの集大成になるはずですので、是非サーキットに足を運んでほしいと思っています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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